変異ウイルスのオミクロン株について、水際対策で混乱が起きています。千葉の成田空港に到着した人たちの待機場所がなく、愛知県に移動させられるというケースも発生しています。オミクロン株の感染拡大はどうなるのか、データサイエンティストで慶応大学教授の宮田裕章さんが解説します。

小川彩佳キャスター:
宮田さん、水際対策で混乱も起きているようですけれども、ここまでの政府の対応、対策どのようにご覧になっていますか?

慶応義塾大学 宮田裕章教授:
これまでの政権に比べて早い段階で全世界に対して渡航制限をかけるなど、対応に関しては早いほうだったと考えています。
一方で渡航制限に関して外国人と日本人のいわゆる区別というものが不当ではないかというのが国際社会から少し指摘されたり、あるいは危機管理庁、岸田首相が総裁選の時に掲げていた体制改革が十分行われているかどうか、こういった点は非常に気になる部分であるかなと思います。

小川キャスター:
まさに今後どのような対策が打ち出されるのかということにもなってきますけれども、改めてここでオミクロン株の世界の感染状況を確認しておきます。

国山ハセン アナウンサー:
はい。オミクロン株は世界50の国と地域で確認されています。その中でも市中感染が拡大しているところから見てみます。

まずはイギリス。先週月曜日(11月29日)の11人から1週間で336人と30倍以上増加しました。デンマークは18人からわずか3日で14.5倍です。韓国は3日で4倍、オーストラリアも2.4倍となっています。ただいずれも現時点で重症化の報告はなく、軽症か無症状だということです。また初めてオミクロン株が確認された南アフリカでは感染の84%がオミクロン株だったというデータもあります。
宮田さん、このように一気に広まっているようにも考えられるんですけれども、現時点ではどんなことが分析できますか?

宮田教授:
今挙げられたデータを見ても、やはり感染力の高さには警戒が必要だと思います。一方でワクチンが効きづらいということもあって、ほかのウイルス株よりも実際の実効再生産数よりも多く感染させているということもあるので、実態に関してはまだわからないということですね。
一方で重症化について報告がないということであるんですが、子どもたちの入院例が多くなっていると。やはり非常に気になる点の情報もあるので注視していく必要がある。重症化に関しての評価はまだ早いかなということです。
こういった状況であるんですが、2年前、コロナが現れて混沌としたときの絶望感のある状況とは現状はまだ違う、希望はまだある状況かなというふうに考えています。

小川キャスター:
希望がまだ持てる、2年前のような絶望感がある状況ではないというのはたとえばどういうことですか?

宮田教授:
デルタ株よりも感染力が強かったとしてもウイルスの遺伝子情報がすでに世界で解析され、共有されているんですね。これによって製薬会社は100日以内にワクチンを用意できると。こういうようなことを提案しているんですね。
さらに感染してから、相手にうつすまでの時間が早いのかもしれないということもあるんですが、これまでに日本をはじめ、さまざまなウイルスに対しての対策を講じてきているので、社会として向き合っていくということも、これまでよりはさまざまな方針がとれるのではないかと思います。

小川キャスター:
そういった意味では少し心構えとしてはホッとできる部分があるんですけれども、私たちが市中でできる備えというのはたとえばどういうことでしょうか?

宮田教授:
他国と違って日本にいる人はかなりマスクを着用しているということがあるので、感染拡大の速度というものを、これまでもそうだったんですが、他よりは抑えることができる可能性があると。この時間稼ぎですよね、残念ながら行動制限を解いてしまった国というのは非常に大きな速度で感染拡大していますが、そのなかでウイルスの実態がどんどん明らかになってくると。日本はいわゆる侵入を遅らせるなかでどういった備えをしていけばいいのかということに関して、医療の面だったり予防の面だったり、さまざまな準備を行うことができるということだと思います。

小川キャスター:
日々しっかりアップデートしていくことが必要になるわけですね。(07日23:15)

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