【元記事をASCII.jpで読む】
九州を中心に展開しているPCショップのアプライドは、BTO PCも生産している。とんこつラーメンの麺の硬さから名前を取った「Barikata Gaming」など、九州ならではのユニークなネーミングが特徴的だ。
そんなアプライドに新たなゲーミングPCブランドが誕生した。その名も「PHANOS」。ブランド名の由来は、古代ギリシャ語で「灯火」「光を放つもの」だという。その名の通り、光の演出で魅せる美しいゲーミングPCだ。
今回は、そんなPHANOSシリーズの「PHANOS-443911」をレビューし、その真価を探っていきたい。
なお、今回のレビューで用意した試用機のスペックは上記の通り。アプライド指定のPCパーツはタイミングによって、試用機と異なるメーカーや製品になる場合がある点を留意してほしい。
横置き・縦置き両対応! 光の美しさは圧巻
PHANOS-443911の最大の特徴は、なんと言ってもPCケースにbe quiet!の「Light Base 600 LX」(ブラック)を採用している点だろう。be quiet!はドイツのListan GmbHが展開するブランドであり、ゲーミングPCやワークステーションなどのデスクトップPC向けハードウェアを開発・設計している。“be quiet(お静かに)”のブランド名のとおり、静音性を重視している。
Light Base 600 LXはミドルタワー型のピラーレスPCケースで、フロントからサイドにかけて支柱を省いている。トップからフロント、ボトムにかけて3本入っているLEDの主張も印象的だ。デュアルチャンバータイプのPCケースなので横幅が大きめの筐体だが、そのぶん高さは控えめ。サイズは305(W)×450(D)×455(H)mmとなっている。
CPUクーラーのラジエーターも含め、合計10基のLEDファンを備える。さらに、メモリーやCPUクーラーのポンプヘッドにもLEDを搭載しているので、見た目はかなりゴージャスだ。ファンやCPUクーラーもPCケースと同様にbe quiet!製で、冷却面にはこだわりが見える。
しかし、「このPCケースはなぜ見えないはずのボトムにもLEDをつけているのか?」と疑問に思う人もいるのではないだろうか。実はこれには秘密がある。Light Base 600 LXはPCケースを支えるパーツを移動することで、PCの設置向きを選べるのだ。
上記の紹介動画でわかるように、PCケースは上下を逆にしたり、横置きもできる。エアフローを考えると逆さ置きはあまりオススメしないが、それでも横置きと縦置きを選べる点はおもしろい。横置きにするとボトムまで伸びていたLEDのラインがしっかり見えるようになり、縦置きとはまた違った趣のライティングが楽しめる。
マザーボードもゲーミング仕様
マザーボードにはASRock製の「X870 Riptide WiFi」を採用し、Wi-Fi 7とBluetooth 5.4に対応する。そして、ASRock独自の「ライトニングゲーミングポート」や「ウルトラUSBパワーポート」も特徴の1つ。
ライトニングゲーミングポートは、ポートごとに異なるUSBコントローラーで制御し、デバイスの信号が混雑して入力遅延が起こる現象を防ぐという。ウルトラUSBパワーポートは、12V電源を5Vに変換する専用ICを搭載することで、USBデバイスへの電源供給を安定化。これにより、USBオーディオデバイスのノイズを防げるとのこと。
BTOのゲーミングPCだと、コスパを追求するためにマザーボードをエントリー向けのモデルにすることも少なくない。そんな中、しっかりとゲーミング向けのモデルを採用しているところにPHANOSシリーズのこだわりが見える。
9800X3DとRTX 5070 Tiでグラフィックス性能は◎
ここからはパフォーマンスをベンチマークでチェックしていこう。まずは本機のスペック紹介から。CPUは「Ryzen 7 9800X3D」を採用する。3D V-Cache技術を採用した最新世代のモデルで、特にゲーミング性能は優秀で人気を博している。
ビデオカードはGeForce RTX 5070搭載モデル。GeForce RTX 50シリーズはマルチフレーム生成技術で、一部の対応ゲームではフレームレートを大きく底上げできるという強みがある。その中でも、RTX 5070は最新の重量級タイトルでも高画質かつ高解像度で遊べるポテンシャルがあるGPUだ。
メモリーは32GB(16GB×2)と、近年の重量級ゲームで推奨される容量を確保。ストレージはPCIe 4.0接続の2TB SSDとこちらも容量たっぷりだ。また、電源ユニットに80 PLUS PLATINUM認証モデルを採用している点もプレミアムモデルならでは。
まずは、CPUのパフォーマンスを計る「Cinebench 2024」の結果から見てみよう。なお、OSの電源モードはデフォルトの「バランス」に設定している。
結果はMulti Coreが1267pts、Single Coreが133pts。Ryzen 7 9800X3Dは、近年のデスクトップPCとしてはコア数が多いほうではないが、Single Coreのスコアーは同価格帯の競合CPUと比べても優秀な値だ。
