2025年6月に発売された「Nintendo Switch 2」が記録的なスタートダッシュを見せている。任天堂によると、発売後4日間の全世界販売台数は350万台を突破。この販売ペースは、過去の同社製ゲーム機すべてを上回る。そして、同機と同時に発売されたのが『マリオカート ワールド』。定番シリーズの最新作は、Nintendo Switch 2の普及とともに楽しさが広がる可能性を感じさせる。

Nintendo Switch 2と同時に発売された『マリオカート ワールド』。タイトル画面で「+(プラス)」ボタンを押すと、そのままフリーランが始まる

Nintendo Switch 2と同時に発売された『マリオカート ワールド』。タイトル画面で「+(プラス)」ボタンを押すと、そのままフリーランが始まる

 

 『マリオカート ワールド』は、1992年にシリーズ第1作が作られて以降、30年を超えて人気を持続する人気レースゲーム「マリオカート」シリーズの最新作だ。Nintendo Switch 2と同時に発売され、その人気拡大に貢献している。

 『マリオカート ワールド』は、過去のシリーズ作と比べて、ゲーム内容が劇的に進化した。ゲーム内には30以上のコースが点在する巨大な大陸が用意され、プレーヤーはコースのみならず、コースとコースを結ぶ道も走れるようになった。

 タイトル画面で「+(プラス)ボタン」を押して、「フリーラン」モードに入れば、その道さえ外れ、草原、砂漠、ジャングル、雪原など、道なき道を進むこともできる。ジャンプ台を利用すれば、カートがグライダーになって空を飛べるし、水上バイクのように海や湖を走ることもできる。

 この大陸にはあらゆる気候帯がぎゅっと詰め込まれている。そこに欧州風、北米風、アジア風、中東風などなど、様々な文化をモチーフとした街が点在し、キノピオやヨッシーなど、マリオシリーズでおなじみのキャラたちが生き生きと暮らしている。

広い大陸にはいろいろな街がある。ここは大都会の街角

広い大陸にはいろいろな街がある。ここは大都会の街角

サバンナ地方。いろいろな野生動物が暮らしているエリア

サバンナ地方。いろいろな野生動物が暮らしているエリア

荒れた海上を進むことも可能。沈没船の中にもコースが用意されている

荒れた海上を進むことも可能。沈没船の中にもコースが用意されている

 時間もきちんと流れている。カートを走らせていると、いつしか世界は夕日に照らされ、夜になり、日中とは異なる顔を見せ始める。

 天候も変化する。晴れや曇り、雨などへ移り変わり、そのたびに世界の雰囲気ががらりと変わるのだ。

 この魅力的な世界をより堪能したければ、大陸のあちこちに隠された、膨大な数の「Pスイッチ」を探してみよう。これを踏むとミッションがスタート。制限時間内に決められたコースを走破する、青いコインを8つ集める、さらには草レースに参加するものなど、多種多彩なチャレンジが提示される。

 これに夢中になると、時間はみるみる溶けていく。なにしろミッション総数は400ほどもあると言われているのだ(筆者はまだ330個ほどしか発見できておらず、総数は分からない)。

大陸のあちこちにPスイッチが隠されている。踏むとミッションがスタートする

大陸のあちこちにPスイッチが隠されている。踏むとミッションがスタートする

ミッションは多種多様。これは都市部に出現した恐竜を避けてゴールを目指すミッション

ミッションは多種多様。これは都市部に出現した恐竜を避けてゴールを目指すミッション

他の乗り物を利用するミッションもある。これはUFOに乗ってコインを集めるミッション

他の乗り物を利用するミッションもある。これはUFOに乗ってコインを集めるミッション

 全世界を熱狂させた同社の伝説的オープンワールドゲームといえば『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』があるが、それらのタイトルで用意されたミニミッションは、それぞれ150個前後。攻略すべき祠(ほこら)も130前後だ。

 これらと比較しても、『マリオカート ワールド』に用意されたミッション数が、尋常じゃないボリュームであることが分かる。

 探索要素はそれだけではない。「ハテナスイッチ」や「ピーチコイン」を集めるといった楽しみもある。それらを含めてコンプリートを目指そうとすると、『マリオカート ワールド』は、あっという間に時間が過ぎていく時間泥棒に変貌する。

対戦レースゲームとしても満点のクオリティー

 ここまでゲームの世界観とコースの面白さにばかり触れてしまったが、これは「マリオカート」シリーズの最新作だ。全世界の人たちを熱狂させてきたレースゲームの楽しさも、もちろんきちんと引き継がれている。そのクオリティーも過去最高と言っていいだろう。

 『マリオカート ワールド』では、総勢24人での同時対戦が可能になった。これだけの大人数で「マリオカート」シリーズならではの妨害アイテムを使用してレースを展開するのだから、どたばたぶりは大きくパワーアップした。目まぐるしく順位が変動する、まるで気が抜けない時間が続く。

 前作までとの最大の違いは、ただコースを周回するゲームではなくなったこと。大陸全体を舞台としてレースが行われるため、コースとコースの間の一般道でもレースは継続する。

