こんにちは!市川(@serra2020)です!今回はプロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』の調整記と大会レポートを綴っていこうと思います。

 そして、これはネタバレというか、こちらを読まれている皆様にも既にご存じの方が多いと思いますので先に書きますが……なんと、私、市川。

 

プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』を見事優勝しました!

 普段は最後に結果を書くのですが、今回は素知らぬ顔(というかテンション)で記事を仕上げることも難しそうなので、それ前提でお読み頂けると助かります。

 前編では、7月17日から7月19日までに行われたプロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』に向けての調整記をお送りします。よろしくお願いします!

 

0.近況

 前々回のプロツアー『ローウィンの昏明』で10勝6敗、前回のプロツアー『ストリクスヘイヴンの秘密』では9勝7敗の成績を残し、今回のプロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』、来年2月に行われるプロツアー『ノークティス:深淵の水府』の権利を獲得しました。


 

 プロツアー『久遠の終端』で1年以上ぶりにプロツアーにカムバックしてきた私ですが、結果に浮き沈みもありつつ、なんとかプロツアーという列車に乗り込めました。

 ただ、一寸先は闇。現行のシステムだと初日落ち(プロツアーは4勝4敗以上で二日目に進出できます)した場合ポイントの加算はゼロ……つまりプロツアーに出ていないのと同義で、一気に継続参戦が難しくなります。

 

 また、今回の結果次第で世界選手権の権利にも影響して来ます。

 今シーズンのプロツアー成績は10勝、9勝でAMPという世界選手権への出場に関わってくるポイントは39点(トーナメント毎に最初の3勝分が引かれたマッチポイントが加算されます)。

 AMPでの世界選手権への参加条件は上位32人。去年のボーダーラインが51点であったことを考えると、今回で11点以上の加算。つまり7勝9敗以上するとセーフティなラインであると考えられます。

 プロツアートレインに乗り続け、世界選手権へ出るにあたって必要な最低条件は初日抜け。かつ、もちろん好成績を目指して準備をはじめました。

 

1.モダン

ティムール続唱(カスケード)


サンプルリスト – 「ティムール続唱」 / モダン[MO] [ARENA]


1 《》

1 《》

1 《》

4 《》

4 《》

4 《》

1 《》

1 《》

1 《》

1 《》

1 《》

2 《》

1 《》

1 《》
-土地(24)-

4 《》

4 《》

4 《》

2 《》

-クリーチャー(14)-
4 《》

4 《》

4 《》

4 《》

4 《》

2 《》
-呪文(22)-
2 《》

2 《》

3 《》

2 《》

3 《》

3 《》
-サイドボード(15)-



 今回の構築フォーマットはスタンダードではなく、モダンです。

 モダンはスタンダードと比較すると使用できるカードプールが広く、新セットの影響を受け辛いフォーマット。そのためカードの禁止や解禁で環境を動かすことが多く、今回はプロツアー前にどちらも行われました。


 

 まず《》。

 これによって長らくトップティアから退場していたティムール続唱、リビングエンドが復活。

 ティムール続唱は私が大好きなアーキタイプです。2021年に行われたMOCSで優勝させてもらったデッキで、非常に思い出深いです。

 ですが、使用した感触は非常に悪い。


 

 まず、退場している間に加入した汎用的なサイドボードカードが非常に辛い。

 《》が戦場にあれば続唱ができませんし、《》は続唱の誘発そのものをカウンター可能です。丁寧に複製も付いているので、カウンターでバックアップすることもままなりません。


 

 その上、現代のモダン(二重表現)において3ターン目にサイを2体出した程度では勝てません。『モダンホライゾン3』で登場以来、他のフェアデッキを粉々にして来た《》と《》コンビにまるで歯が立ちませんでした。

ボロス・エネルギー


CMack_ – 「ボロス・エネルギー」

Magic Online Modern Challenge 64 優勝 / モダン(2026年6月22日)[MO] [ARENA]


1 《》

4 《》

1 《》

2 《》

4 《》

4 《》

1 《》

3 《》

3 《》
-土地(23)-

4 《》

4 《》

4 《》

4 《》

2 《》

3 《》

-クリーチャー(21)-
2 《》

3 《》

4 《》

3 《》

1 《》

1 《》

2 《》
-呪文(16)-
1 《》

1 《》

2 《》

3 《》

1 《》

1 《》

1 《》

2 《》

3 《》
-サイドボード(15)-


   


