1944年(昭和19年)。主人公・雨田豊子は広島電鉄家政女学校の生徒として、学業の傍ら、広島電鉄の運転士を勤めていた。友人たちとの交流、初恋なども交えての日々が続く。しかし翌1945年8月、広島市に原爆が投下。市街も市民たちも甚大な被害を負い、豊子の友人たちも重傷を負う。
広島電鉄もまた多大な被害を被るが、電気課長・松浦明孝は、電車さえ動けば広島復興に繋がると信じ、電鉄再建の陣頭指揮をとる。3日後に電車が復旧する。軽傷で済んだ豊子は悲しみを堪え、広島復興に向けて電車を動かす。
焦土に消えた家族を捜す人々、復興のため働こうとする人々を乗せ、電車は走る。やがて終戦を迎え、家政女学校も廃校する。廃墟同然の町を走る路面電車はいつしか、広島の希望となってゆく。
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