 この特性を利用して新設された「サバイバルモード」は抜群の面白さだ。広大な大陸を24人で駆け抜け、チェックポイントごとに4人ずつ脱落していくという過酷なルール。チェックポイント間際の駆け引きは、つねに手に汗握る面白さだ。

 一定時間であれば壁を走れる「ウォールラン」、手すりや電線などの細い足場を走る「レールスライド」といったテクニックも追加された。カーブのインコースぎりぎりを走っていたのに(従来ならば、これが理論上の最速ルートとなる)、さらに内側にある壁を駆け抜けて追い抜いてくるヤツもいれば、はるか上空の電線を飛び跳ねるように走るヤツもいて……と、従来のレースゲームではあり得ない、常識外れのレースが展開する。

レースには最大24人で参加できる。おなじみのマリオシリーズのキャラたちが、どたばたの順位争いを繰り広げることに。

レースには最大24人で参加できる。おなじみのマリオシリーズのキャラたちが、どたばたの順位争いを繰り広げることに

新しい走法も追加された。これは細い足場を進む「レールスライド」。あっと驚く場所を駆け抜けることが可能に

新しい走法も追加された。これは細い足場を進む「レールスライド」。あっと驚く場所を駆け抜けることが可能に

 ゲームの発売から数週間たった今、タイムをより短縮できるコース取りや、順位を上げるためのテクニックなどが、世界中のプレーヤーによって発見されているところだ。腕自慢のプレーヤーたちは超絶テクニックを駆使して、オンラインで覇を競い合い、きっと何年もこのゲームを楽しみ続けるだろう。

 念のために補足しておくと、だからといって超絶テクニックを覚えなくてはいけないゲームではない。昔ながらの走法でレースに参加しても100点満点の楽しさが味わえるだろう。初心者のためのアシスト機能が前作より充実しており、3~4歳の未就学児でも、ものの数時間でエンディングに到達できる難易度に調整されているからだ。

 『マリオカート ワールド』は、上級者をうならせ、中級者を楽しませ、そして初心者も心からの笑顔にする、シリーズ伝統の懐の広さも、きちんと継承している。

Switch 2が普及すれば面白さは加速する

 とはいえ、『マリオカート ワールド』の楽しさは、まだまだ開拓途中といっていい。なぜなら『マリオカート ワールド』の対応機種はSwitch 2のみ。そしてご存じのように、Switch 2はいまだ品薄状態が続いている。

 いずれ多くのユーザーにSwitch 2が行きわたったとき、このゲームの真の魅力が広がっていくはずだ。Switch 2は、プレーヤー同士のコミュニケーションを促すゲーム機であり、標準機能で音声チャットが、別売のUSBカメラを使えば動画チャットが可能となる。

 チャットを利用しながらフレンドと一緒にプレーすることで、面白さはさらにアップする。会話しながら、あるいは画面上に表示される相手の顔を見ながらのレースが楽しめる。同じ空間にいるかのような感覚で、いつでもフレンドとコミュニケーションがとれる。

 特にフリーランには、一般的なレースゲームとも違う、新しい面白さを感じられるだろう。フリーランは、レースのように競い合うのではなく、『マリオカート ワールド』の広大な世界を自由にドライブするモードだ。

 たわいない会話をしながら、友達と魅力的な大陸を自由にドライブできる。参加者全員がカートに乗っているのだから、これを利用して、かくれんぼをしてもいいし、おにごっこをしてもいい。小さな子供たちは、きっと大人が予想もしなかった遊び方を発明し、この広大なオープンワールドでのコミュニケーションを堪能するだろう。

みんながSwitch 2を持つようになれば、この広大な大陸がフレンドとのコミュニケーションの場になる

みんながSwitch 2を持つようになれば、この広大な大陸がフレンドとのコミュニケーションの場になる

 こうして内容を列挙してみると、『マリオカート ワールド』には、これまで以上に多様な遊び方が詰まっている。

 フリーランでは1人で冒険を楽しみたいプレイヤーを夢中にさせ、レースを選択すれば「ガチ勢」のゲーマーをうならせる。音声や動画チャットが当たり前になっている世代にとっては、ゲームしながらのコミュニケーションが抜群に楽しいゲームだ。様々なユーザーの、さまざまな楽しみ方をすくい上げる”巨大な器”になっているのだ。

 ここまで全方位を楽しませるソフトであれば、販売実績6820万本(2025年3月末時点)の大ヒット作となった前作『マリオカート8 デラックス』同様、ロングランヒットを記録するのは間違いない。

 恐ろしいことに、このゲーム、後からコンテンツを追加することも可能なはずだ。Pスイッチを追加してミッションを増やすことも、新しいコースを大陸上に増やすことも、新しいルールを取り入れたレースを開催することも、いっそ大陸ごと新たに追加することだって(作り手の労力的には大変だが)、物理的にはできるだろう。

 すでに満点クラスの出来栄えでありながら、まだまだ発展の可能性を秘めている。任天堂はとんでもないゲームをSwitch 2の第1弾タイトルとしてリリースしてきた。

(c)Nintendo

NGM

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対戦レースゲームとしても満点のクオリティー

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