 エネルギーはエースで4番だった《》がとうとう禁止に。しかし、ボロス・エネルギーは相変わらず勝ちまくっていました。

 《》はミラーを筆頭としたフェアマッチで最も強いカードでした。そのため、この禁止はある種の紳士協定のようなもので、ミラーマッチでお互いに入れられないのであれば他のマッチに上がるカードを入れられるようになります。


 

 上記のリストには入っていませんが、最終的には余ったスロットに《》を3枚程度入れるのが主流になっていきます。

 これは生け贄に捧げた時の能力がベルチャーやネオブランドなどの、エネルギーが苦手としているコンボデッキに対して効果的で、《》がないならないなりに相性が良くなるマッチアップがあるというのが興味深いトピックでした。

イゼット果敢


lilianna1989 – 「イゼット果敢」

Magic Online Modern Challenge 32 優勝 / モダン(2026年7月12日)[MO] [ARENA]


2 《》

2 《》

1 《》

3 《》

3 《》

3 《》

1 《》

3 《》
-土地(18)-

4 《》

4 《》

4 《》

-クリーチャー(12)-
4 《》

4 《》

4 《》

4 《》

4 《》

4 《》

4 《》

1 《》

1 《》
-呪文(30)-
4 《》

1 《》

1 《》

1 《》

1 《》

2 《》

2 《》

3 《》
-サイドボード(15)-


 その《》がいなくなり、フェアミラーで弱くなっているところを突いているのがイゼット果敢です。


 

 《》がいなくなったことにより、《》を計画したり、《》でリソースを増やしたりなどのゲームを長引かせる動きに裏目がなく、相性が逆転しました。


 

 加えて、イゼット果敢は見た目よりキルターンが遅いデッキで、アミュレットのようなコンボデッキを苦手としていましたが《》の禁止によってそれが弱体化したのも追い風です。

親和


WanderingOnes – 「親和」

Magic Online Modern Challenge 32 優勝 / モダン(2026年6月21日)[MO] [ARENA]


4 《》

2 《》

2 《》

4 《》

1 《》

4 《》
-土地(17)-

4 《》

4 《》

-クリーチャー(8)-
3 《》

4 《》

3 《》

4 《》

4 《》

1 《》

4 《》

1 《》

1 《》

1 《》

4 《》

4 《》

1 《》
-呪文(35)-
1 《》

3 《》

1 《》

2 《》

2 《》

1 《》

1 《》

1 《》

1 《》

1 《》

1 《》
-サイドボード(15)-


   


 禁止改定の影響を受けなかった親和は、より存在感を放っていました。


 

 なぜ解禁されたのか不思議な0マナ加速である《》を筆頭に、《》や《》を絡めて2ターン目にすこぶる対処し辛い《》が出ることもしばしば。


 

 《》による持久力、《》による対応力を備え、まさに最強に見える親和。チーム内に親和マスターたる井川(良彦)さんがいるのも大きく、困ったら親和を使えば良いと考えているチームメイトも多かったです。

御霊の復讐


Rvng – 「御霊の復讐」

Magic Online Modern Challenge 32 優勝 / モダン(2026年7月7日)[MO] [ARENA]


3 《》

1 《》

1 《》

1 《》

4 《》

1 《》

1 《》

1 《》

4 《》

1 《》

1 《》

1 《》

1 《》
-土地(21)-

4 《》

4 《》

2 《》

4 《》

3 《》

2 《》

-クリーチャー(19)-
4 《》

2 《》

2 《》

4 《》

1 《》

2 《》

2 《》

3 《》
-呪文(20)-
4 《》

3 《》

2 《》

1 《》

1 《》

1 《》

3 《》
-サイドボード(15)-


 前回のモダンプロツアー『久遠の終端』でも使用した御霊の復讐ですが……今回は非常にネガティブでした。


 

 一番大きかったのが親和の存在です。

 現在の親和のリストは《》や《》のような0マナのクリーチャーを廃し、《》や《》などの相手によって劇的に効く0マナのカードを採用するアプローチを採っています。

 その《》は御霊の復讐にクリティカルヒット。0マナ設置で隙もなく、しかもそれを突破する術はこのデッキにはありません。


 

 そのため、コンボプランは諦めてフェアプランを通そうとしますが、そこは親和の土俵。《》は場に出てしまうと対処し辛いですし、《》も与しづらいカラーリング。


 

 御霊の復讐のサイドに入っている《》も、他でエネルギーが出るわけではないので十分な効果を発揮しません。先んじて《》を置かれてしまうと4マナを要求されますし、《》をプレイされてしまえば他のアーティファクトを一掃しても意味がない。


