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【おすすめポイント】

・汚れがキレイになることに興奮するなら◎
・単純作業に飽きない鋼の心があるなら◎
・斬ったり撃ったりに疲れているなら◎

コンタカオがおすすめするゲーム

『Crime Scene Cleaner』

・プラットフォーム:PC(Steam)
・発売日:2024年8月14日
・発売元:President Studio、PlayWay S.A.
・価格:PC(Steam) 2500円[税込]

血まみれの凄惨な現場をもとに戻すだけの“簡単”なお仕事です

 掃除したり、何かを組み立てたりするゲームが大好物で、『パワーウォッシュシミュレーター』や『ハウスフリッパー』、『Car Mechanic Simulator 2021』などを延々と遊んでいる。その一方で、犯罪系のゲーム(強盗や泥棒をするヤツ、それを解決するヤツ)も好きで、映画やマンガの趣向にも相当な偏りがあるのは自覚している。

 というわけで、今回ピックアップした本作は、ほの暗い自分の癖にドンピシャなタイトルである。血まみれの犯罪現場を、闇の清掃員として何も起きなかったかのようにするゲームだからだ。

 似たような作品で、エイリアンによってしっちゃかめっちゃかになった宇宙ステーションをピカピカにする『Viscera Cleanup Detail』があるが、操作性が自分にはいまいち合わなかった。それっぽいタイトルを探して遊んではがっかりしていた中で出会った本作は、ちょいエゲつない内容ながら、いまどきのゲームらしいシンプルなUIと遊びやすさに「これだよ、俺が待っていたのは!」と大興奮(ちゃんと日本語化もされている)。

 一応ストーリーっぽいものもあって、主人公は娘の治療費を賄うために、マフィアのボスからの汚れ仕事を引き受けるのだが、たまに「やってられっかよ、クソが」的なボヤキを吐いたりする。掃除ゲームでは珍しい仕様で、そこかしこにブラックなユーモアを感じることができるのは、本作らしいポイントだ。

 混沌とした現場の様子を見るのも楽しい。アパートのような狭い環境でコツコツと掃除するのもいいのだが、レストランやパーティー会場では死体や血しぶきの状態から「こんなことがここで起きたんだろうな」と想像できるようになっているのも、ストーリーテリングの一種だろう。

 とくにお気に入りなのは美術館で、あちこちに凄惨な事件を感じさせる仕組みが隠れており、ほの暗い欲望が満たされることを実感できる。しかし、こんな文章をゲーム情報サイトに書いていいのだろうか。

 ゴミ(血だまりや死体)を片づけて、家具などをもとの状態に戻して現場をできるだけキレイするというゲーム性は、ほかの掃除シミュレーションと変わらない。

 しかし、ショッキングなテーマに甘えることなく、ユーザーにストレスを与えずに掃除の爽快感を提供しようという気概のある作りは、ゲームとして単純に楽しい。シークレット要素もあるので、プレイが単調にならないのもいい(場所がちょいわかりにくすぎるきらいもあるが)。

 ギミックが攻略につながる工場など、シチュエーションが豊富なのはうれしいのだが、惜しむらくは20時間くらいで終わってしまうボリューム。ぜひDLCで、もっと凄惨な現場を出してほしい。親父の“清掃”はまだ終わっていないっぽいし……。

 と書いていたら、2025年4月26日にSteamのストアページにて「新コンテンツを含む初の大型アップデートで“ナイトメア”モードを実装します」(意訳)という開発メッセージが公開された。ナイトメアモードは「新しいメカニズムとさらにスリリングなゲームプレイが特徴となっています」とのことなので、続報に期待!

Writer:コンタカオ
 海外のメーカーを担当することが多い編集者。血とか死体が出るゲームを好むが、『A Short Hike』とかでグッとくる心も一応持っている。最近は老人が活躍する作品に弱い。

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