続いて、グラフィックの描画性能を3DMarkで検証した。
全体的に。3DMarkが収集している同じGPUのベンチマークデータと比べても、平均以上の結果だった。この成績なら実際のゲームでもかなり快適に遊べるラインになるはずだ。
実際のゲームをもとにしたベンチマークも優秀
では、実際のゲームにおけるパフォーマンスはどの程度なのか、ゲーム系ベンチマークソフトでテストしてみよう。まずは定番の「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下、FF14ベンチマーク)から。
アップスケーラーは「DLSS」、画質設定を「最高品質」を選択。以降のテストも含め、解像度はフルHD(1920×1080ドット)、WQHD(2560×1440ドット)、4K(3840×2160ドット)の3種類で計測している。
WQHD以下なら動作評価は「非常に快適」と最高評価。4Kでも1段階下の「とても快適」を保っていた。フレームレートを見ても、WQHDまでならしっかりスムーズな描画ができ、4Kでも十分に遊べる範囲だ。
では、よりフレームレートが重視されるFPS系のタイトルではどうか。「レインボーシックス シージ エックス」のゲーム内ベンチマーク機能でフレームレートを計測してみた。グラフィックの総合品質は「ウルトラ+」に設定。
フルHDやWQHDでは十分なフレームレートが確保できているので、144Hz以上のゲーミングディスプレーと組み合わせて、快適にゲームが遊べるだろう。一方で、4Kはやや荷が重かったようなので、フレームレート重視派なら画質設定を下げたほうがいいだろう。
続いては「フォートナイト」。今回はTAXIONIC氏制作のベンチマーク用クリエイティブマップ「Benchmark / Settings Optimisation」で、「CapFrameX」を用いてフレームレートを計測している。グラフィックのクオリティプリセットは「最高」に設定し、レンダリングスケールは「100%」、レンダリングモードは「DirectX 12」としている。
フォートナイトの画質設定はかなり高負荷な設定まであるので、最高設定はかなり重い。しかしながら、最高画質でもWQHD以下なら十分動き、フルHDならそこそこ快適と言えるレベルになった。
次は「モンスターハンターワイルズ」。グラフィックプリセットは「ウルトラ」、レイトレーシングはプリセット「高」に設定した。マップ「緋の森(豊穣期)」で一定のルートで移動した際のフレームレートを「FrameView」で3分間計測。
さすがに最高画質設定は重く、Ryzen 7 9800X3D&RTX 5070のコンビでもWQHD以上は厳しい結果になった。しかし、そんな時に注目したい機能がマルチフレーム生成だ。フレーム生成は、通常レンダリングされるゲームのフレームの間に、AIを用いて中間フレームを生成する技術のこと。
前世代のGeForce RTX 40シリーズでもフレーム生成は可能だったが、生成フレームは1枚までだった。それに対し、GeForce RTX 50シリーズでは、最大で3枚生成できるようになった。そして、グラフィックオプションでフレーム生成の項目を「NVIDIA DLSS 4x」に変更した結果が以下だ。
フレームレートがぐんと向上し、WQHDや4Kでも十分遊べるレベルになった。こうした機能を利用できるところも、最新のPCパーツを採用するPHANOS-443911の強みと言える。
ただし、マルチフレーム生成をオンにすると、PC Latency(PCの内部遅延)が増えるという現象もFrameView上で確認できた。顕著に体感できるほどの差ではなかったが、この機能を使う際には覚えておくといいだろう。
ストレージはPCIe 4.0接続SSDで十分高速
最後にストレージの速度も計測してみよう。定番ベンチマークソフト「CrystalDiskMark 9.0.1」を用いてテストした。
読み込み/書き込みともにほぼスペック通りで、PCIe 4.0接続のSSDだけあって高速だった。最新のPCIe 5.0対応SSDには及ばないが、OSの起動やゲームのロードにおいてはそこまで大きな差は出ないのでコスパはいい。
容量は2TBと大きめな点もありがたい。最近のゲームはファイルサイズが100GB近くある場合もざらなので、ストレージの容量は大きいに越したことはない。
まとめ:見た目も性能も妥協なし! 光の力を手にせよ
ゲーミングPCを選ぶ際は、性能はもちろんだが、見た目も重要なポイントだ。そういった意味では、PHANOS-443911は見た目も性能もすばらしく、新ブランドとしてふさわしいゲーミングPCだと感じた。
直販価格は49万8800円と高価な部類だが、「見た目も性能も妥協したくない!」という人には、ぜひチェックしてほしい1台だ。最新PCパーツが主軸なので、きっと長らく第一線で活躍してくれることだろう。
■関連サイト
古代ギリシャ語で「光を放つもの」の名を冠す、9800X3D&RTX 5070のゲーミングPCが美しすぎる