すでに絶賛の嵐が巻き起こっていますが、NHK紅白歌合戦で初司会に挑んだ女優・橋本環奈には、確かに驚かされました。では一体、彼女のどこが卓越していて今回の結果につながったのでしょうか
郷ひろみとの「林檎殺人事件」のデュエットを見たとき、正直なところ「おい、おい、司会者がここで絡むか?」心の中で冷ややかに突っ込んでしまいました。それが違和感は次第に緩和し、いつの間にか消えていたのです。

 司会モードから共演シーンに。この切り替えだけでも相当な神経を使うはずです。初の大役に極度の緊張で視野が狭くなり、余裕を失っても仕方がありません。しかし、後半の彼女は、まるで会場を泳ぐかのように楽しんでおり、まぶしく輝いて見えました。

 共演シーンや長めのコメントを発する際、一歩間違えば悪目立ちしていまい、嫌悪感を与えてしまうものです。ほんのわずかの差で大失敗になる恐ろしさがあります。

 橋本のすごさは、雰囲気の紙一重の変化を読み取り、場をわきまえた自分の立ち位置を本能的に察知できる天才的嗅覚にあると思うのです。もともと肝っ玉が座っていて女優業でも多くの重圧とも向き合う中、プレッシャーを栄養にして育ってきたタイプでしょう。

 しかしです。彼女の司会起用にも驚かされました。紅白は秒刻みの綿密な進行があらかじめ決められています。その中で、ここまでできると信じて疑わず、橋本に画期的な女性司会者像を託した。新しい紅白の可能性を見せてくれたNHKの番組スタッフに敬意を表したいと思います。(記者コラム)

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