1983年1月11日に発売された柏原芳恵の12枚目のシングル。
オリコンチャートでは最高位6位まで上昇、33.4万枚を売り上げ、柏原にとって『ハロー・グッバイ』に次ぐ大ヒットシングルとなった。公称シングル売上は61万枚を記録。TBS系「ザ・ベストテン」での最高位は2位。また、同曲で「紅白歌合戦」へ初出場を果たした。
作詞・作曲を手掛けた中島みゆきが1989年のアルバム『回帰熱』でセルフカバーを収録。

作詞・作曲:中島みゆき
編曲:服部克久・J.サレッス

柏原芳恵はあるインタビューでこう語っている。

“中島みゆきさんが書いてくれるみたいだよ”ってディレクターさんからお話を聞いて、“えー!本当?”って。みゆきさんからデモテープを頂いたんですけど、なんとも胸キュンな作品で。当時は17歳で、先輩を送り出すっていう等身大の気持ちを歌った歌でしたし。うれしいというと軽いかな、感激というか感動というか、そんな感情でした。『春なのに』はスタッフも力が入っていたものですから、リチャード・クレイダーマン・オーケストラの演奏でカラオケを録るためにヨーロッパへ行ったんですよ。私は連れて行ってもらえなかったんですけど(笑)。当時は卒業ソングという意識はなかったですが、自分が大事に歌っていた曲がいろんなところで卒業ソングの定番として歌い継がれていくのは、皆さんが育ててくださっているようで本当にうれしいですね。

『春なのに』のレコーディングスタジオにみゆきさんが来てくださって。練習している私の歌を聞いたみゆきさんから、「あぁ、高い声出るんですね。でもね…」ってアドバイスを頂いて、そこから歌の伝え方や誰かに伝えるということの世界観が広がったと思います。

その後も中島みゆきから数々の楽曲が提供されている。
出会いとは不思議なものだと彼女は語った。

『春なのに』は、桜の儚さが漂う美しい楽曲である。
しかしその印象からは、中島みゆきらしくない作品でもあるように感じる。
力強い中島みゆき像からは、およそ想像がつかない。しかし楽曲は素晴らしい。
それは、柏原芳恵が等身大で歌っていて、自身の想いとして歌えているからだろう。だからこそ、しみじみと主人公の女の子の切ない気持ちが伝わってくる。この曲を歌う83年当時の柏原芳恵は17歳で高校2年生。もちろんそこには中島みゆきの計算があるわけで、曲中の主人公の女の子も17歳で高校2年生のはず。

 卒業だけが 理由でしょうか

この後に繋がる言葉は、この一行を膨らませるための言わば補足でしかない。
だが本作が名曲たる所以は、補足部もまた素晴らしいということ。
その最たるフレーズがこれだ。

 卒業しても 白い喫茶店
 今までどおりに 会えますねと
 君の話はなんだったのと
 きかれるまでは 言う気でした
 記念にください ボタンをひとつ
 青い空に 捨てます

状況が特定できる明確な言葉は何ひとつない。
だが想像をかき立てるワードが散りばめられ、シチュエーションは朧げながら伝わってくる。
そしてこの曖昧さがサビを大いに引き立ててくれている。

 春なのに お別れですか
 春なのに 涙がこぼれます
 春なのに 春なのに
 ため息 またひとつ

ボタンをもらう文化はまだ残されているのだろうか?
あれはあれで、なかなか素敵な儀式だったように思う。
学生時代は桜と同じ。儚いからこそ、美しく感じる。
二度と戻れない青春時代。

切ない春がまたやってくる。

#春なのに
#川栄李奈

26 Comments

  1. 動画up、ありがとうございます。風の風来坊さんの動画、歌ととてもマッチしていて好きです。「春なのに」は、中島みゆきさんもいいけど、やはり柏原芳恵さんが最高だと思います。80年代の歌はいいですよね。これからも素敵な動画のupを待っています。

