「Xbox Game Pass」のWebサイト「Xbox Game Pass Ultimate」と「PC Game Pass」が値下げ

 4月22日の深夜、マイクロソフトがサブスクリプションサービス「Xbox Game Pass Ultimate」および「PC Game Pass」の料金を値下げすると発表した。日本だけでなく、世界中で値下げが行われている。

 「Xbox Game Pass」の料金は、昨年10月に大幅な値上げが発表されたが、半年ほどで一転して値下げされることになった。いったい何があったのか、経緯を追いつつ見ていこう。

「Xbox Game Pass Ultimate」は半年を経て100円値上げ

 まずは昨年10月の値上げについて再確認しよう。「Xbox Game Pass Ultimate」は、月額1,450円から2,750円へ1,300円の値上げ。「PC Game Pass」は月額990円から1,550円へ560円の値上げとなった。

 発表を受けて、『Ultimateを使っていたが、いったん下のプランで様子を見る』という声も聞かれた。プラン変更や解約の手続きが殺到し、公式サイトがクラッシュする事態も起きた。値上げのインパクトがかなり大きかったのがわかる。

 そして今回の値下げ。「Xbox Game Pass Ultimate」は月額2,750円から1,550円へ1,200円の値下げ。「PC Game Pass」は月額1,550円から1,300円へ250円の値下げとなっている。

 これを昨年10月以前と比較すると、「Xbox Game Pass Ultimate」は100円の値上げ、「PC Game Pass」は310円の値上げとなる。結果的に値上げしているわけだが、値上げ幅は特に「Xbox Game Pass Ultimate」でかなり小さくなっているのがわかる。

Xboxの責任者が『高くなりすぎた』と発言

 なぜこれほど急な価格変更がなされたのか。それはMicrosoft GamingでExecutive Vice President兼CEOを務めるAsha Sharma氏のツイートに書かれている。

 『Game Pass Ultimate has become too expensive for too many players.(Game Pass Ultimateは、とても多くのプレイヤーにとって、高くなりすぎてしまった)』

 Xboxの責任者がこのような発言をすることには違和感を持たれるだろう。Sharma氏は今年2月に現在の役職に就いたばかりで、これまではPhil Spencer氏が長らくXboxの責任者を務めていた。今回の値下げは、責任者が交代したことを受けての方針転換とも受け取れる。

 ただし、値下げに合わせて1点だけダウングレードが行われている。先のSharma氏のツイートにも書かれているとおり、「Call of Duty」が発売日から約1年後のホリデーシーズンに提供されることになる。

「Call of Duty」の大きな価値

 「Xbox Game Pass Ultimate」と「PC Game Pass」には、Xbox公式の新タイトルが即日投入されるというメリットがある。「Halo」や「Forza」、「Age of Empires」など、人気シリーズが数多く揃っており、これらを単品購入することなく、すぐに遊べるというのが大きな魅力となっている。

 しかしそこから「Call of Duty」シリーズを外すことが、値下げに必要な対応だったということになる。

 「Call of Duty」シリーズは、世界的な人気を誇るFPS作品。昨年11月には、シリーズ最新作「Call of Duty: Black Ops 7」が発売されており、「Xbox Game Pass Ultimate」および「PC Game Pass」では発売日からプレイが可能だった。本作を遊びたければ「Xbox Game Pass Ultimate」を契約するとお得、という目玉タイトルの扱いだ。

Xboxの「Call of Duty: Black Ops 7」のWebサイト。購入より先に「Game Pass」への加入を勧めている

 そもそも「Call of Duty」シリーズは、Activisionの作品だった。ところが2023年、マイクロソフトがActivisionの親会社であるActivision Blizzardを買収。「Call of Duty」シリーズはマイクロソフト公式タイトルという位置づけになる。

 この時、マイクロソフトは買収をスムーズに進めるため、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)と任天堂に対して、「Call of Duty」シリーズを引き続き他社のハードでも発売したいと申し入れた。SIEは買収自体を阻止したい姿勢で、交渉は長らく紛糾しつつも、結果として10年間(2033年頃まで)は「Call of Duty」シリーズが他社のハードに展開されるということで合意している。

 つまり「Call of Duty」シリーズはそれほど価値ある人気タイトルだということだ。これを「Xbox Game Pass」で即日提供すると、マイクロソフトとしてはソフトを単体販売する機会を大きく失いかねない。そのカバーのために「Xbox Game Pass」を値上げする方向に働いた面もあると思われるが、ユーザーには『高すぎる』と受け止められたわけだ。

