2019年7月12日 マイナビオールスター2019 第1戦 東京ドーム

劇的な代打HRを放った阪神原口選手の打席シーンです。ずっと原口選手を追っているので、ボールの行方は映っておりません。ご了承ください。

ダイヤモンドを一周した後、全セの原口は本塁を踏むと、深く頭を下げた。「大歓声をいただいて、『ありがとう』という意味を込めました。とても幸せな気分でした。
 
「マイナビオールスターゲーム2019」の第1戦が12日、東京ドームで開催され、プラスワン投票で選出された阪神原口文仁捕手(27)が、感謝のアーチを描いた。

大腸がんを乗り越え、たどりついた夢舞台。9回2死一塁で代打出場し、左中間席に2ランを運び、敢闘選手賞に選出された。

夢の祭典で、ドラマが生まれた。いや、原口がドラマを生み出した。9回2死一塁。代打がコールされた。力の限り振り抜くと、日本中の注目を集めた白球が、左中間スタンドに突き刺さる。大腸がんを乗り越え、たどりついた夢舞台で、まさにミラクル弾…。プラスワン投票で選出してくれた全国のファンに、感謝のアーチを描いた。

「ほんとにたくさんの方にサポートしてもらった。ファンの方にも励ましの手紙などをたくさん頂いて…。僕自身、本当に勇気づけられた。その恩返しで(球宴に)出て、元気な姿をみんなに届けられるようにしたい」

出場が決まった際には、矢野監督からは「普段、しぶといバッティングを見せてると思うけど、甲子園でホームラン、狙えばいいんじゃないかな」と、本塁打指令も出ていた。それを伝え聞いた原口は、感謝しつつも「狙っても打てない。偶然を期待したいです」と応じていたが、打席でジャストミート。大病からの復帰初アーチを大舞台で飾ってみせた。

昨年末、人間ドックを受診し、大腸がんと診断された。まさか、原口が…。だれもが言葉を失う衝撃の告知にも、本人はくじけなかった。家族、チームメートら待っていてくれる人のため、必ずまたバットを握る。グラブを手にする。その一念で1月末に手術を終え、リハビリを経て3月上旬に2軍に合流。1歩ずつ、復帰への道を歩んできた

1軍復帰初戦となった6月4日ロッテ戦で適時二塁打を放ち、同9日の日本ハム戦でサヨナラ打。本拠地で「みんな、ただいまー!」と叫んだヒーローを、甲子園は大歓声で出迎えた。その1カ月後に届いた知らせが球宴出場。その舞台で、不屈の男が輝いた。

原口 ほんとに幸せだな…と感じてます。また夢のような場所で野球ができているということに関して感謝の気持ちでいっぱい。

思い切り楽しみたい。半年前を考えたらここにいることが夢のようなこと。この現実を思い切り楽しんで元気にやりたい。

前打者の中日高橋が凡退なら巡ってこなかった打席。野球の神様も原口のバットを待ち望んでいたに違いない。まさにミラクル本塁打だが、夢ではない。あきらめなかった男が現実に刻んだ物語の一節だ。2019年7月12日 日刊スポーツweb版より

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