  2. この時期になると、必ず思い出す一曲です。UPありがとうございます😊

  3. この曲がヒットした時は、私はとっくに卒業してましたが、「春」に「なのに」を付けたい気持ち分かります。

    柏原芳恵ちゃんは可愛いけどちょっと大人ぽくて、曲のせつない感じが心に染みましたね💧

  4. 松任谷由実の「卒業写真」「最後の春休み」と並ぶ、中島みゆきの卒業ソングの名曲ですね。
    当時のアイドルはみんな歌もうまかった😊

  5. ちょうど中学卒業の時に流行ってた曲で 今でも大好きでリクエストしたいと思ってた曲でした ありがとうございました

  6. 別れの歌…高校卒業の際の別れを思い出しますね。川栄李奈サンも素敵な女優さんになりました。今後も大いに期待です♪
    高校卒業時に、第2ボタンを「欲しい」という2年後輩にあげたら、後に彼女となる同級生に泣かれた…
    その後輩との再会は、娘の高3時の三者面談。娘の担任でした。見たことあるなぁ…誰だっけ…「第2ボタン、まだ持ってます」って…すぐには思い出せなかったけど、向こうは娘の担任になったときから知ってたらしい…これは娘には内緒の話です(笑)

  7. 柏原芳恵さんの「春なのに」大好きです🍀 草花が咲き始めみんな明るく浮き浮きしているのに… …私もさみしい春です

  8. 第2ボタンとか言葉は流行ってましたが、実際にボタン貰ったりあげたりは見たことないですwww
    個人的には都市伝説的なものかと思ってましたが、コメントの中には身近に居たみたいな話ですね(;^_^A

    世代的には既に卒業後に流行った曲でした。斉藤由貴さんの卒業 菊池桃子さんのgraduation いろいろ卒業ソングがヒットした時代………

    川栄李奈さんの制服姿も可愛ええ…w 
    世代的にダジャレで締めくくりましたwww

  9. 片思いにサヨナラする頃にこの歌が流れていました。40年前かな?

  10. この歌が大好きです!
    最近ヤフオクでレコードを買いました
    と、いうか気が付いたら買ってました!😅

  11. アップありがとうございます👍染みますね。解説にも書かれてましたがみゆきさんは力強い曲のイメージもありますが初期の頃は等身大の女性の恋心や情念を歌にしてましたね。柏原芳恵さんの歌声とよくあってますね。当時のアイドルは皆歌が上手でしたし、大人びて見えました。

  12. 卒業ソングと言えば私はこの「春なのに」です。UP有難うございます👍みゆきさんが作って芳恵ちゃんが歌っている「最愛」も素晴らしい曲なのでUPしてもらえませんか‼(芳恵ちゃん、李奈ちゃん二人共可愛い❤)

  13. 40年前に大ヒットした名曲ですね。あの頃私は若かった^_^
    川栄李奈さんの虚ろで悲しげな表情にグッときます。Upしていただき有難うございます!

  14. 卒業する春は寂しく悲しく辛いですよね。
    まさに
    春なのに…です。

  15. (脆いからこそ美しい)風来坊さんの締めの言葉に
    目頭が熱くなりました。ませた中学生だった私
    には一年生から彼女が居り、それは楽しい
    三年間。しかし、私は進学彼女は就職。
    彼女の家庭は一人親だったのです。
    月日が流れ、彼女の記憶も忘れていた
    約三十年後、届いた一通の手紙。
    彼女の弟さんからでした。
    (姉は一年前に逝去致しました。)
    西日の射す部屋でほろほろと泣きました。
    旅立ちの季節でも有り、サヨナラの季節
    でも有る春。中島姐さんはやはり天才ですね。

  16. 風の風来坊さんの選曲とレビューにはいつも敬服してます。この曲を久しぶりに聴いて何十年か前の「切ない春」を思い出しました。

  17. 最近、この曲よく思い出します。歌詞について1つ疑問? 春なのに、お別れですか? 春は別れの季節、そして新しい出会いの季節。私の解釈が間違っている?確かに良く歌詞を聞けばそう言えなくもありませんが…。どちらにせよ大好きな曲です。😌

  18. 学校の唱歌のような感じでいいですよね。春なのにが、ホント爽やかに感じられて、明るくハッピーないい曲ですよ。

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