残酷な沈黙の数秒が過ぎた。
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KATARI独奏会-聖域-
◆公演日:2022年4月2日(土)
◆チケット一般発売:2022年3月5日(土) 12時
◆会場:神奈川芸術劇場ホール https://www.kaat.jp/access
◆開場 / 開演:17:00 / 18:00
◆詳細掲載FANBOX
https://katari.fanbox.cc/posts/3285523
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We are KATARI, the musical artist duo of Shinichiro Kamio and Takehiro Mamiya.
KATARI Twitter https://twitter.com/KATARI0803
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MEMBER SHINICHIRO KAMIO(神尾晋一郎) https://twitter.com/s_kamio113
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曲名:RA1-OSS(女 相聞 詩集 / 芥川龍之介)
編纂:神尾晋一郎
作曲:間宮丈裕/ DJ’TEKINA//SOMETHING a.k.a ゆよゆっぺ
朗読及び歌唱:神尾晋一郎、間宮丈裕
映像:神宮司 https://twitter.com/jgj05
引用元、出典
女 https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/120_15173.html
相聞 http://sybrma.sakura.ne.jp/09ryuunosuke.html
詩集 https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/3818_27305.html
【詩】
女 相聞 詩集
夢みつつ、夢見つつ
日もすがら、夢見つつ……
じっと何か考えていた。すると空に翅音がして、たちまち一匹の蜜蜂が、なぐれるように薔薇の花へ下りた。蜘蛛は咄嗟に眼を挙げた。ひっそりした真昼の空気の中には、まだ蜂の翅音の名残りが、かすかな波動を残していた。雌蜘蛛はいつか音もなく、薔薇の花の底から動き出した。蜂はその時もう花粉にまみれながら、蕊の下にひそんでいる蜜へ嘴を落していた。残酷な沈黙の数秒が過ぎた。
あひ見ざりせばなかなかにそらに忘れてやまんとや野べのけむりも一すぢに
立ちての後はかなしとよ
蜂は間もなく翅が利かなくなった。
それから脚には痲痺が起った。
最後に長い嘴が痙攣的に二三度空を突いた。
それが悲劇の終局であった。
人間の死と変りない、刻薄な悲劇の終局であった。
――一瞬の後、蜂は紅い庚申薔薇の底に、嘴を伸ばしたまま横わっていた。翅も脚もことごとく、香の高い花粉にまぶされながら、…………雌蜘蛛はじっと身じろぎもせず、静に蜂の血を啜り始めた。
恥を知らない太陽の光は、再び薔薇に返って来た真昼の寂寞を切り開いて、この殺戮と掠奪とに勝ち誇っている蜘蛛の姿を照らした。灰色の繻子に酷似した腹、黒い南京玉を想わせる眼、それから癩を病んだような、醜い節々の硬まった脚、――蜘蛛はほとんど「悪」それ自身のように、いつまでも死んだ蜂の上に底気味悪くのしかかっていた。
風にまひたるすげ笠の なにかは路に落ちざらんわが名はいかで惜しむべき惜しむは君が名のみとよ
また立ちかへる水無月の
歎きを誰にかたるべき。 沙羅のみづ枝に花さけば、
かなしき人の目ぞ見ゆる。
夢みつつ、夢見つつ
日もすがら、夢見つつ……
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