生地を再利用して子どもたちに物作りの楽しさを伝え続けているコシノヒロコさん(88)が、手がけるプロジェクトがある。そこには、コシノさんのある思いがあった。
■コシノヒロコさん監修「ファッションアカデミー」
世界を舞台に活躍するファッションデザイナー・コシノヒロコさん。コシノ3姉妹の長女で、日本のファッション業界を牽引(けんいん)し続けている。
そんなコシノさんが監修したのが、先月行われた「ファッションアカデミー」。東京都と東京都歴史文化財団が実施する、小学生から18歳までを対象とした芸術文化体験プログラムの一つで、およそ100人が参加した。
コシノさん
「きょうはいよいよ皆さんが、自分の手でぬいぐるみのワンちゃんのためにデザインをしてもらいます」
コシノさんの愛犬、7歳の「ルビー」をモチーフにしたぬいぐるみの洋服デザインや制作工程を学ぶというものだ。
「すてきな生地がたくさんあるんですよね。この生地、布、すごく大切な大切な生地なんです」
数多くの生地は、コシノさんが用意したもの。実はこの生地には、コシノさんの子どもたちに対するある思いが込められていた。
島本真衣アナウンサーが訪れたのは、コシノさんの事務所。
「私が40~50年くらい、ずっと毎年2回コレクションをつくってきて発表してきましたよね。その時に使った布がこのように全部ではなく、この倍くらいある」
長年、コレクションで発表してきた作品で使用された生地を資料として保管している、貴重なものだ。
「何十年ですから」
「(Q.なぜ貴重な布を子どもたちに?)一つ一つに魂がこもった生地なんです。それを使わせるということは彼らが何を感じるか。これ普通の生地じゃないなって、見せるだけで分かる。生で手でつかんだ時に『こんなの見たことない』と思わず言うわけですよ」
そして、今回コシノさんのプロジェクトに参加した子どもたちに話を聞いた。
■体験で変化…オリジナルの洋服づくり
小学4年生の池田朱里さんの作品は、6時間かけて作ったぬいぐるみの洋服。そのポイントは…。
「白い布をまず貼って切っていって、その上からキラキラの金色の洋服をつけたところがポイントです。ヒロコ先生が大切にされていた布を触れて貴重な体験でした」
姉の作品を見て、妹・奈々香さん(小学2年)は、「こんなに朱里ちゃんが、すてきな洋服をつくってきたので、今度は(参加選考に)通りたいなと思いました」と話した。
洋服づくりを体験した朱里さんに“ある変化”が起きたという。
母 奈緒子さん(47)
「『ファッションアカデミー』に行った後につくったビスチェです。上に着る洋服」
朱里さん
「もともと黒いTシャツだったんですけど、そこから(生地を)切って、そこのパーツをひらひらにしたり」
オリジナルで「自分の洋服」をつくり始めたという。
「家族に洋服をつくってみたりもしたい。お人形とかにも、また洋服をつくってみたい」
■「自分の将来の夢を広げていきたい」
続いて訪れたのは、中学1年生の妹尾芽依さん。
「(耳の)裏面のカラフルが際立つようになるべく白で統一していて、この光沢のある生地がお気に入りです」
コシノさんのコレクションで使われた貴重な生地を手にした時には…。
「他の布では、あまり見ないようなカラフルなものだったり、分厚い生地だったり、ファーだったり、いろいろな種類があって生地を見るだけで、いろいろアイデアがでてくる」
実は芽依さん、この貴重な生地に触れたのは今回が初めてではなかった。
「最初、去年触った時にはゾワッとして。プロジェクトに参加して良かったと思えるきっかけの1つにもなった」
去年行われた、コシノさん監修の「こどもファッションプロジェクト」。子どもたちが、デザインやヘアメイク、モデルや演出などを手掛け、ファッションショーを作り上げるというもので、芽依さんはデザインを担当した。
「日本の“和”の着物もモチーフにしながら、外国風にモダンを取り入れてつくった」
芽依さんが、去年デザインしたのが、着物の振袖をモチーフにしたという、その名も「ジャパニーズ・モダン」。ショーでは、モデル役と一緒に舞台にも上がった。
こうしたイベントに参加することについて、家族は…。
母 佳恵さん(49)
「素晴らしいプロの人たちと一緒にやることで、もちろんつくるのは楽しいが、プロだから知っている『厳しさ』も垣間見ることができると思うので、本当に良い機会だと思っています」
芽依さん
「こういうプロジェクトにいろいろ参加して、自分の将来の夢を広げていきたいと思っています」
そして、コシノさんが思い描く未来図がこちら。
絵の具や木炭などを用いて描かれ、この作品にも端切れが使われているという。
実際には複数あり、他の絵と組み合わせることで一つの作品になっているそうだ。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年9月25日放送分より)
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