NYコレクション・リポート:「トム ブラウン(THOM BROWNE)」がニューヨーク・コレクションにカムバック。パートナーでメトロポリタン美術館の首席キュレーターを務めるアンドリュー・ボルトン(Andrew Bolton)監修の展覧会「In America:A Fashion Lexicon」のお祝いを兼ねているそうです。ちなみに「Lexicon」とは「辞典」という意味。東京・六本木の国立新美術館で開かれていた「ファッション イン ジャパン」を思い出します。今は、自国の歴史を見つめ直す良い機会なのかもしれませんね。

コレクションの舞台は、庭園でした。ウエストは絞り反対にお尻は大きく膨らんだ、まるで近世の貴婦人のような体型のモデル2人が「トム ブラウン」らしいシャツにネクタイ、ジレ、そしてジャケットという重ね着を模したトロンプルイユ(だまし絵)のワンピース姿で、スーツ地やシルクで作った花々を縫い付けたケープ姿のモデルの合間を歩き回ります。ケープ姿のモデルは一人一人、それを脱ぎ捨ててランウエイをウォーキング。スーツ地だし肩口はスーツ同様の仕立てなので「トム ブラウン」とすぐに理解できますが、驚くほどシンプルなスタイルです。これまでの「トム ブラウン」と言えば、まるで“劇場”のようなストーリーで、彼の頭の中を最大限にデフォルメした“衣装”を見せてくれていた印象ですが、今シーズンは、このコレクションが普通に店頭に並んでいてもおかしくありません。いくつかのトップスは、片方が半袖、もう片方が長袖でしたが、それは美術館が所蔵している古代の彫刻などにインスピレーションを得たのかな?

もう一つの大きなグループ、グレーのシンプルなセットアップとコントラストを描くカラフルなドレスは、チュールを幾重にも重ねたものでした。よく見ると美術館の彫刻のように、男性の裸体や、その上に被せた「ヴィオネ(VIONNET)」風のドレスのような柄が見えます。これは、チュールにプリントしたのではなく、チュールを幾重にも重ねて描いたものだそう。「ホント!?」と思ってしまうくらい、圧巻の手仕事。でも、女性をコルセットから解放した「ヴィオネ」のようにシンプルです。彼は常々ジェンダーを超越していますが、今回はグレーのトップス&スカートのルックも、カラフルなドレスのスタイルも、男女の区別なく楽しんでいます。

全ルックは @wwd_jp プロフィールのリンクから

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