西部劇をテーマにしたオープンワールドアクション「レッド・デッド・リデンプション」(以下、「RDR」)が日本発売15周年を迎えた。開発はロックスター・ゲームスで、対応機種はXbox 360とプレイステーション 3、国内ではテイクツー・インタラクティブが販売を行っている。
開拓時代が終わりつつある20世紀初頭のアメリカ西部・メキシコをオープンワールドとして構築し、ガンマンのジョン・マーストンを主人公に西部劇を繰り広げる本作。前作の「レッド・デッド・リボルバー」がステージクリア型のアクションゲームだったのに対し、続編となる本作は「グランド・セフト・オート」シリーズの流れを汲むオープンワールドのアクションアドベンチャーとなった。
まごうことなき西部劇の情景が広がる本作。本稿の画像はリマスター版のSwitch版で撮影している
アメリカ西部の荒野で、映画のシーンをほうふつとさせる決闘や銃撃戦、列車強盗などを追体験できる本作は、ワールドワイドで2,400万本のセールスを記録している。現在はリマスター版がプレイステーション 4、Nintendo Switch、PCなどでプレイ可能で、Xbox Series X|SではXbox One X Enhanced対応による高解像度のXbox 360版をプレイできる。
本稿では2023年にリリースされたNintendo Switch版を使って、発売から15年を迎えた本作を振り返ろう。
「レッド・デッド・リデンプション」Xbox 360版。筆者が当時購入したものだ開拓時代末期のアメリカ西部をオープンワールドで構築
「西部劇」というジャンルや「ウエスタン」というワードは、1960~1970年代の映画やドラマのブームを発端に、日本のカルチャーやエンタメに広く浸透し、親しまれてきた。カウボーイに憧れた子どもたちは“西部劇ごっこ”に没頭し、ドラマやアニメにもウエスタンスタイルを意識した演出が取り入れられた。
1対1の決闘は西部劇の定番シーンだ
西部劇をテーマにしたゲームは少なくなく、古くは「ウエスタンガン」や「ワイルドウエスタン」、「バンクパニック」といったアーケードゲームに始まり、「ワイルドガンマン」「ロウ・オブ・ザ・ウエスト」「サンセットライダーズ」「ワイルドアームズ」「GUN」「コール オブ ファレス」など、筆者が思いついただけでもこれだけあり、そのジャンルも多彩だ。
日本人にも比較的相性のいい西部劇だが、実は筆者はそれほど詳しくなく、上記タイトルのゲームをいくつか遊んだことがある程度。映画も「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3」ぐらいしか見たことがなかった(あれを西部劇と呼んでいいのかは微妙だが……)。
そんな筆者がなぜ本作に惹かれたのかはごく単純な理由で、2010年に入手した新型のXbox 360で遊ぶゲームを探していたからだ。同年10月に発売された「RDR」は、同時発売されたPS3版よりも解像度が高かったこともあり、筆者は迷わずXbox 360版を購入した。
「GTA」シリーズもニンテンドーDSの「Chinatown Wars」をプレイした程度で、本格的な3Dのオープンワールドアクションを体験するのは本作が初めてとなった。主人公のジョンが降り立つ1911年のアメリカ西部をモチーフとするフィールドは、西部開拓時代の終わりの乾いた荒野だ。
建物のほとんどは木造で床を歩くとギシギシと音が聞こえてくる。街外れには駅馬車が止まり、遠くから蒸気機関車の汽笛が響き、街中では銃声や悲鳴が聞こえることもある。西部劇には欠かせない2枚の扉が前後に開くスイングドアや、荒野を転がるタンブルウィード(回転草)を見たときは、前述の「BTTF PART3」のマーティのようにはしゃいでしまった。
馬に乗って西部の街を歩く。昼夜や天気の概念も導入されている
スイングドアをバタンと開けて酒場に入っていく。これを自分で体験できたのは興奮した
いわゆるモータリゼーションが起こるのはこの後の時代なので、車も少しだけ出てくるが、主な移動手段は馬か徒歩になる。道は舗装されていない獣道で、街にある建物なども少ないため、ほとんどの建物に入ることができたのはある意味リアルでもあった。
ゲームの最初の拠点となるマクファーレン農場からアルマジロの街へ向かう街道の高台からの眺め。最初に見たときは本当に感動し、今見てもグッとくるゾンビが蔓延する西部を奔走するもう一つの「RDR」、「アンデッド・ナイトメア」
本作の追加コンテンツとして発売され、リマスター版にも同梱される「アンデッド・ナイトメア」についても触れよう。これは「RDR」後半部分から展開するパラレルストーリーで、西部とメキシコで人々が突如ゾンビになってしまう現象が発生。ようやく再会したジョンの家族もゾンビ化してしまい、彼らを助けるための旅が始まる。
農場で雇っていたおじさんのゾンビ化を機に、妻や息子までゾンビ化してしまう
アクションのプレイフィールはほぼ同じだが、ゾンビ用の武器も登場する。攻撃に使う銃弾がお金よりも重要なものとなる(この世界はそもそもお金の概念が存在しない)。当然ながらミッションは本編とは様変わりし、街の防衛や生存者への協力、墓地の浄化などが主な目的として進行していく。
銃弾が貴重なものとなるので、たいまつによる近接攻撃が重要となる
ゾンビゲームの定番である複数種のゾンビが登場
ゾンビ以外にもビッグフットやチュパカブラ、“黙示録の馬”といった怪物も登場し、本編とは打って変わって「西部劇×ホラー」というエンタメ色の強いゲームが展開していくのがポイント。ハッピーエンド?と言えるかどうかはわからないが、この物語ならではのオチがあるのも魅力的だ。本編の進行度に関係なくプレイできる追加コンテンツとなるが、本編の登場人物が多数登場しているので、リマスター版をプレイするのであれば本編を終えてからプレイすることを勧めたい。
黙示録の馬は4種類いて、異なる能力を持っている。慣らせば普通の馬と同様に扱える画像の「悪疫」は耐久力が高くほぼ死なない15年経過しても色あせない、自由度の高い西部劇アクションの功労者
筆者は今回記事に使用したSwitch版を「アンデッド・ナイトメア」も含め70時間程度プレイしている。Xbox 360版の頃から数えると、かなり長い間遊んでいると思うのだが、好きな映画を何度も観るような気分で飽きることなく楽しめていて、改めて本作のフィールドの居心地の良さを噛みしめている。
後に体験する「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」や「DEATH STRANDING」のような荒れたフィールドが登場するオープンワールド作品に心惹かれるのは、本作に原点があるのかもしれない。
口笛やギター、バンジョーなどを使った西部劇らしいBGMも哀愁を感じさせる
15年前のゲームなので、今から見るとシステムや操作の一部に古さを感じるが、個人的には許容範囲だと思っている。現在のオープンワールドタイトルの選択肢が多数ある中で、積極的に本作を推すことはないが、現在もプレイできる環境があるので、機会があればこの西部の地にも足を運んでいただければと思う。
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