 

 現在流行っているリストにも懐疑的でした。最近は《》を廃して《》に回帰してコンボルートを強化している形が主流ですが、これが感触が悪い。

 フェアラインになったときの《》と《》の差分は圧倒的ですし、単純に《》でカードをヒットするには非クリーチャー呪文の枚数が足りていないと感じました。

ルビー・ストーム


azax – 「ルビー・ストーム」

Magic Online Modern Challenge 64 優勝 / モダン(2026年623日)[MO] [ARENA]


3 《》

3 《》

2 《》

1 《》

2 《》

1 《》

3 《》

1 《》

1 《》

2 《》
-土地(19)-

4 《》

-クリーチャー(4)-
4 《》

2 《》

4 《》

4 《》

3 《》

4 《》

4 《》

4 《》

2 《》

2 《》

4 《》
-呪文(37)-
1 《》

1 《》

1 《》

1 《》

3 《》

1 《》

1 《》

1 《》

3 《》

2 《》
-サイドボード(15)-


  


 新カード《》の加入によって『マジック:ザ・ギャザリング|マーベル スーパー・ヒーローズ』発売時に話題の中心となったルビー・ストーム。

 実際、以前から採用されていた《》はかなり微妙なスロットに感じていたので、そこがアップデートされるなら可能性があります。


 

 しかし感触は×。

 イゼット果敢の隆盛も含めて、白いデッキはサイドボードに《》を複数枚採用するのが標準になっていますし、それが採れないデッキは《》や《》をプレイしてきて、相当意識されているなという印象。

 《》でルビー・ストームも確かに強化されているとは思いましたが、革新的なほどかと言うとそれほどでもなく、それでいて環境のガードが上がりきっていて、使いたいとは全く思えませんでした。

ボロス土地破壊


McWinSauce – 「ボロス土地破壊」

Magic Online Modern Challenge 96 トップ4 / モダン(2026年7月12日)[MO] [ARENA]


1 《》

3 《》

4 《》

4 《》

2 《》

4 《》

2 《》

3 《》

2 《》
-土地(25)-

4 《》

-クリーチャー(4)-
2 《》

4 《》

4 《》

3 《》

4 《》

3 《》

4 《》

2 《》

1 《》

4 《》
-呪文(31)-
2 《》

2 《》

1 《》

1 《》

2 《》

4 《》

2 《》

1 《》
-サイドボード(15)-


  


 《》、《》と、《》と《》の5~8枚目のカードが増えたことによって現れた新進気鋭のモダンデッキ、それがボロス土地破壊です。

 モダンのデッキは《》のような通称フェッチランド、《》のような通称ショックランドがある関係から基本土地の枚数はスタンダードなどと比べると少なく、大体のデッキが1~3枚程度になっています。


 

 そのため、《》や《》で特殊土地を破壊して基本土地を持ってこさせつつ、それらを《》などで破壊していくとあっという間に相手の基本土地が枯れ、《》と《》が「対戦相手の土地を破壊し、1ドロー」するスペルとなってしまうのです。


 

 《》+《》パッケージがフェアデッキに強く、苦手なコンボデッキには《》や《》などの白の優秀なヘイトパーマネントで対抗する、その割り切った構成に好感が持てます。


 

 問題点は、既にこのデッキが世に出回っていること。

 基本土地を純増することによってわかりやすく勝率が上げられるこのマッチを見越して、世のモダンデッキ全てが今までのリストより基本土地を1~2枚程度増やしていました。

 これらの変更はボロス土地破壊にとって死活問題。《》や《》で基本土地を持ってこさせてから《》などで相手のマナ基盤を破壊するアプローチなので、“残機”とも形容される対戦相手の基本土地の枚数が増えていくと、みるみる勝率が下がっていきます。

 正直、出てくるのが早すぎた。もしこのデッキがプロツアーでお披露目されていたら躍進していたのは想像に難くありません。

 その他、エルドラージ・トロン、アミュレット・タイタン、繁殖鱗コンボなど、数多のデッキをチームで検証していく中、チームが注目したデッキは……

八百長試合エルドラージ(エルドラージ・ランプ)


aspiringspike – 「エルドラージ・ランプ」

Magic Online Modern Challenge 64 トップ8 / モダン(2026年5月25日)[MO] [ARENA]


