スクウェア(現:スクウェア・エニックス)が2000年7月7日に発売したプレイステーション用ソフト「ファイナルファンタジーIX」が、本日で25周年を迎えた。

 本作は、劇団員であり盗賊のジタン・トライバルが、王女のガーネット、黒魔道士のビビ、騎士のスタイナーなどとパーティを組み冒険するRPG。その名のとおり「FF」こと「ファイナルファンタジー」シリーズ第9弾にあたる。

 以下、筆者が発売日にソフトを購入し、エンディング到達までやり込んでいた当時の記憶と体験を元に、本作ならではの特徴や面白さを改めて振り返ってみた。

コミカルなビジュアルと、奥深いストーリーに魅了される

 筆者が本作が発売されるとの情報を最初に得たのは、おそらく「ファミ通」の記事だったように記憶している。「何だか、西洋童話の挿し絵みたいな画面だなあ……」というのが筆者の第一印象で、キャラクターの表情も体型もリアルに描かれていた、前作の「ファイナルファンタジーVIII」とはガラリと変わり、ジタンとその仲間たちが3、4頭身ほどのコミカルな姿だったのがとても意外に思えた。

 また本作の映像は、ソフトの発売よりも早いタイミングで、当時コラボを実施していたコカ・コーラ(※ペットボトルのコカ・コーラに、キャラクターのフィギュアを付けて販売されていた)のテレビCMで見たこともおぼろげに記憶している(※はっきり覚えていないが、映像はジタンが町中を駆け抜ける場面のCGアニメで、製品版ではCMと同じシーンが登場しなかったと思われる)。

前作とは打って変わって、ジタンほか多くの登場人物はとてもコミカルなデザインに

 「FF」シリーズは、初代から前作の「VIII」まですべて遊んでいたこともあり、今作もエンディング到達までやり込むことを即決した筆者は、近所の「デジキューブ」(懐かしい!)コーナーが設置されたコンビニですぐに予約した。発売当日には、朝イチで当時の職場に出掛ける前にソフトを受け取り、帰宅後に特典アイテムとしてもらったビビのぬいぐるみをテレビの上に飾り早速ゲームを始めた。

 CMでも見た序盤の舞台、アレクサンドリアでは、ジタンが主人公らしく颯爽と動き回り、いかにも田舎者風情でオロオロする黒魔道士の少年ビビ、どこか悲しそうな表情の王女ガーネット、その護衛役で行動がことごとく空回りする騎士のスタイナーなど、それぞれの際立った個性にグイグイ引き込まれていった。

序盤のハイライト、空飛ぶ劇場「劇場艇」に逃げ込んだガーネット王女をジタンが誘拐、もとい誘拐をお願いされるシーンガーネットに叱責されるスタイナー。最初はジタンと対立するが、後に味方パーティに加わる

 バトル中は、キャラごとに固有のコマンドや技が使用可能で、敵を倒してAPを稼ぐと装備していたアイテム類によって、さまざまな「アビリティ」を習得できるのも楽しかった記憶がある。今振り返ると、前作の「ドロー」や「ジャンクション」など、バトルシステムは全般的に難しい印象が残っていたので、今作のほうがよりシンプルで遊びやすくなったと思えたからだろう。

バトル中は、キャラごとに異なるコマンドが使えるのが楽しいバトルに勝ってAPを稼ぐと、装備したアイテムによってさまざまなアビリティを習得できる

 過去の「FF」シリーズと同様に、豊富なアイテムやモンスターが登場するが、本作で筆者が最も気に入ったのは、プレイすればするほど「生きることの意味」をとことん考えされられるストーリーであった。

 前述のガーネットとビビは自分探しを、スタイナーはガーネットの護衛などを通じて自身の人生を何度も考える。その後仲間となるクイナは食べること、フレイヤは記憶を失った恋人を通じて、召喚士の末裔であるエーコや、孤高の用心棒サラマンダーも、それぞれが違ったテーマで「生きることの意味」を模索している姿には何度もうならされた。

 その中でも、筆者が特に気に入ったのがビビで、最初はいかにも気の弱そうな少年だったのに、ジタンたちとの冒険を経て、時には自身の予想だにしない生い立ちを知り強いショックを受けつつも、どんどんたくましくなる姿には本当に感動した。

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