先日、『アーマード・コア』シリーズへの独自の視点からの言及をきっかけに、多くの日本人から「ロボゲー・ロボアニメ詳しすぎな外国人」として知られるようになったオリー・バーダー氏。実は、氏はゲームやアニメを中心として日本サブカルを海外に長年伝えてきた記者であり、様々なタイトルにかかわってきたゲームクリエイターでした。

弊誌の取材に対して、そんな氏がこぼした最近の悩みと言えば「ロボゲーを作らせてくれるスタジオが見つからない!」ということなのだそう。そこで、本稿では、氏の文章を通じて、氏のもつ「ロボゲー・ロボアニメ」への視点や美学の一端をお伝えしていきたいと思います。

以前、初代の『電脳戦機バーチャロン』について記事を書き、かつてイギリスでそのアーケード筐体を所有していたことにも触れました。そこで今回は、その続編である『電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム』への愛情、そしてなぜ自分用に筐体を購入する必要がなかったと感じたのかについて書いてみたいと思います。

これまでの記事でも触れてきた通り、私は1990年代後半、ロンドンのピカデリー・サーカスにあったナムコ・ワンダーパークにて「ロンドン・バーチャロンクラブ」を運営していました。最初は初代『バーチャロン』で活動していましたが、クラブの会員数が増えたこともあり、ゲームセンター側が『オラトリオ・タングラム』を輸入することを決めたのです。

『バーチャロン オラトリオ・タングラム』(MSBS 5.2)

これは当初、Model 3基板で稼働していたバージョンで、当時イギリス国内で唯一の筐体でした。私を含めクラブメンバーは何週間もかけてこのゲームを研究し、定期的に大会も開催していました。

初代との大きな違いは、多くの攻撃や移動が、よりデジタル的な操作にシフトしていた点です。初代が比較的マニュアルかつアナログ寄りの操作体系だったのに対し、本作では操作が簡略化されていました。

例えば、トリガーとスティック上部のターボボタンを組み合わせることでターボ攻撃が可能になり、ターボボタンを押すだけでダッシュキャンセルも行えました。またクイックステップは横移動とターボボタンの入力を組み合わせることで発動します。

従来は手動入力が必要だった操作が、シンプルなボタン操作に置き換えられたことで、多くのシステムがより直感的に扱えるようになり、特に新規プレイヤーにとっては敷居が下がったと言えます。

さらに、空中ダッシュやスティック操作による直角方向へのダッシュ変更も可能になりました。

各種ダッシュ攻撃のレスポンスも大きく向上しており、初代のセガサターン版に近い操作感となっています。

その結果、ゲーム全体のテンポは大幅に速くなり、より即応性の高い作品へと進化しました。

ちなみに、私は主にテムジンを使用しており、クラブ内ではほとんど無敗を誇っていました。しかし、この状況はドリームキャスト版の移植によって大きく変わることになります。

『バーチャロン オラトリオ・タングラム』(MSBS 5.45)

これは、Model 3基板で稼働していたMSBS 5.4をベースに、若干の調整が加えられたバージョンです。ただし、私たちはそのバージョンに触れる機会がなかったため、ドリームキャスト版が、これらの新しいバランス調整を初めて体験する機会となりました。

まず、近接戦におけるクイックステップは、従来のような初速の立ち上がりがなく、常に一定速度で発動する仕様になっていました。これにより、接近戦の反応性が大きく向上し、非常に面白い攻防が生まれるようになりました。

次に、武器のリチャージ速度が大幅に向上しており、テムジンには「バウンシングボム」のターボ攻撃が追加されていたと思います(この点については記憶違いの可能性もありますが)。

いずれにしても、これらの変更によってゲーム全体はさらに流動的かつ高レスポンスになり、それをドリームキャスト用のカスタムツインスティックでプレイできたのは非常に大きな体験でした。

ちなみに、当時使用していたツインスティックは今でも手元に残っています。精密で繊細なデバイスだと気づいてからは、かなり丁寧に扱っていました。

アーケード版のような重いスティックではなく、家庭用ではより正確で繊細な操作が可能なスティックが用意されていたのも印象的でした。

これこそが、私がアーケード筐体を購入する必要を感じなかった大きな理由です。ドリームキャスト版は、多くの点で当時アーケードで遊んでいたものより優れていると感じられたからです。

