AI使用促進のためか否か?
Image:Skorzewiak/Shutterstock.com
米Amazonは、約1.4万人の社内雇用を削減すると発表した。これは月曜日に報道された最大3万人削減という予想に比べれば少ないが、 2022年に実施した2.2万の削減以来の大型リストラだ。
Amazonは、削減対象となる役職や勤務地については明らかにしていないが、対象となる従業員は今後90日以内に新しい職を探すことになるとしている。
アマゾンの人事・技術担当上級副社長ベス・ガレッティ氏は、従業員に宛てた文書のなかで同社の好調な業績を考えればこの決定は疑問視されるだろうと認めつつ、「世の中の変化は急激」であり「最大の賭け」への投資によって会社をさらに強いものにすることを目指すために必要なことだと主張している。
そして、ガレッティ氏は「いまのAI技術はインターネットが登場したとき以来の最も革新的な技術であり、われわれのような企業は既存の市場だけでなく、全く新しい分野にも、かつてないほど素早くイノベーションを起こすことが可能になっている。われわれは顧客およびビジネスのために可能な限り迅速に行動するため、よりスリムな組織とより少ない階層で、より多くのオーナーシップを持つ組織になる必要があると革新している」と記している。
ガレッティ氏の文書を読めば「現在および将来のニーズにとって最も重要なこと」である「最大の賭け」とは当然、AIへの投資強化のことだと誰もが思うはずだ。しかし、アマゾンの広報担当者ケリー・ナンテル氏は、「大部分の削減の理由はAIではない」とこれを否定。昨年開始した「階層構造の簡素化、オーナーシップの向上、そして官僚主義の削減によるスピードとオーナーシップの向上」の取り組みを継続することが、人員削減の理由だと主張した。
Amazonは2026年も「主要な戦略分野で雇用を継続する」と予想しているが、「効率性の向上を実現」できる分野も模索し続けるとしており、さらに大きな人員削減の波が近づいている可能性も匂わせている。
たとえば、ゲームを開発部門であるAmazon Studiosも、28日にブログ記事のなかで人気を博しているMMOゲーム『New World』が発売4周年を迎えることを報告する記事のなかで、今後は新たなコンテンツアップデートを行わないことを表明。先日リリースされたシーズン10の開始と「Nighthaven」アップデートが最終コンテンツの提供になるとした。
Image:Amazon Game Studios
なお、New Worldサーバーは少なくとも2026年まで稼働を継続し、数か月以内に、今後に関する詳細を告知するという。現時点ではNew Worldの提供終了予定はなく、ユーザーに対しては、変更がある場合は6か月前には通知することを強調している。すぐにこのゲームが楽しめなくなるわけではない。
ゲーム担当副社長のスティーブ・ブーム氏は、「Amazon Game Studios内でのファーストパーティAAAゲーム開発作業の大部分、特にMMO周りの開発を中止するという難しい決断を下した。これには、アーバインとサンディエゴのスタジオ、そして中央パブリッシングチームにおける大幅な人員削減が含まれる」と述べた。
ただ、Amazonがゲーム開発から撤退するわけではない。今後はクラウドゲームサービス「Luna」で主にパーティゲームを重点的に提供していく方針を示している。また『トゥームレイダー』フランチャイズの新作の開発もまだ継続しているとのことだ。
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