コレクション・リポート:「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」は、デジタルでの発表と同時にシャンゼリゼ通りの映画館で上映会を開催したのですが、僕はフライトの時間が変えられなかったので諦めてオルリー空港へ。タクシーの中で見ようと思っていたら、今回も超大作のようで、めちゃくちゃ長い!なんと、まさかの1時間超え!!ということで、ベルリンに戻ってから家のテレビでじっくり拝見しました。

「ア フォーク ホラー テール(A Folk Horror Tale、ホラーな民話)」と題された映像の冒頭の19分間は、今回もジョン・ガリアーノが今シーズンのクリエイションの背景について、饒舌に語ります。これは、もはや立派なドキュメンタリー作品!と思って見ていたら、そこからはジョンがコンセプトと脚本を手掛け、フランス人映画監督のオリヴィエ・ダアン(Olivier Dahan)が監督を務めた作品がスタート。フランス国内最大級のLEDスクリーンで仮想空間を作り出し撮影されたという同作は、昔の漁村のようなシーンから始まり、ミステリアスでSFホラーのようなストーリーが展開していきます(ネタバレになるので、気になる方はぜひ映像をご覧くださいね)。正直、1時間以上ある映像は、たとえファッション好きでもすべての人が見るわけではないと思います。ですが、コレクションの背景にこれだけのエピソードがあることを知り、その世界観に浸るということを、望む人全員が体験できるというのは、デジタル発表ならではですね。

コレクションは、時の経過とともに魂が吹き込まれてきたものに敬意を表したもの。ジョンは歴史が染み込んだ年代的なものに宿る安心感や信頼性に現代の若い世代の切望や憧れの要素を見出し、それをアトリエの手仕事を生かして表現しています。例えば、穴の空いたセーターを修繕するように昔の新聞を刺しゅうしたり、チャリティーショップで売っているようなさまざまな人の記憶が宿るバンダナやエプロン、ウエアなどをパッチワークしたり。また今季は、「水分を絞り取る」という意味を持つ“エソラージュ(Essorage)”を新たなテクニックとして採用。8〜12倍に拡大したアイテムに酵素加工とストーンウオッシュ加工を施すことで、サイズを縮小させるとともに色や質感を変え、時の経過によってもたらされる着古した感覚を表現しているそう。実際のビンテージアイテムをアトリエが修復・復元したピースが今季も登場します。

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