#Repost @abramusi ・・・
無粋を承知で長文を。
彼が若い頃から、インタビューや発言は深く、哲学があり、面白いと感じていた。
猪木の亡霊と闘う彼にウソはない、と感じていた。
けど、彼の試合そのものを面白いと感じたことはあまりなかった。
総合格闘技全盛の頃、多くのプロレスファンと同じように私もプロレスを離れた。
スカスカの会場で彼が叫んでいることは知っていた。
長い間、私の家にはテレビが無かった。
弟がテレビを送ってきた。
土曜の深夜、酒に酔い、久しぶりにテレビを接続し、偶然、プロレスに接続した。
そこに前とは違う彼の姿を見た。
グニャグニャと揺れている。
酔ってグニャグニャの私には、ことさらグニャグニャに見えた。
彼はリングの上、笑い、泣いて、踊り、揺れていた。
初めてみる唯一無二の真新しいスタイルに驚き、急いでチケットを取ろうとしたが、全く取れなかった。
新日本の長い冬は、終わっていたのだ。
それから間もなく、彼がアメリカに行くというニュースを読んだ。
十数年、プロレスを観ていなかったことを私は悔いた。
今、彼はWWEのリングで、キラキラと輝き、熱狂とレーザーの雨を全身で受けて、グニャグニャと揺れている。
もう、燃える闘魂の亡霊はいないだろう。
アメリカでの知名度は、闘魂をとっくに超えているし、日本人史上、文句なしに世界で一番売れたレスラーとなる日もすぐそこだ。
2年後ぐらいには、逆輸入された彼を、プロレスを知らない日本人が知ることになるだろう。
彼は必ず越境する。ジャンルそのものを、だ。
ヤオだのガチだのは、カラスに食わせればいい。
大切なことは、どれだけの人間が彼に救われたかなのだ。
きっと彼は、衣装、発言、入場、試合、すべてに思考錯誤し、ヒントを探し続けてたどり着いたのだろう。
ニュートンが林檎を落ちたのを見つけたのは、偶然ではない。
間抜けが見ても、「林檎が落ちた」と思うだけだ。
常に探している人間にだけ、林檎というヒントは落ちてきて、「知恵の実」となる。
彼の名は、#中邑真輔 。
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