1 《》

4 《》

5 《》

1 《》

1 《》

4 《》
-土地(16)-

4 《》

4 《》

4 《》

4 《》

4 《》

4 《》

-クリーチャー(24)-
4 《》

4 《》

4 《》

4 《》

4 《》
-呪文(20)-
1 《》

1 《》

3 《》

3 《》

4 《》

3 《》
-サイドボード(15)-


 まさかの、《》型のエルドラージデッキでした。


 

 このデッキはモダンの有名配信者、aspiringspike氏発案のデッキで、1マナ6/6のスタッツの《》によって登場しました。1マナでプレイした場合、麻痺カウンターが乗って出るので戦闘には参加できませんが、《》のカウンターの乗せ先としては最適です。

 《》を絡めれば最速で2ターン目に《》を秘匿からプレイすることが可能です。


 

 その他、《》から《》などのランプ要素も。《》はここでも大活躍で、《》から4マナ捻出できるようになり、手札から《》をプレイする展開もままあります。

 調整初期に平山(怜)さんが見つけてきて何回かプレイするも、特に良い感触を得ず一旦チーム調整からフェードアウトします。


 

 その後、チーム調整の過渡期に岡井さんが、対親和を考えて《》がサイド後プレイ出来るモダンのデッキが良いと考えたところにこのデッキが再浮上します。

 初期リストから《》や《》などが抜けたり……

 《》の当たり兼通常キャストも可能な《》。緑マナでありつつ《》の追放コストにもなる《》(たまにプレイするとそれなり)を採用したり。


行弘 賢/Ken Yukuhiro – 「エルドラージ・ランプ」

プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』 / モダン(2026年7月17日~7月19日)[MO] [ARENA]


1 《》

1 《》

1 《》

4 《》

5 《》

1 《》

1 《》

4 《》
-土地(18)-

4 《》

2 《》

4 《》

4 《》

4 《》

4 《》

2 《》

-クリーチャー(24)-
4 《》

4 《》

4 《》

4 《》

2 《》
-呪文(18)-
3 《》

1 《》

1 《》

2 《》

3 《》

1 《》

2 《》

2 《》
-サイドボード(15)-



 《》が何枚あればボロス土地破壊に耐えられるか検証したり、その結果マナベースにフリースロットが1枚あるから《》を採用したり。サイド後の《》対策で《》から持ってこられるフィニッシャーとして《》を採用するなどしてデッキが毎日激変。

 その過程で今回トップ8に入った行弘さんを筆頭に、ひとり、またひとりとチームメイトが調整に参加していき、加速度的にデッキがブラッシュアップしていくさまは見ていて痛快でしたね。

 最終的にチーム、森山ジャパンの総勢15名のうち半数以上の8名が使用する、チーム使用者最多のチームデッキとなりました。

 

2.使用デッキ


市川ユウキ/Yuuki Ichikawa – 「シミック新生化(ネオブランド)」

プロツアー『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スーパー・ヒーローズ』 / モダン(2026年7月17日~7月19日)[MO] [ARENA]


1 《》

1 《》

1 《》

2 《》

3 《》

1 《》

4 《》

1 《》

1 《》
-土地(15)-

4 《》

1 《》

2 《》

1 《》

2 《》

2 《》

1 《》

1 《》

1 《》

1 《》

-クリーチャー(16)-
1 《》

4 《》

4 《》

2 《》

4 《》

3 《》

4 《》

1 《》

4 《》

2 《》
-呪文(29)-
1 《》

1 《》

1 《》

1 《》

4 《》

2 《》

1 《》

2 《》

2 《》
-サイドボード(15)-



 そんな中私が使用したのは……そう、愛するネオブランドでした。

 理由を説明します。

メタゲーム上のポジションが良い

 去年のプロツアーで使用しなかった理由はポジションの悪さ。


 

 具体的にはベルチャーと御霊の復讐を乗り越えられないという点でした。

 しかし、現在は状況が一変。ベルチャーは親和や《》を採用したボロス・エネルギーを乗り越えられずほぼ絶滅。御霊の復讐に関しては、まだメタゲーム上に存在はしますが、数こそ去年と比べると大幅に減っています。

 また、環境トップと想定している親和にゲームプランが立たず、トーナメントの負け組になるのではないかと考え、ここの不利はある程度看過することにしました。

 また、親和をターゲットとしたデッキ。具体的にはストームや繁殖鱗コンボなどが直前週に行われた大型大会、Magic Online Modern Showcase Challengeで台頭して来ました。

 この2つに対してキルターンの早いネオブランドは有利に立ち回れるため、この結果もネオブランドをプレイしようと考えていた自分には追い風でした。


 

