デベロッパーのdicehit gamesは8月11日、ソーシャルメディアのXにて「出所不明なプロダクトキーを販売する業者からゲームを買うくらいなら、いっそ海賊版でプレイしてくれ」と投稿。当該のポストには先日リリースされた『リ・ストーリー: 思い出修理屋』のプロダクトキーを販売する、いわゆる「鍵屋」のサイトが引用され話題となっている。
Steamにおいてゲームをプレイするには通常通りSteamストアで購入するほか、開発者や運営チームなどから提供、あるいは販売されているプロダクトキー(Steamキー)を使用する方法がある。こうしたプロダクトキーを販売する業者は「外部ストア」とも呼ばれ、代表的なものではGamesPlanetなどが挙げられる。またスクウェア・エニックス e-STOREやCapcom Town Storeなど、各メーカーが自社のタイトルを扱うストアも存在する。もちろんこれらのストアは正規のプロダクトキーを販売しており、違法性はない。
一方で、外部ストアの中には、何処から入手したのか分からない出所不明なプロダクトキーを扱う業者も存在する。そうした外部ストアは「鍵屋」とも呼ばれ、長年問題視されてきた。
For those who do not know, sites like this sell the codes we sent out for free to get content on our game. We do not get content and our good will is abused this way.
If any of our games are too expensive for you and you are going to use a code site, just pirate it. https://t.co/xJM3YzJKvy
— dicehit games (@dicehitgames) August 10, 2026
dicehit gamesは今回のポストのなかで、「もしゲームが高すぎてコード販売サイトを利用しようと思ってるなら、代わりに海賊版をプレイしてくれ(If any of our games are too expensive for you and you are going to use a code site, just pirate it.)」とコメント。この“コード販売サイト”とは、正規のプロダクトキーを販売しているストアのことではなく、上述した「鍵屋」のようなサイトを指している。そうしたサイトは不正に入手された可能性のあるキーを販売していると見られており、その場合たとえ購入されてもゲーム開発側には一切の利益が発生しない。そればかりか余計なサポートの手間が増えたり、あまつさえ損害が発生したりするケースもあるのだ。
『Factorio』
過去には、名作工場運営ゲーム『Factorio』のプロダクトキーが、盗難されたクレジットカードで購入され、G2Aという大手「鍵屋」にて大量に販売されるという事例が存在(関連記事)。開発元のWube Softwareには、クレジットカード会社のチャージバック(支払い取り消し)により損害が発生している。この不正購入事例では最終的に、G2A側がWube Softwareへ被害額の10倍の金額を支払うことで決着している。
一方今回のdicehit gamesによるポストでは、「ゲームを広めてもらうために配布したプロダクトキーが無許可で販売されており、その想いが踏みにじられている」とも綴られている。配信者や動画投稿者などのクリエイターにくわえ、メディアなどに広報目的で送ったキーが、いつの間にか「鍵屋」に“商品”として出品されている現状に対し、憤懣やるかたないと表明しているかたちだ。
なお、dicehit gamesは『リ・ストーリー: 思い出修理屋』の開発元ではないが、今年6月に『Runeveil』というデッキ構築型ローグライクゲームをリリースしている。対応プラットフォームはPC(Steam)。今回のポストに関連して、同作『Runeveil』も「鍵屋」にて販売されていると見られる画像を投稿している。
『Runeveil』
そうした状況もありdicehit gamesは、海賊版の利用を決して推奨するわけではないとしつつも、定価の半額で「鍵屋」からキーを買うくらいなら、海賊版をプレイしつつセールまでお金を残して欲しいとコメント。一銭も入らないのはどちらも同じと語り、それならいい気はしないものの海賊版をプレイしてもらう方が、手塩にかけたゲームを見知らぬ誰かの利益にされるよりマシとの複雑な胸中を明かしている。
なお、同様のメッセージは過去にも発信されており、インディーパブリッシャーNo More Robotsの代表を務めるMike Rose氏が、G2Aでゲームを買うくらいなら海賊版を遊んでくれと述べていた(関連記事)。ほかにも、ホラーアクションゲーム『Darkwood』の開発スタジオは、YouTubeやブロガーを名乗るユーザーがキーを要求する現状にうんざりし、自ら海賊版としてTorrentに放流するといった決断をおこなう事例も存在(Wccftech)。海賊版をプレイしたほうがましといった発言の背景には、鍵屋の存在を巡って、多くの開発者が頭を悩ませてきた現状があるわけだ。
しかし言うまでもなく、だから海賊版のゲームをプレイしてよい、というわけではない。日本では海賊版をアップロードする行為は違法であり、それと知りながらダウンロードする行為もまた罪に問われる可能性がある。「鍵屋」での購入についても、消費者にとっては安く製品を入手できる代替手段の一つとする見方もできなくはないが、上述した通り、そもそも出所が不明なキーが多く、いつ無効化されてもおかしくはない。場合によってはSteamのアカウントがBANされることもあるため、プロダクトキーを購入する際は、「正規品を扱う外部ストア」で購入すべきだろう。

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