8月2日、長崎市の長崎原爆資料館の一室に、地元の高校生10人が集まった。配られたのは、イチゴが載ったホールケーキの絵。同市出身の被爆3世で、東京の大手広告会社に勤める鳥巣智行さんが、「どうしたら平和に分けられるかチームで考えて下さい」と呼びかける。ゲーム形式で平和のつくりかたを考える「Peace of Cake(ピースオブケーキ)」の体験会だ。
 ダイエット中、腹ペコ、でしゃばり、独裁者……。生徒はカードで引き当てた役を演じる。「私は少しでいい」「クリームのところだけたっぷり下さい」。それぞれの主張を踏まえつつ対話を重ね、チームなりの平和的な分け方を考える。ゲームの終盤。丸いケーキの形が地球と重なり、ここで起きた「対立」は、核保有や資源争いなど様々な現実の問題とつながっている、と種明かしされる。
 平和学習といえば、資料館を見学し、体験者の証言を聞くのが長らく「定番」だったが、鳥巣さんは「過去を受動的に学ぶだけでいいのか。戦争体験者が減るなか、違うアプローチが必要だと考えた」という。
 ケーキを分け合うゲームの発案者は、同僚でロシア出身のキリーロバ・ナージャさん。日米英など6カ国で育った。「国によって歴史教科書が違うように、平和にはいろんなとらえ方がある」と感じてきた。ケーキの切り方に正解はない。「ケーキから見えるのは世界の縮図。平和の切り口は至る所にあると知り、行動に移すきっかけになるといい」

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