 また、直近でネオブランドが全く勝っていなかったのも重要でした。

 ネオブランドはピンポイントな対策の上から勝てるほどのデッキ強度はありません。《》や《》がプレイされるのが一般的なタイミングで勝つことは難しく、狙いを定めてプレイする必要があります。

リストの細かいアップデート


 

 一年前に使用してからこのデッキは細かいアップデートが幾度か行われました。

 一例として挙げると、《》の採用。《》はそれ単体として《》やストームなどの墓地を使うデッキへの対策として優れていますが、自分のデッキを修復するカードとしても機能します。


 

 《》は主に《》を《》した時のオプションとして採用されています。

 コンボ達成後の手札に《》が残っていたらそれから《》にアクセスすると《》で場に出すことができ、《》の誘発で《》に修整を与え、そのターンに勝つことができます。


 

 その他にも手札に来た《》などの大型クリーチャーをプレイすることも可能です。

 概ねこのデッキは《》から《》にアクセスするデッキですが、《》を複数採用するより、採用枚数を絞って《》を入れた方がお得です。

 《》と手札に来てしまった《》を同時に出すこともできますし、《》は緑色のカードなので《》のコストに充てられますからね。


 

 なので、《》は初期のリストは3枚採用されていましたが、現在は2枚に枚数を抑えて代わりに《》が1枚採用されています。

 例えば《》で7枚引いたところに《》が2枚来てしまった場合などはディスカードで《》を捨て、《》でライブラリーに戻せばまた《》で《》をプレイできるので、通常プレイで強い《》を入れた方がこれまたちょっとお得なのです。


 

 また、サイドボードに《》と《》を採用。

 このコンビネーションはサイドボード後のカウンターや手札破壊があるマッチアップや、《》や《》などのヘイトパーマネントを掻い潜るのに効果的です。

 もともとは《》と《》で発明されたこのシステムですが、ネオブランドのリストをチェックしていたところそのスロットを《》にしているリストを見つけ、一目惚れ!


 

 《》は《》と比べると瞬速がないこと、緑色のカードでないことがデメリットですが、1/2というスタッツが良い。《》をブロックできますし、《》で射抜かれません。

 また、カード4枚の中から1枚手札に加える能力と、1ドローでは前者のほうがずっと良い。《》で手札に加えたいカードは概ね《》か《》のような仕掛けるカード、もしくは《》や《》などのそれらをバックアップするカードに限定されますからね。

プレイに慣れている


 

 え?《》を《》して《》出すだけのデッキでしょ?と疑問に思った人もいるかと思いますが、このデッキ……間違いなくプレイが出ます。

 大振りで一度しかコンボに向かえないからこそ、一つのプレイで生死を分かつとも言えるのです。


 

 例えば《》経由で《》を唱えなければいけない手札。手札に《》がない場合、それを《》の2回の起動、14枚ドローで引ける確率はおよそ75%、4回トライしたら1回は契約死してしまいます。


 

 そのため、《》で回し打つこともあります。《》が2枚目の《》や《》、《》などに変わったら《》のコストを払わずに勝つこともありえます。


 

 その他、《》が2枚、《》はあるが《》や《》などがない手札をキープするのか、など。


 

 これも様々な加点減点要素がありキープしたりしなかったりします。

 例えば十分な緑色のカードが手札にない場合はそこから緑色のカード、《》と引かなければいけませんし、逆に《》と《》があり《》や《》を引いた瞬間に一気に最強の手札に変わり得るなど、要素が多分にあります。

 このように定型化できない要素もそれなりにあって、世間が思っているよりプレイの影響が出るデッキです。

 これらの要素から、今回の使用を決意しました。

 

3.リスト解説

 既存のリストと異なる要素だけ解説します。

メインデッキ:《》2 / 《》1 / 《》2

 マナベースのフレキシブルなスロット。基本的に通常プレイする分には《》が最も強力です。《》で引いた7枚にあれば、相手のクリーチャーを除去しつつ更にライフを獲得することが可能ですからね。

 とはいえ、《》は《》でサーチできる関係から何枚かはデッキに必要になります。通常ドローで《》を引きつつ、3マナ目として《》を《》でサーチするパターンがあるので2枚がミニマムだと考えています。

 逆に《》の3枚目をサーチするパターンはかなりのレアケース、例えば《》+《》と動く必要があって《》を2枚通常ドローしているなどの状況になりますのでカットできると思います。


 

