9月24日に開催された「RGG SUMMIT 2025」で電撃的に発表されたプレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/PC用アクションアドベンチャー「龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties」。シリーズファンが待ち望んでいた「龍が如く 極3」の発表だけでも大きなサプライズだったが、さらに峯義孝を主人公とした完全新作外伝が同梱されるという、まさに予想を超えた発表となった。

 発表の翌日からスタートした「東京ゲームショウ2025」では、その注目度の高さが如実に現れ、試遊整理券は早々になくなるほどの盛況ぶりだった。

 そんな話題作について、龍が如くスタジオから「龍が如く」シリーズ チーフプロデューサー阪本寛之氏と、本作のプロデューサー兼ディレクター堀井亮佑氏に詳しく話を聞くことができた。ただのリメイクに留まらない「龍が如く 極3」の新要素から、シリーズ史上最もダークなストーリーを描くという「龍が如く3外伝 Dark Ties」まで、2つのタイトルの魅力に迫る。

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東京ゲームショウでの反響とファンの期待「龍が如く」シリーズ チーフプロデューサーの阪本寛之氏「龍が如く 極3 / 龍が如く3外伝 Dark Ties」プロデューサー兼ディレクターの堀井亮佑氏

――本日はよろしくお願いします。まず、東京ゲームショウでの反響はいかがでしょう?

阪本氏:反応はかなりいいですね。いつか「龍が如く 極3」が来るんじゃないかというのは、ある程度予想の範囲内だったとは思うのですが、峯が主人公の外伝というのは想像していなかったと思います。峯も人気キャラクターなので、操作できるということから「プレイしたい」という反応に繋がったのかと思います。

 ブースをシンプルに見やすくし、試遊台の数を増やしたのが今回の出展なのですが、来場者の方も多くて、台数を少し増やしても追いつきませんでした。

――ファンの期待はそれだけ高いということですね。

阪本氏:そうですね。今回プレイできなかった方が口を揃えて言うのが「全国体験会などはありますか?」という質問なんです。

試遊するための整理券は早々になくなった

――なるほど。ちなみに開催される予定はありますか?

阪本氏:まだわかりません。東京ゲームショウが終わった後にどうしようかというのを毎回考えているので、今は東京ゲームショウに全力を注いでいます。

 東京ゲームショウは日本のお客さんがメインになりますが、海外のユーザーからも体験会は待ち望まれていて、北米やヨーロッパ、東南アジアといった地域のファンからも「遊びたい」という声は年々増えています。ですので、何かしらのアプローチをしたいとは思っています。

――その時はおふたりとも海外を回られるイメージでしょうか。

阪本氏:可能性はあります。ただ、何らかのイベントとセットにするのがいいのかなどアップデートしようと思っています。とにかく触りたいという方に向けて、どう遊んでもらい、どう手に取りやすくするかという施策を考えなければと思っています。例えば、その場所に来たらいつでも遊べるスペースを作るみたいなイメージですね。

「龍が如く 極3」はただのリメイクではない。全く新しい体験

――「龍が如く 極3」で一番見てほしいところはどこでしょうか?

堀井氏:「龍が如く 極3」は全体を通して、“ただのリメイクにしない”というのが大前提です。「龍が如く3」は遊ぼうと思えば今でも遊べるタイトルです。ただ綺麗になったり、追加シーンを入れたりしただけでは意味がないので、大きく変えています。そこはすごくこだわっていますね。

 ただ、ストーリーを変えるということではなく、すでに情報公開している「アサガオライフ」を含めて新しいコンテンツを入れたり、新しいシーンを追加したりしています。ですので、ベースは「龍が如く3」と同じなのですが、ゲームとしては全く異なるレベルのものになっています。

「龍が如く3」とはゲームとして全く異なるレベルに仕上がっているという

――沖縄のマップについて教えてください。

堀井氏:沖縄は大きく作り変えていません。僕たちが作るのは2025年ではなく、2009年頃の「龍が如く3」の時の沖縄なので、基本的にはそれをベースにしています。その良さは崩れないようにしつつ、最新のエンジンでクオリティの高いものにしています。

 「龍が如く3」の時は結構淡白なところがあり、ゲーム的にはもうちょっと歩きやすい方がいいという部分もありました。そういった部分はちゃんとリファインして、あまり使わないところはコンパクトにして、使うところは道を増やしたりという工夫を入れています。

阪本氏:モデル自体がプレイステーション 3時代のデータなので、それを現行機に作り直すという意味ではほぼ全部作り直しです。沖縄のマップは過去にリメイクしたものもないし、それを使ったものもないので、結構大変でしたね。

当時の沖縄を再現している

――新しいプレイスポットについて教えていただけますか?

堀井氏:プレイスポットという括りなのかはわからないですが、一番大事にしているのは児童養護施設「アサガオ」ですね。

 そこに「アサガオライフ」というコンテンツを追加して、かなり力を入れています。料理ができたり、トレーラーには入っていませんでしたが、ミシンをかけたり、子供の宿題を一緒に見てあげたり……と新しいものをたくさん入れています。全貌はまだ出せませんが、すごく力を入れているサイドコンテンツで面白いところです。

阪本氏:本当に全部新しいですね。0から作ったミニゲームで、かなりそこに注ぎ込まれています。今までないものがいっぱい入っているので、本当に新作ミニゲーム集みたいな感じです。

――アサガオライフはどのようなコンテンツでしょうか?

