これまで五木寛之さん、吉田修一さん、平野啓一郎さんなど、そうそうたる顔ぶれに語っていただいてきた『メンズプレシャス』の巻頭連載「男の衣食住遊に漂う想い」。タイトルのとおり、「衣」「食」「住」、そして「遊」、4つの項目について、自分のスタイルを持った、かっこいい男たちが素顔を語るページ。13回目となる2020年春号(2020年4月6日発売)では、美術家の横尾忠則さんが4本のエッセイをご執筆くださいました。ここでは、その概要に、ここだけの裏話を加えた特別篇を4回シリーズで公開。締めくくりとなる第4回は「遊」です。

横尾さんからは、どんな趣味の話が出てくるのだろう。思わず期待してしまう「遊」のページですが、横尾さんが綴ったエッセイは少し違った展開。横尾さんが自ら「美術家 横尾忠則」を語るという貴重な内容になっています。「僕がいう遊びとは少年になることだ」という一文が心に響く、その1000文字ほどのエッセイは誌面で読んでいただくとして、ここでは2012年の開館以来、多くの横尾忠則ファン、美術愛好家が足を運んで来た横尾忠則現代美術館(兵庫県神戸市)を紹介します。

横尾忠則現代美術館は約3000点におよぶ横尾作品を所蔵。そのベースとなっているのは、横尾さんからの寄贈作品と寄託作品です。内容は、絵画、版画、ポスター、コラージュ、ブックデザインなど多岐にわたります。また、展示だけでなく、膨大に有する横尾氏の関連資料 を保管するアーカイブルームも備えています(閲覧可能・要予約)。さらに、公開制作やイベントを行うオープン・スタジオ、グッズを取り揃えたミュージアム・ショップ、横尾さんがデザインした食器でランチやドリンクが楽しめるミュージアム・カフェも併設しています。 

そんな“横尾ワールド”がたっぷりと堪能できる横尾忠則現代美術館で、現在、催されているのが『兵庫県立横尾救急病院展』。なんともユニークなタイトルの展覧会ですが、ホームページの内容案内のトップには、次のような文章が書かれています。

『横尾忠則現代美術館 では、美術家・横尾忠則の肉体と生活・創作との関係を探るべく、「兵庫県立横尾救急病院」を期間限定で開院します。』

頭や心よりも、肉体感覚を通して得られるものに信頼を置く、というのが横尾さんの基本理念。これまで経験してきた怪我や病気は、たんに忌むべき存在ではなく、ときに人生の危機を救い、自己の生活や芸術を見つめ きっかけを与えてくれるものでもあった、という考えをもっているのです。

この展覧会は、そんな横尾さんが幼少時代から80歳を超えて老いを見つめる現在まで、自身が五感を通じて学んだ、実生活や創造の現場における自身の肉体に対する意識を探る試み。 展示会場には、眼科、小児科、外科など様々な診療科を設置して、それぞれに、絵画、版画、ドローイング、著書や愛読書といった幅広い作品と資料を展示。それはそれは興味深い展覧会になっているのです。

 開催は8月30日まで。開館時間などの詳細、新型コロナウイルス感染症対策については、公式サイトで必ずチェックをしてください。

https://precious.jp/articles/-/19866
#メンズプレシャス2020年春号 #横尾忠則 #横尾忠則現代美術館

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