「東京ゲームショウ2025」に合わせて9月25日に放送されたマイクロソフトの配信番組「Xbox Tokyo Game Show 2025 Broadcast」。今回は全25タイトルの情報が公開され、「Call of Duty: Black Ops 7」や「Microsoft Flight Simulator 2024」、「Forza Mororsport」では日本マップが追加されるなど、日本にフォーカスしたサプライズが多数用意された。

 また、Xbox初の携帯機となる「ROG Xbox Ally」もいよいよ10月16日に発売。据置機のXbox Series X|SやPC、クラウドゲーミングも含め、Xboxは「どこでもゲームをプレイできる」最強のプラットフォームとなった。

 本稿では、マイクロソフトでXboxチームを率いるサラ・ボンド氏(President of Xbox)のインタビューをお届け。携帯機の「ROG Xbox Ally」やWindowsとXboxの関係性、Xboxプラットフォームの将来について伺ってきたので紹介していく。

【[ 日本語 – 4K ] Xbox Tokyo Game Show 2025 Broadcast】

ゲーマーの新たな選択肢となる「ROG Xbox Ally」

――まずハードウェアについてお伺いします。今回、Xboxとして初めての携帯機「ROG Xbox Ally」が登場しました。ASUSとタッグを組んだきっかけを教えてください。

サラ氏:以前から私たち「Xbox」とASUSは、ゲームに対する目標やコミットメントの面で、共通する部分が多いと感じていました。私たちのソフトウェア体験に、ASUSの卓越したハードウェア体験を組み合わせたものが「ROG Xbox Ally」です。私たちからすると、非常に自然なパートナーシップだと考えています。

――「ROG Xbox Ally」は、ハードウェアとしてはゲーム専用機ではなく、Windows 11を搭載したゲーミング PC になっています。「ROG Xbox Ally」はどのようなポジションを目指しているのでしょうか?

サラ氏:ハンドヘルドデバイス(携帯機)を作るというのは、私たちの「どこでもゲームをプレイできる」という戦略に沿ったもので、自然な流れだと思います。ASUSはハンドヘルドデバイスの実績があるので、私たちと彼らの経験を活かして、Xboxのゲーム体験の可能性を広げることができると考えました。

 「ROG Xbox Ally」は主に3つの特徴があります。まずはハードウェアのデザインです。特にグリップは、人間工学に基づいた非常に心地よい握り心地になっています。これはXboxが長年手がけてきたコントローラーの経験と、ASUSのハンドヘルドデバイスの経験を融合させたものです。

 実は「ROG Ally」から性能が強化されている一方で、重量は増えているのですが、重さを感じづらい設計になっていて、長時間のゲームプレイでも快適に楽しめると思います。

 2つ目は、Windowsの最適化です。ゲーム機としてOSを最適化し、ゲームプレイ中には必要のないWindowsのプロセスを排除して、よりゲーミングに特化させています。

 3つ目は、すぐにゲームをプレイできるようにカスタマイズされていることです。タッチパネルでスクロールやスワイプをしてゲームに直感的にアクセスできますし、さまざまなストアで購入したゲームに直接アクセスすることもできます。

 私たちは、Xboxのゲーム体験をどのデバイスでも体験できるようにしていきたいのです。どこにいてもゲームライフを送ることができる。これを実現するのが次のステップだと思っています。

――「ROG Xbox Ally」は外付けのディスプレイにつないで、据え置き機として使用できるような運用も想定されているのでしょうか?

サラ氏:もちろんです。また、発売後も「ROG Xbox Ally」の体験を向上させるようなソフトウェアアップデートを行なっていきたいと考えています。

10月16日発売予定の「ROG Xbox Ally X」と「ROG Xbox Ally」

――「どこでもゲームをプレイできる」という点では、クラウドゲーム「Xbox Cloud Gaming」も展開されていますが、どうしてここにきて高性能なハードウェアを搭載した「ROG Xbox Ally」を展開することになったのでしょうか?

サラ氏:これはフレキシビリティ(柔軟性)を重視した結果です。ゲーマーの間ではクラウドで十分という方もいますが、中にはローカルにインストールした上でプレイしたいという方もいます。様々な方がいらっしゃる中で、もう一つの選択肢を提供するために「ROG Xbox Ally」をリリースすることになりました。

――実際私も外出先で「Xbox Cloud Gaming」を利用するのですが、一人のゲーマーとしてやはり遅延が気になることもあり、そういうゲーマーに「ROG Xbox Ally」はベストな選択肢になると思います。

サラ氏:そうなんです。やはりゲーマーに対して、私たちは選択肢を提供するのが重要だと感じています。もちろん、私たちは引き続きクラウドゲームへの投資を進めていきますし、これからも様々なテストをしていく予定です。

スマートフォンやタブレットでもXboxゲームをプレイできる「Xbox Cloud Gaming」

――日本では2025年5月にXboxハードウェアの値上げが行なわれました。ゲーム機は性能の引き上げとともに価格も上昇しており、ゲーミングPCとの境界線が少しずつ曖昧になっていると思います。今後の展開についてはどのようにお考えでしょうか?

サラ氏:私たちは常にマクロ経済環境を注視しています。今回の価格調整もそれに伴うものです。

――Xbox Series X|Sのリリースから5年が経過しました。そろそろ次世代機の足音が聞こえてきそうですが、現状のXbox Series X|Sの売上や普及率について、どのように考えておられますか?

