GeoGuessr社は5月8日、『GeoGuessr Steam Edition』を早期アクセス配信開始した。ブラウザやAndroid/iOS向けに提供されてきた人気地理クイズゲーム『GeoGuessr』のPC(Steam)版だが、Steamユーザーレビューにおいては「圧倒的に不評」ステータスを獲得する波乱のスタートとなっているようだ。

『GeoGuessr』は人気地理クイズゲームだ。Googleが提供する「Googleストリートビュー」を用いているのが特徴で、プレイヤーはランダムに選ばれた風景画像を見て、その場所が世界のどこであるかを当てる。場所を素早く正確に推測するためにはランドマークや道路標識などに加え、その土地に生える木々などの自然環境を分析する必要がある。ソロプレイのほか、正確さ・速さをほかのプレイヤーと競うデュエルモードも存在しており、日々世界中のプレイヤーがランキング上位を目指してしのぎを削っている。

そんな『GeoGuessr』のSteam版となる『GeoGuessr Steam Edition』が5月8日より配信を開始。しかし本作の評価は振るわず、本校執筆時点でのSteamユーザーレビューは1229件中わずか14%を好評とする「圧倒的に不評」レビューを獲得するに留まっている。本作がユーザーからの苛烈な評価を受けてしまった背景には、コンテンツ不足やSteam版における料金体系に問題があるようだ。

まず不評となっている一因として、Steam版の『GeoGuessr』にはブラウザ版/Android/iOS版に常設されていた「ソロモード」が実装されていなかった点が指摘されている。筆者も確認してみたところ、本作には制限時間付きの対戦(ランク)マッチによる「ソロモード」は実装されているものの、プレイヤーが制限時間を気にせずひとりでプレイできる“完全な”ソロモードは実装されていなかった。またマルチプレイモードがチームデュエルのみで、ブラウザ/Android/iOS版におけるバトルロイヤルやパーティーなどが用意されていない点にも不満が寄せられている。

さらに大きく問題視されているのが、本作の料金体系だ。『GeoGuessr Steam Edition』は基本プレイ無料タイトルとなっているものの、それはアマチュア部門およびランク区分のないチームデュエルに限られている。プレイヤーがアマチュア部門を抜け、ブロンズランクに到達するとプレイの続行が不可能となり、Steam版のサブスクリプション(年会費)を支払うように要求される。筆者が確認してみたところ、本稿執筆時点でアマチュア部門を抜け出すのに必要なポイントはおよそ900ポイント。一戦の勝利で100ポイント前後を獲得できることを考慮すると、順調にいけば9試合前後でブロンズランクに到達し、プレイ続行には年会費を支払うことになる計算だ。

また本作にはブロンズランクからアマチュアランクに降格することで、再度無料プレイを楽しむような設定も存在するものの、これまでのスコアランクを白紙に戻してのプレイとなる。そのため無課金で遊ぶ際にはチームデュエルか、アマチュアランクを延々と回し続けるしかないのが現状だ。なお本作のSteam版における年会費は本稿執筆時点で29.99米ドル(約4400円)となっている。

このほかサブスクリプションの料金体系も不満の要因となっている。本作ではブラウザ版で使用していたアカウントを使用し、Steam版をプレイすることが可能。ただしブラウザ/iOS/Android版で有料サブスクリプションに加入したアカウントであっても、月額加入者や、BasicプランではSteam版では別途サブスクリプションが必要となる。すでにサブスク加入している『GeoGuessr』のアカウントを保有しているユーザーの不満の声も、苛烈な評価に繋がっているようだ。

ほか、ブラウザ/iOS/Android版と連携するかどうかを選べるのはゲーム起動時のみで、ログアウトもできない仕様。UIの不具合報告など、システム面の課題も指摘されている。

なお先述したサブスクリプションへの不満について、当初はブラウザ/iOS/Android版における最上位のEliteの年間サブスクリプションのみが“二重サブスク”の必要がないプランであった。一方でユーザーの批判を受けて、すぐさま仕様が変更。Unlimitedの年間サブスクリプション加入者も、Steam版でサブスクリプションに加入する必要がなくなった。公式の説明によると、Steam版はあくまで新規層をターゲットにしており、サブスクリプションに加入しているような既存のユーザーは当初想定されていなかったという。とはいえ既存のユーザーからも大きな関心が寄せられていることを受けて、さっそく変更がおこなわれたそうだ。

無課金で遊べる範囲などについてはリリース前に告知されていたものの(関連記事)、「圧倒的に不評」ステータスでの幕開けとなった『GeoGuessr Steam Edition』。『GeoGuessr』のブラウザ/iOS/Android版では2024年2月に制限時間付きの無料プレイ枠が廃止されており、『GeoGuessr Steam Edition』は基本プレイ無料の代替ゲームとしての期待が寄せられていたことも、不評が殺到している背景としてありそうだ。

なお『GeoGuessr Steam Edition』は先述のとおり、早期アクセスタイトルとして配信されている。今後は新たなゲームモードやマップ、対戦機能の拡張がおこなわれていく予定だ。料金体系やコンテンツ不足を背景に苛烈なスタートとなってしまった本作だが、プレイヤーのフィードバックを受けたさらなる改善も期待されるところ。根強い人気を誇るゲームのSteam版として、運営による今後の展開に注目が集まる。

『GeoGuessr Steam Edition』はPC(Steam)向けに基本プレイ無料で配信中だ。

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