タイトーが1985年にリリースしたアーケード用「リターン・オブ・ザ・インベーダー」が今年2025年で稼働から40周年を迎えた。

 1978年にリリースされ世界を席巻した「スペースインベーダー」から7年の時を経て、グラフィックス、演出、サウンドが大きく進化したシリーズ3作目にあたる作品だ。透明感のあるサウンドをバックに、メカニカルあるいは生物的なインベーダー達が曲線を描いて飛び回るその様子は、今改めて見ると不思議な魅力が感じられる。

 「スペースインベーダー」シリーズの中でも本作を特に気に入っている筆者が、この40周年を機にその内容について紹介していきたい。なお掲載のゲーム画面は全て「イーグレットツーミニ」の「アーケードメモリーズ VOL.2」に収録された本作を、参考文献には同ソフトに同梱の「電撃TAITO STATION VOL.3」を使用している。

「リターン・オブ・ザ・インベーダー」タイトル画面。英語表記は「RETURN OF THE INVADERS」となるが「THE」は「ザ」と表記する7年の時を経て手強い仲間を引き連れ、三たび地球にやってきた侵略者達

 「リターン・オブ・ザ・インベーダー」は、1978年の「スペースインベーダー」、1979年の「スペースインベーダー・パート2」に続くシリーズ3作目として1985年に登場した。前作からは約6年の時が過ぎていて、その間にビデオゲームは劇的な進化を遂げている。特にこの1985年のアーケードゲームは豊作で、「グラディウス」、「スペースハリアー」、「魔界村」といったゲーム史に残る名作が各社からリリースされている。

日本のエンターテインメント史にも刻まれる「スペースインベーダー」。「リターン・オブ・ザ・インベーダー」はこれより7年後にリリースされる

 そんな中リリースされた本作もまた、前作からは大きな進化を遂げていた。単色だったインベーダー達はカラフルなドット絵で描かれ、ステージによっては滑らかな曲線を描いて攻撃してくるようになった。自機のパワーアップ要素やチャレンジングステージなども追加されているが、基本的なゲームルールは「スペースインベーダー」のそれを踏襲していて、続編としての域を逸脱しない内容で作られている。

 画面上側に無数のインベーダーが出現し、左右に動くプレイヤー機「XEROVY(ゼロービィ)」でそれを撃ち落とし、全滅させればステージクリアとなるが、最下段まで降りられてしまうと侵略されてゲームオーバーとなってしまう。自機とインベーダーの間にはトーチカと同等の性質を持つ「XERO-GUARD(ゼロガード)」が存在し、インベーダーからの攻撃を防いでくれる。

画面レイアウトは過去シリーズとあまり変わっていないゼロービィはビームの連射が可能。ゼロガードはインベーダーのビームを防ぐが、こちらのビームも妨げてしまう

 本作は家庭用機に移植される機会が少なかったせいか、シリーズの中ではややマイナーな部類に入ると個人的には認識していて、2005年にPSPの「スペースインベーダーポケット」で初めて家庭用タイトルとして収録されたときはすぐに購入し、このタイトルばかり遊んでいた。

「スペースインベーダーポケット」。現在はPSPのダウンロード版がスクウェア・エニックスより販売中。対応ハードとDL環境があればプレイができる

 ……とここまでえらそうに書いているが、実は筆者と本作の出会いはリアルタイムではない。リリースから2年後の1987年にフジテレビで放映された「糸井重里の電視遊戯大展覧会」という糸井重里氏がナビゲーターを務めるゲームの歴史やカルチャーを紹介する番組の中で、当時ライターだったゲームフリークの田尻智氏が自前の基板と筐体を使ってこのゲームを紹介しており、「スペースインベーダー」が苦手だった筆者は、インベーダーを撃ちまくれる爽快感と美しいサウンドに魅了されたのだ。

 その後ゲームセンターを見て回ったのだが、人気作が次々とリリースされた1980年代後半の時期に2年近くもゲーセンに置かれるようなロングセラーなタイトルではなかったため、ほとんど遊ぶ機会なく時代が過ぎてしまったのだ。つまり筆者が本作を本格的にプレイできたのは、それから20年近く後のPSP版だったことは、あまり大きな声では言えない事実だ。

本作は上記「スペースインベーダーポケット」、「タイトーメモリーズII 上巻」(2007年/PS2)、「アーケードメモリーズVol.2」(2023年/イーグレットツーミニ)に収録されたのみで、単独の商品は発売されていない

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