現代アート×インディーゲーム×キャラクター文化を軸にした国際的なアート展「ART BIT MATRIX -TOKSATSU to VIDEOGAME-」が、8月29日(金)よりシンガポール・MIZUMA GALLERYで開催される。

本展は、ホテル アンテルーム 京都で毎年開催されている企画展「art bit」と、アーティスト・たかくらかずきさんによるグループ展「キャラクター・マトリクス」が共同でキュレーション。

出展アーティストは、青山夢さん、岡田舜さん、影山紗和子さん、九鬼知也さん、contact GONZOさん、たかくらかずきさん、竹内義博さん、谷村メイチンロマーナさん、西垣肇也樹さん、西島大介さん、平山匠さん、ヤノベケンジ+BAN8KU+ゲーム制作チームの12組。

特撮からゲームへ──祈りと遊びが交差するアート曼荼羅

「ウルトラマン」などに代表される日本の特撮文化が持つ“呪術的なキャラクター造形”は、時にゲーム文化へと継承され、『ポケットモンスター』のような存在へと変貌してきた。

その系譜をふまえたうえで、本展では“特撮とゲームの接続点”から起動する新たなアートの形が提示される。

その出発点となるのは、現代美術家・ヤノベケンジさんによる新作アーケード筐体作品。本作はヤノベケンジさんの代表作である創作神話《BIG CAT BANG》で展開された「宇宙猫」を主人公に据え、ゲーム制作チームとのコラボにより、ゲーム内蔵型の彫刻作品として発表される(ゲーム本編は制作中、今回はオープニング映像を展示予定)。

この“彫刻×ゲーム”というジャンル横断的な手法は、フィジカルな造形物でありながら、鑑賞者が仮想世界に接続できる「依代」としてのアートの可能性を問い直すものになるという。

アートとキャラ文化の“交信点”を探る12組の作家たち

出展アーティストには、青山夢さん、岡田舜さん、影山紗和子さん、たかくらかずきさん、西島大介さんら、ゲームや特撮文化に強い関心を持ち、現代アートの枠組みを越境する作家たちが集結。

たとえば、特撮怪獣の痕跡を日本画の技法と都市風景に重ねる西垣肇也樹さん、パズルゲーム「ぷよぷよ」を引用した絵画を展開する竹内義博さん、ポップな“半人キャラ”のテレビ番組を描く影山紗和子さん、そして、『スペースインベーダー』を脱構築した西島大介さんの《撃たないシューティン》など、ジャンルの混淆と批評性がせめぎ合う作品群が並ぶ。

絵画、彫刻、映像、ゲーム、フィギュア、パフォーマンスなど、あらゆるメディウムが共棲する“多元的なアート曼荼羅(マトリクス)”が生み出される。

アートの未来は「キャラクター」に宿る?

今展は、かつて村上隆さんが提唱した「スーパーフラット」以降の日本発キャラクター文化の美学的再検証でもあるという。

特撮やゲームが持つ「呪術的」「信仰的」な側面を現代美術のフィールドで再定義しようとする動きは、AIやメタバース以降のキャラクター表現にも直結する試みと言える。

展覧会タイトルにある「MATRIX(マトリクス)」が示すように、キャラクターという依代が、現実と仮想、聖と俗、東洋と西洋、芸術と遊びのすべてをつなぐ“インターフェース”として浮かび上がる。

特撮やゲームが生み出してきた“依代”としてのキャラクター表現を軸に、美術とポップカルチャーの接続を試みるという。

tyanyone

米村 智水

KAI-YOU inc. CEO. 1986年生まれ。法政大学文学部日本文学科卒業。出版社での書籍編集業務や、大手SNS運営会社でWeb/コミュニティディレクター等を経験し、2011年にKAI-YOU inc. を創業。2013年にKAI-YOU.netをリリース。様々なポップカルチャーに関連するプランニングやマーケティング、プロデュースを行う。編集記者としては、インターネットやストリートなどで発生するUGCやアマチュア文化に強い関心を持ち、ジャンルレスに取材・編集・研究を行う。

特撮とゲームが融合する国際アート展「ART BIT MATRIX」開催 ヤノベケンジ、たかくらかずきら参加

Write A Comment

Exit mobile version