「部屋とGWとNetflix その7」。君はオーソン・ウェルズを知っているか? 1941年に弱冠25歳にして『市民ケーン』を監督し、映画史にその名を刻んだ天才である。そんなウェルズが1970年代に製作を開始し、撮影は終了していながらも、色んな事情で生前に完成には至らなかった伝説の作品がある。その名は『風の向こうへ』。それがなんと40年以上の歳月を経て、同作に出演していたピーター・ボグダノヴィッチ監督の手により完成しちゃったってんだから、大袈裟でもなんでもなく映画史上を揺るがす事件というほかない。気になるその内容は、落ちぶれたかつての巨匠監督が、再びハリウッドで返り咲こうとする姿をドキュメンタリー風に描くというもの。晩年のウェルズは「ドキュメンタリーとフィクション」、もっと言うと「本当と嘘」をテーマにした映画を作ってきたので、その系譜に属するとひとまずいえる。しかし、この際そんな難しいことはどうでもいい。狂騒的に進んでいくストーリーと、アクロバティックに変わっていくカメラアングルと編集、そして、ざらついたフィルムの質感。全身の感覚器官を研ぎ澄ませて、そんな今の映画にはない“何か”を感じればたぶんそれが正解だ。ピンときて、ウェルズをもっと知りたくなったらドキュメンタリー『オーソン・ウェルズが遺したもの』も配信されているので、そっちも観ることをおすすめする。#がんばらないウィーク #10連休は本気でサボろう

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