さらに、ドリームキャスト版では初期バージョンであるMSBS 5.2のバランスもアンロック可能で、自宅に筐体を持つ必要性はますます薄れていきました。

また、VGAケーブルを使ってPCモニターに接続することで、非常に美しく滑らかな映像でプレイできたのも大きな魅力でした。当時はオンライン対戦にも対応していましたが、イギリス在住だった私にとっては、実用的とは言い難いものでした。

言うまでもなく、『電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム』は、私がドリームキャストを購入した最大の理由であり、今でも遊び続けている作品です。

東京のゲーム開発スタジオで働いていた頃には、このドリームキャスト版をオフィスに持ち込むこともよくありました。残念ながら、職場でもほぼ無敗という状態になってしまい、あまり賢明とは言えない振る舞いだったかもしれません。

とはいえ、日本のアーケード基準で見れば、私の実力はおそらく平均的なレベルに過ぎません。この点については、後ほど触れたいと思います。

『バーチャロン オラトリオ・タングラム』(MSBS 5.66)

これは、ドリームキャスト版の後にアーケードで稼働したNAOMI版で、バランス調整の更新に加え、新たなプレイアブル機体も追加されていました。

また、ドリームキャストのVMUに対応しており、自分で作成したカラースキームをアーケードで読み込めるのも大きな魅力で、私もよく活用していました。

このバージョンもイギリスでは稼働していませんでしたが、日本のゲームセンターでは何度かプレイする機会があり、その後、最終的にXbox 360版として移植されました。

Xbox 360版は、発売当初に公式のツインスティックが存在しなかったため、やや期待外れでした。後にHORIが対応スティックを発売しましたが、それまではドリームキャスト用のスティックを新たに購入し、Xbox 360で使えるように改造せざるを得ませんでした。

その間はXbox 360のコントローラーでプレイしていましたが、操作性は非常に厳しく、正直なところかなりストレスの溜まる体験でした。

その後、HORI製スティックが発売されてからは購入し、再び快適に楽しめるようになりました。

さらに最近では、『電脳戦機バーチャロン マスターピース 1995~2001』がPlayStation 4でリリースされ、タニタが非常に完成度の高いツインスティックを発売しました。

私もこのタニタ製スティックを所有していますが、これまでで最高の出来と言っても過言ではなく、あの素晴らしかったドリームキャスト版のスティックすら上回っていると感じています。

現在でもこのバージョンを定期的にプレイしていますし、日本に住むようになってからは、自分よりはるかに腕の立つプレイヤーと対戦できるようになり、非常に良い経験になっています。

というのも、つい最近まで本当に実力のあるプレイヤーと対戦する機会がほとんどなかったからです。海外では本作のファン層が非常に小さく、多くの場合、相手の攻撃にはすぐ対応できてしまっていました。

しかし日本ではプレイヤー人口がはるかに多く、熟練者のプレイはまるで別次元のように感じられます。

そのため、日本のアーケードでは自分の実力はおそらく平均的なものですが、非常に高い技術を持つプレイヤーと対戦できるのは純粋に楽しい体験です。とはいえ、対戦相手がプレイ後にこちらのブースを覗き込み、相手がヒゲの外国人だと気づいて驚く、ちょっとした「らき☆すた」的な瞬間も何度かありました。

ほぼ完璧な続編

初代『電脳戦機バーチャロン』への愛着は今でも強いものの、プレイヤーとしては『オラトリオ・タングラム』の方が上達していると思いますし、ゲームシステムの簡略化によって、より遊びやすく、結果としてより没入感のある作品になっていると感じています。

一方で、『フォース』や『マーズ』はそれほど楽しめませんでしたが、イギリスのゲームセンターで初代と『オラトリオ・タングラム』を遊んでいた頃の思い出は、今でもとても大切なものです。

また、『オラトリオ・タングラム』は、『ZONE OF THE ENDERS』や『Another Century’s Episode』といった作品にも大きな影響を与えたと感じています。特にダッシュの操作体系は、初代よりも直接的で洗練されていました。

現在はPlayStation 4で『電脳戦機バーチャロン マスターピース 1995~2001』が遊べることをとても嬉しく思っていますが、いずれは海外でも展開され、SteamやNintendo Switch 2といったより多くのプラットフォームで遊べるようになることを期待しています。

オリー氏とともに「ロボゲー」を作ることに興味のあるスタジオや団体は、この記事の末尾にある氏のプロフィールから個別に問い合わせていただけますと幸いです。

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