SOPHIA・松岡充×CHEMISTRY・堂珍嘉邦、ライブとは違うミュージカルの難しさ【『キルバーン』インタビュー】(写真 全13枚)

 SOPHIA・松岡充とCHEMISTRY・堂珍嘉邦が共演するミュージカル『キルバーン』。同作で主演を務め、不死卿ドナテルロを演じる松岡は、今年デビュー30周年。その用心棒・ダリを演じる堂珍は、来年25周年を迎える。圧倒的な歌唱力と存在感を誇るふたりによる、舞台でしか見られないコラボレーションが実現した。東京公演があす28日で最終日となり、10月2日~5日に大阪公演にて千穐楽を迎えるのを前に、2人が同公演への思いを語ったオフィシャルインタビューが到着した

【写真】不死卿ドナテルロを演じる主演のSOPHIA・松岡充

――ミュージカル『キルバーン』は2020年の上演予定がコロナ禍により中止となった経緯があり、今年、満を持しての完成となりました。

【松岡】はい、2020年に中止になってしまったことで、当時、末満(健一)さんが『黑世界』という音楽朗読劇を新たに創り上げたんです。そこで僕はシュカという役を演じたんですが、今回はドナテルロという、また別の役なんですよね。どちらもTRUMPシリーズとして地続きの世界線であるわけで、僕は一度シュカとしてその世界で生きていたから、今回もシュカでいいんじゃないかと思ったんですけど(笑)、いや、今作ではドナテルロでと。ドナテルロはすでに過去作で存在していましたし、なぜシュカじゃないんだというのはありました。

【堂珍】僕が演じるダリもそんな感じですよね。

【松岡】一体どういうこと!? ってなるじゃないですか。末満さん、そういうヒヤヒヤさせるのが好きなんでしょうね(笑)。TRUMPシリーズ15周年のときの『繭期極夜会』で、となりに細貝圭くんが演じるドナテルロがいたんです。僕はそこにシュカとして参加していたんですが、次に『キルバーン』で演じる役がドナテルロというのもわかっていたので、いったい自分はどういう気持ちでここにいたらいいんだ!? と悩みました。思わず、細貝くんに「ドナテルロなんだよね?」と確認したんです。「はい! ドナテルロです!」と元気よく返ってきたので、末満さんに「ドナテルロここにいますよ? でも僕も次、ドナテルロなんですよね?」と聞いたんです。そしたら「いいんです、いいんです、全然大丈夫ですから!」って。末満さんがそう言うのなら、これは明確な理由があるのだなと

堂珍】それは複雑な心境ですね(笑)。僕は今回の出演が決定するまでTRUMPシリーズのことは知らなかったのですが、今作への参加は松岡さんが出演されるというのが決め手でもあったんです。松岡さんとは以前、一度映画(2014年公開『醒めながら見る夢』)で共演したことがあり、自分が30代前半くらいで舞台、ミュージカルの世界に入り始めて、そこで、松岡さんが自分よりも先にその道に入られてコンスタントに出演されているのを見てきたから。音楽活動とバランスよく両立されている印象でしたし、松岡さんの歩まれている道筋で、いつか僕が同じ役をやることもあるのかもしれないと、勝手にご縁を感じていたんです。あとは吸血鬼というワードが魅力だったので、きっかけは松岡さんと吸血鬼です。

【松岡】あんまり吸血鬼っぽい場面はないけど(笑)。でも僕も堂珍くんの名前が入ってたのを見たときはときはうれしかったし、ヴァンパイア似合うわ~って思っていました。

熱狂的なファンを持つTRUMPシリーズと今作の魅力について、どのように感じていますか?

堂珍】めちゃくちゃ難しいです。マイクを持って歌うシーンがあって、それが騒がしいナンバーならともかく、シリアスなナンバーでマイクを持って歌うっていうのがね。マイクなしで、お芝居として両手を自由に使えて全身で表現するパターンはないのか、マイクありというのは揺るぎない感じなのかと末満さんに相談してみたのですが、やっぱりマイクなしはないみたいで。古畑任三郎シリーズで、番組の中のMCでスポットライトが当たってしゃべり出すナレーションの場面、あそこでマイクが加わっている感覚だと説明されたんです。そこは崩したくないし、歌の世界の人がマイクを持って歌うという説得力は役者にはないものだから、ぜひやって欲しいと言われて、そんなふうに言われてしまったら、もうやるしかないなと。

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