 そこで今回、「Call of Duty」シリーズの即日提供を諦める代わりに、「Xbox Game Pass」を値下げするという形を取っている。実際のところ、1年あれば値下げ分で「Call of Duty」シリーズの新作を購入してお釣りがくるほどの差額になる。マイクロソフトが「Xbox Game Pass」のビジネスを重視している姿勢の表れと言える。

 ちなみに「Call of Duty: Black Ops 7」を始めとした、「Xbox Game Pass」で提供中の「Call of Duty」シリーズタイトルについては、今後も継続して提供されるそうだ。

「Xbox Game Pass Ultimate」の説明を見ると、発売初日からプレイできる新作ゲームに対して注釈が付いている。同じ注釈は「PC Game Pass」にも付けられている内容を確認してみると、「Call of Duty シリーズは対象外です」と書かれている。今後の新作は1年遅れでの提供となる日本が割安なのは「PlayStation Plus」のおかげ?

 今回の値下げについて、北米地域ではどうなっているのかも見てみる。「Xbox Game Pass Ultimate」は月額29.99米ドル(約4,776円、執筆時点での1米ドル159.24円換算)から22.99米ドル(約3,661円)へ値下げ。「PC Game Pass」は月額16.49米ドル(約2,626円)から13.99米ドル(2,228円)への値下げとなっている。

 日本円で月額5千円近くとなると、確かにかなり高いという印象を受けるだろう。値下げ後でも日本とは2倍以上の差があり、日本はかなり優遇されているのがわかる。円安の進行や、日本のゲーマーの加入数が相対的に低いことなどが理由として考えられるものの、それにしても差が大きい。

 ここでPlayStation向けのサブスクリプションサービス「PlayStation Plus」の価格と比べてみよう。

 「PlayStation Plus」で最上位の「プレミアム」は月額1,550円、2番目の「エクストラ」は月額1,300円、最下位の「エッセンシャル」は月額850円となっている。

 「Xbox Game Pass」は、最上位の「Ultimate」が月額1,550円、2番目の「Premium」が1,300円、最下位の「Essential」が月額850円となっている。

 「PlayStation Plus」ではこれ以外に3カ月、12カ月の長期プランが用意されているが、1カ月プランの価格は2022年から変わっていない。「Xbox Game Pass」の価格が3つのプランとも「PlayStation Plus」と合致したのは偶然とは考えにくく、マイクロソフトが合わせたと見るのが自然だ。

「PlayStation Plus プレミアム」は月額1,550円で、今回値下げした「Xbox Game Pass Ultimate」と同額

 日本の「Xbox Game Pass」が安価なのは、「PlayStation Plus」のおかげ、と言えるかもしれない。ちなみに「PlayStation Plus プレミアム」の北米地域の価格は17.99米ドルで、「Xbox Game Pass Ultimate」より安い。

北米では「PlayStation Plus プレミアム」の方が安くなっており、各社の世界戦略が見える公式サイト以外での購入には注意

 価格変更に伴う注意点もお伝えしよう。

 Amazonでは以前、「Xbox Game Pass」のPOSAカード版が売られていた。価格改定の反映が遅く、POSAカード版を買うと安く上がるというのが少し前まであったため、こちらを買い込んだ方もいらっしゃるかもしれない。結果的にはそれほど得にはならなかったわけだが……。

 現在はオンラインコード版のみ売られているが、これも価格改定の反映が遅く、Xboxの公式サイトから直接購入するより高価に設定されたままになっている。Amazonで購入するとポイントが付与されるので少し割安になるように見えるが、価格改定されるまでは注意が必要だ。

Amazonではまだ価格改定が反映されていない。ポイントは付与されるが、公式サイトより高くなってしまうので注意

 また、「Xbox Game Pass」で上位プランにアップグレードする際の変換率も変更されているようなので、確認しておこう。「Essential」から「Ultimate」への変換率は45%で、90日分の「Essential」は40日分の「Ultimate」へ変換される。

 「PC Game Pass」から「Ultimate」への変換率は60%、「Premium」から「Ultimate」への変換率は65%となっている。変換率は今後変更される可能性があるので、最新情報は公式サイトでご確認いただきたい。

変換率はWebサイトで確認できる

 今回は値下げということでユーザーにとっては歓迎される内容だが、長期契約も可能なサブスクリプションで劇的な価格変動はユーザーの混乱を招くので、なるべく落ち着いて欲しいと思う。ただユーザーからは今回の値下げを受けて、『フォートナイトクルーやUbisoft+こそ不要』といった声もあり、この先も動きがあるのではないかと感じさせられる。

 PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。

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