サラ氏:Xbox Series X|Sはとても重要なハードウェアです。一方で私たちはPCやクラウドでもXboxのゲーム体験を展開していて、コンソール、PC、モバイルを区別せず、全体のプレーヤーの振る舞いを見てXboxの投資を行なっています。

 Xboxは全てのデバイスでのゲーム体験が重要だと考えています。嬉しいことに、アジアからのデベロッパーが非常に増えていて「Xbox Play Anywhere」の対応タイトルも1,000以上になりました。私たちは「Xbox」全体での成功を見ています。

発売から5年を迎えるXbox Series X|SWindowsとXboxの関係性はより強固なものに

――ここからはソフトウェアやサービスについても少しお話をさせてください。先日、Windows PCの「Xbox」アプリで、SteamやEpic Games Storeで購入したゲームが表示されるようになるなど、大きなアップデートが行なわれました。今後はどのようなアップデートをお考えでしょうか?

サラ氏:WindowsとXboxの関係性は、これまでで最も強固なものになっていると思います。ご存知の通り、ゲーミングにおいて最も人気のあるOSは「Windows」です。今後もWindowsのエコシステム全体を使って、様々なことができると考えています。

SteamやEpic Games StoreのライブラリにアクセスできるようになったPC版「Xbox」アプリ

――2024年からXbox Game Studiosの一部ゲームが、他のプラットフォームでも展開されるようになりました。2025年春には「Forza Horizon 5」や「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」がPS5で発売された一方で、「Forza Motorsport」や「Microsoft Flight Simulator」など他プラットフォームで展開されていないタイトルもあります。他プラットフォームでの展開の方針についてお聞かせください。

サラ氏:すみませんが、現時点で私からそれらの情報を共有することはできません。……余談ですが「ROG Xbox Ally」では、PC版が展開されているPlayStation Studiosのタイトル(「Marvel’s Spider-Man」など)もプレイできますよ。

(編集部注:9月25日に放送されたPlayStationの配信番組「State of Play」にて、PS5版「Micorosoft Flight Simulator 2024」が発表された。)

2025年4月にPS5版が発売された「Forza Horizon 5」PC版が発売されているPlayStation Studiosのタイトルは「ROG Xbox Ally」でもプレイできる。画像は「Marvel’s Spider-Man」

――2025年1月に放送されたXboxの配信番組「Developer_Direct 2025」にて、コーエーテクモゲームスの「NINJA GAIDEN 4」が発表されました。近年、Xboxは日本のゲームスタジオとの関係性を強化していますが、コーエーテクモゲームスとのきっかけを教えてください。

サラ氏:私たちは日本の著名なゲームクリエイターのみなさんをはじめ、アジアのゲームクリエイターとの関係を構築しています。みなさんが私たちと協力し、積極的に私たちのプラットフォームでゲームを出荷してくださることは非常に嬉しいことです。

 また、私たちはコミュニティの声にいつも耳を傾けています。具体的にいつだったかは覚えていないのですが、以前から「NINJA GAIDEN」シリーズのファンが多いという話を聞いていて、私たちが日本に来ていたタイミングで、コーエーテクモゲームスさんと様々なお話をする機会がありました。長い時間がかかりましたが「NINJA GAIDEN 4」として実現、発表できたことを嬉しく思います。

「NINJA GAIDEN 4」は10月21日に発売予定

――サブスクリプションサービスの「Xbox Game Pass」は対象タイトルが年々増えていて、私も日々お世話になっている一方で、一人のゲーマーとして少し安すぎるのではないかとも感じています。「Xbox Game Pass」はビジネスとして成り立っているのか教えてください。

サラ氏:前会計年度の「Xbox Game Pass」の売り上げは、過去最高の50億ドルを記録しました。利益は出しているビジネスですし、より多くのクリエイターが「Xbox Game Pass」に参加してくださっていて、クリエイターのみなさんに対する支払いも増えているので、クリエイターにとっても良いビジネスだと考えています。

数百のゲームを定額で楽しめるサブスクリプション「Xbox Game Pass」Xboxプラットフォームの将来について

――「ROG Xbox Ally」が登場することで、Xboxプラットフォームがより強固なものになると思います。今後、プラットフォームをどのように伸ばしていこうとお考えでしょうか?

サラ氏:まずプレーヤーに対して、柔軟性と使いやすさを引き続き提供していこうと考えています。クラウドももちろんですが、よりスムーズにゲームをプレイできるようになるという体験への投資を今後も増やしていきます。また、こういったイノベーションをWindowsエコシステム全体に浸透させたいと考えています。

 さらに、様々なデバイスやアクセサリーで作り続けることで、イノベーションを進めていく予定です。先日、AMDとのパートナーシップも発表させていただきましたが、私たちは次世代のコンソールデバイスについても検討して取り組んでいます。

XboxとWindows、どのようなイノベーションが起きるのか期待したい

――私は「Xbox Elite ワイヤレスコントローラー シリーズ2」を愛用しているのですが、そろそろ新モデルも気になってきました。新たな情報などはありますか……?

サラ氏:今日の時点でお話しできることはありません(笑)。ですが、私たちはアクセサリーについても様々なイノベーションを進めています。今後、色々と情報として出てくるはずです。

2019年11月に発売された「Xbox Elite ワイヤレスコントローラー シリーズ2」

――東京ゲームショウに向けて、日本のXboxゲーマーやPCゲーマーにコメントをお願いします。

サラ氏:日本は本当に素晴らしい国で、私たちも大きくコミットメントしているマーケットです。特にゲーム分野では非常に著名なクリエイターがいて、Xboxプラットフォームもその期待に応えていきたいと思います。

 日本では多くの方がPCでゲームをプレイされていることを嬉しく思いますし、皆さんのPCでXboxのパワーを感じていただけるように今後も努力していきます。今後も様々な形で情報を発表していくので、楽しみにしていてください。

――本日はありがとうございました。

TGSに合わせて様々な情報が発表されたXbox。今後の動きにも期待したい

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