 《》も《》と似た役割を有しています。《》でサーチしてきて、サイクリングで《》にすることによって《》から青マナを調達することができます。

 一方で、《》を通常ドローしていれば青マナは確保できているので《》2枚目は先程の《》の2枚目と同じ要素を持っていません。

 ただ、ここはシンプルな青マナカウントとして《》の2枚目より優先することにしました。

 ここに関しては最後まで悩んだところでした。実際に一緒にネオブランドを使用したチームメンバーでも差分のある箇所です。

メインデッキ:《》2


 

 《》をメインデッキから2枚採用しました。

 これはチームメイトの平山さんの発案です。親和の増加やボロス土地破壊のメイン《》、またボロス・エネルギーの《》などを鑑みると、メインデッキからプレイすることは理に適っていると感じました。


 

 ここは《》との比較ですが、《》をメインから4枚採用しなければいけないようなメタゲーム、つまり手札破壊やカウンターが飛び交う環境だと考えるのであれば、そもそもネオブランドをプレイするべきではないと思います。


 

 たまに《》を《》と散らして採用されているリストもありますが、私は断固反対です。


 

 最も影響が出るマッチアップがドメインズーです。《》では《》、《》が対象に取れないのでサイドインできません。


 

 その他、対親和戦では《》や《》を経由して《》の護法を突破することがあるのですが、その場合でも《》では《》を対象に取れません。

 確かに《》のライフゲインで勝てないパターンもあるのですが、そもそも《》だとサイドインできる範囲が狭まってしまいます。

サイドボード:《》2 / 《》1


 

 サイドの仕掛けカード。《》はプランにするために4枚採用して試したこともありました。

 しかし、結局変身先である《》を複数枚採用しないので、多重にドローしたとしても一回しか《》で仕掛けることができません。そのため、カードとして手応えを覚えてはいましたが2枚の採用に抑えました。


 

 この《》+《》プランを果たしてどこまでサイドインするべきなのか計りかねたため、文字通り練習中全てのマッチアップでこのパッケージをサイドインしてみました。


 

 その結果、ほとんどのマッチアップでサイドインすることに。《》や《》でこちらを足止めしてくるボロス・エネルギーや……


 

 《》で《》に牽制を掛けてくる親和戦など。

 対親和はこちらも《》や《》などで1対1交換をしやすく、それゆえに手札を《》用にキープできない事情もあります。

 そのため、手札消費の少ない《》+《》システムは思ったより機能します。

 相手の《》を《》で破壊して、《》を《》でカウンターして《》が完走するパターンは練習中しばしば見受けられ、その状況を「シミック・コントロール」と呼んでいました。

サイドボード:《》1


 

 対ボロス・エネルギー用。《》のトークンが横に広がった場合《》で攻撃した返しに致死ダメージを受けてしまうパターンがあります。

 7マナのカードなので《》を《》しても持ってこられないので、大体《》で引き増したあとの次弾のカードとなります。


 

 その他繁殖鱗コンボや、サムワイズコンボなど、クリーチャーを軸としたコンボデッキなどにもサイドインでき、1枚のスロットで効用が高いと感じています。

サイドボード:《》1


 

 サイドボードに4枚目を用意しました。基本的には《》をプレイしてターンを返したら負けうるマッチアップ、主にストームやアミュレット戦でサイドインします。

 この辺りに対しては相性は良いものの、このあたりはダイスロールで相性が振れるくらいのマッチアップでもあると考えているので、取りこぼし辛いように採用しました。


 

 普段からこのデッキをプレイしている、自分、平山さんを筆頭にリームリーダーの森山(真秀)さん、宇都宮(巧)さん、井川さんが合流し、チームメンバー5人が使用することになりました。

 

4.まとめ


 

 私の心はかつてないほど穏やかでした。

 モダンで扱い慣れたデッキのメタゲームが良く、プロツアーの準備ができている。このゲームに精通しているプレイヤーであれば、自分の苦手なデッキでも、ポジションが良いと思ったら使うべきだと考えています。

 ですが、それはそれとして自分の愛するデッキが思う存分使える状態であれば、それはやはり最高なのです。

 こういう、あまりにも自分に都合の良いプロツアーも、永くやっていたらあるんだなあ……とぼんやりと思っていました。

 プロツアー出発の一週間前には、自分でネオブランドをプレイする手を止め、チームメンバーの練習を眺めていました。


 ──といったところで前編は終了です。

 後編ではドラフト環境の考察からトーナメントレポートをお届けします。お楽しみに!

WACOCA: People, Life, Style.