ヤンによると、ドイツやオーストラリアからも引き合いがあり、ライセンス供与や、それぞれの国に合わせたローカライズを打診されているという。「世界全体で右傾化が進み、移民たちの暮らしは厳しくなる一方です」と彼女は言う。
「わたしたちの身になって考えてもらえれば、素晴らしい影響を生み出せると思っています」とサラヴィア・ペレスは言う。「楽しむつもりでプレイしてくれた人が、ほんの少しでも共感と理解を深めてくれれば、チームとしての仕事は果たせたと思います」
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Courtesy of Reality Reload
手続き上の問題 vs. 人としての感情
1990年に始まったH-1Bビザ制度は、米国移住を目指す大学卒のホワイトカラー労働者にとって、最も確実な手段のひとつだ。近年、この制度を通じて年間約8万5,000件のビザが発行されているが、申請者の数が規定数を超えることが多く、最終的な当落を抽選で決める状態が続いている。抽選に漏れた場合は再申請まで丸1年待たなければならない。この過程を経験した人は、誰もが成功あるいは失敗のストーリーをもっている。わたしもそのひとりだ。
『H1B.Life』の開発は、移民たちへのインタビューから始まった。ヤンによると、これまでに20人余りの人々にH-1Bビザ取得までの道のりを語ってもらい、真実味のある正確なゲームづくりに役立ててきたという。開発における目下の最大の課題は、移民制度の複雑なルールを正しく説明することと、ゲームとしてのエンターテインメント性を確保することを、どう両立させるかだ。
ヤンが導き出した解決策は、多くの移民に共通する感情をそのまま表現することだ。今後の移民申請に影響が及ぶことを恐れて匿名を条件にしつつ、開発チームの一員であるジャーナリストの女性が取材に応じてくれた。『H1B.Life』の開発過程で彼女が話を聞いた人々のうち、特に印象に残った人物がふたりいた。ひとりはH-1Bビザの抽選に5回も外れたという。初めて申請した当時、当選確率は80%前後だったが、米政府の公式統計によると24年には25%にまで低下している。5年連続で抽選に漏れたことで、その申請者は負のスパイラルに陥り、自分の生き方すべてに疑問をもつようになってしまったという。
彼女が話を聞いたもうひとりの人物は、かなり前から座り心地のいいソファがほしいと思っているが、急な通告を受けて米国から退去させられるかもしれないとの不安を絶えず抱えているせいで、購入に踏み切れないと語ったという。「そんな話を嫌というほど聞きました。移民制度のせいで、自分の人生をコントロールできないと感じる人たちがいるのです」と彼女は言う。
「チックフィレイ」で神頼み
『H1B.Life』は、旅の途上でキャラクターが繰り返しレバーを引く、謎めいたスロットマシンを中心に展開する。一定の周期で5種類のブッダ像がシャッフルされてリールに現れ、キャラクターの人生の行方を左右する予測不能な出来事が起きる。