堀井氏:コツコツプレイすると「パパレベル」が上がっていきます。最初はドラゴンカレーしか作れませんが、ドラゴン寿司が作れるようになったりとか。アサガオの中でもいろいろサイクルがあります。「龍が如く8」の「ドンドコ島」ではないですが、野菜を作ったりいろんなことができるようになっています。

阪本氏:ドンドコ島は「別のゲームが入っているんじゃないか」と言われましたからね。

堀井氏:商店もありますし、作った野菜を売ったり、料理を子供たちに食べさせたり、自分の体力回復に使ったり、売ってお金にしたりできます。

 そのお金でアサガオのいいカカシや農園で使う肥料を買ったりと、そういったサイクルが回る遊びになっているので、ずっとアサガオだけで遊べます。

阪本氏:ずっとアサガオから出てこないみたいなね(笑)

――子供たちと絆を深められるシステムがあると伺いました。

堀井氏:そこはすごく丁寧に作っていて、今回一番頑張ったポイントでもあります。子供たちといろんなことをやっていくと、どんどん絆が芽生えていきます。

 最初は悩みを教えてくれないんですが、絆が出てくると「実は学校でこういうことで悩んでる」とか「実は私は本当はこういう夢があるんだけど、自分は孤児だからお金をかけるのも悪いし諦める」とか、そういういろんなことを子供たちも考えているので、そこに桐生がどう寄り添っていくか。そういう親としての桐生をすごく丁寧に描いているので、そこが一番見てほしいポイントですね。

アサガオでの生活がかなりフィーチャーされているのだという

――「龍が如く3」と「龍が如く 極3」で結末が違うシーンがあるというお話も伺いました。

阪本氏:まだ何も言えないです。ただ、プレイした後に「そういうことか」と色々な想像を膨らませてもらいたいですね。

堀井氏:そこに大小はあります。元々あった「龍が如く3」を軸にしていますが、足りなかった描写を足したり、補完しているところもあります。さらに、ゲーム的に「ここで展開を変えた方が面白い」とか「こういうバトルを起こした方が楽しい」とか「ここをちゃんと描いた方が絶対良くなる」という、そういうブラッシュアップをいっぱい入れています。

 そうして、新しいものを追加するためには前後を変えなきゃいけないところが当然出てきます。クラッシュ&ビルドではないですが、新しいものを追加するだけでなく、元々あったものを変えた部分もあります。

 ですので、当然新鮮味はあります。「龍が如く3」は今でも遊べるソフトなので、差がないと出す意味がありません。ゲームとしてのクオリティが上がっているのもそうですが、新規シーンやキャストの変更も含めて、新鮮味がないと面白くないですから。新作に近い形で楽しんでいただけると思います。

どのようなシーンに変化が現れているかに注目したい峯義孝が主人公のダークストーリー「龍が如く3外伝 Dark Ties」

――続いて「龍が如く3外伝」についてもお伺いします。まず、こだわりポイントはどこでしょうか。

堀井氏:本作で大切にしているコンセプトは、峯が主人公なので“峯らしさを出したい”というところです。桐生は正義感で戦い、困っている人を助けるキャラクターですが、峯はそうではない。

 極道の男で、孤独や狂気を孕んだキャラクターなので、わざわざ人を助けることもしないかもしれないし、助けを乞われたら助けるという面もあるかもしれない。そういった彼ならではの良さをちゃんと表現できるよう、峯らしさを意識して開発を進めています。

――峯らしさというと、峯の独白シーンから始まるのが印象的でした。

堀井氏:そうですね。今まで「龍が如く」シリーズで独白しているのは峯だけなんです。他の主人公はほぼ独白しないので、「龍が如く3外伝」は様々なキャラクターが登場するというよりは、峯自身の心の内を独白として多く入れています。峯自身が自問自答するというストーリーですね。

 自分探しではないですが、峯が絶望していく中で、自分が求めていたものが極道の世界にあるのかというところが軸になっています。神田や他のキャラクターも関わっていきますが、峯が自分に向き合う話なので、そこはすごく新しいですね。

阪本氏:シリーズの中でも一番のダークストーリーだと思います。今までは、極道上がりや元極道が誰かの人助けをしたり、何かを守るために戦うような物語だったのですが、峯の場合は本当にどんどんダークな方向に闇落ちしていく。どういう生き方を選ぶのかというところで、シリーズの中でも話のトーンがすごくダークになっているのが、新鮮かもしれませんね。

峯の独白から始まるゲームの冒頭シーン

――ゲームシステムについての質問です。奇をてらわずにスタンダードなシステムにしてストーリーを楽しんでもらいたい意図があるのでしょうか?

堀井氏:峯を主人公にしたプレイアブルな外伝として打ち出していて、「龍が如く 極2」の時の真島編とは違います。

 外伝に恥じない作品にしたいという思いがあったので、アドベンチャーで行けるところはほぼ行けます。今の「龍が如く」は、ストーリーを楽しむだけでなく、サブストーリーや達成目録を含めて色々なことをやっていくとキャラクターが成長し、ストーリーも進んでいくゲームデザインで作っています。今作でもその軸は入れたかったですし、ちゃんと入っていますね。

阪本氏:操作感で言っても、アクションがとてつもなく難しいというわけではなく、初めて触った人も動かして気持ちいいと感じられる部分を根底に置いています。峯だからといって突然変な操作を要求するのではなく、あくまでも初心者にも遊びやすいというところがベースにありますね。

アクションアドベンチャーとして「龍が如く」らしいスタンダードな作りになっている

――ボリュームはどのくらいでしょうか?

阪本氏:メインストーリーを進めると大体10時間ほど、サブストーリーやサブコンテンツをやると20時間ぐらいは普通に遊べるボリュームだと思います。「龍が如く7外伝」や「龍が如く8外伝」も作りましたが、「龍が如く7外伝」がコンパクトで楽しめるゲームとして良かったので、その辺りを参考に遊んでもらえたらと思います。オマケのレベルじゃないですね。

――「極2」の真島編とは全然違うレベルということですね。

堀井氏:かなり違いますね。真島編はアドベンチャーでいろいろできるわけではありませんでしたが、今回はサブストーリーもあります。例えるなら、「龍が如く」というお弁当に入っている具はだいたい入っているので、楽しみやすいと思います。

――試遊で「プリントサークル」を体験したときに「一人で撮影する」という項目が出ました。ということは一緒に撮影できるキャラクターはいますか?

堀井氏:いますよ。東京ゲームショウの試遊バージョンだと桐生でも撮れるのですが、桐生の場合は遥を呼び出して撮れます。それ以外のミニゲームでも呼べるものはいくつか用意してありますので、呼べるのも遥だけではありませんし、峯も誰かを呼べます。

――それはストーリー上で合流するキャラクターでしょうか。

堀井氏:「龍が如く3外伝」では神田や大吾といった極道の人間関係の中でどう成り上がっていくかに焦点を絞ったストーリーになっています。必然的に登場人物も極道関係の人物が多くなりますね。桐生みたいに一般人が色々出てきてバラエティ豊か、という感じではないです。

――ということは神田と一緒に写真を撮ることもできるということですか?

堀井氏:起こりうるかはわからないですね。そこは自分の目で確かめてくれ!(笑)

阪本氏:一応言っておきますが、峯と神田のセットだけがウリというわけではないですからね(笑)

大きな存在感を見せる神田

――トレーラーに登場する新キャラの碇新平も気になりました。

阪本氏:トレーラーに出てくるキャラクターは本当に個性的で、みんな悪いやつなんです。その中で峯がどう立ち回って成り上がるかというストーリーですね。

堀井氏:「こっちが先かあっちが先か」、「次に成り上がるのは誰だ?」という極道の中での成り上がりが軸になるので。みんな重要なキャラですね。

新キャラの碇新平にも注目だ

――「神田カリスマプロジェクト」について教えていただけますか?

堀井氏:すごく大事なコンテンツで、神田の評判を代わりに上げてあげるミッションのようなイメージです。神田がクズ人間だから、神田の代わりに峯が尻拭いとして、色々なことをするというものです。

阪本氏:会話の内容が酷すぎる(笑)

堀井氏:要するに尻拭いプロジェクトなんですけど(笑)。その中で色々やらなきゃいけないことが出てくる中で、峯が一般の人たちをどう助けるのか、色々な人々に向き合っていくのかというところで、峯自身の新たな一面が見えます。

 それをこなせばこなすほど神田の評判が上がって、評判が上がると神田の機嫌が上がって風俗に連れて行ってくれる(笑)。「俺の評判がめちゃくちゃ上がっとるやないかい」と言って、その風俗の待合室でドラマが始まる。そういうサイクル感なので、神田カリスマプロジェクトが1つの軸となっている部分はありますね。

思わず笑ってしまうやりとりも生まれた

――最後に、ユーザーへのメッセージをお願いします

堀井氏:2in1でお得ですし、「龍が如く3外伝」はすごく魅力的なタイトルになっています。「龍が如く 極3」の方も「龍が如く3」が遊べる中で「極」を出す意義や意味を考えながら作っているので、新作と同じぐらい楽しいものになっています。ぜひ手に取って遊んでいただければと思います。

阪本氏:驚きの要素があったり、遊びやすくなったり、こんなやり込み要素があるのかと思ってもらえるものをすごく仕込んでいます。

 純粋にすごくお買い得で遊び応えがあって、ドラマもすごくグッとくるという、今の龍が如くスタジオが出すタイトルとして認知してもらえると、後悔しない体験ができると思います。ファンの方もそうですが、「最新作だから龍が如くスタジオのゲームをやってみようかな」という人にとっても、ハマってくれるきっかけになると思います。

――本日はありがとうございました!

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