陳述書捏造は「前代未聞」 家庭連合元信者ら文科省職員を告訴・告発
世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の解散命令請求を巡る審理で、文部科学省が提出した陳述書に捏造(ねつぞう)があったとして、元信者らが5日、有印私文書偽造容疑などで文科省の職員6人を東京地検に告訴・告発した。
告訴したのは家庭連合の元信者2人。このうち中部地方在住の女性は、家庭連合に関する文科省の聞き取り調査に応じたが、自身の言っていないことを陳述書に盛り込まれたとして、有印私文書偽造容疑で告訴した。女性の娘も告発人として、都内で開かれた報告会に出席し、「高齢の母が悲しい思いをしている」と訴えた。
もう一人の告訴人の男性は、図書館の会議室で文科省職員2人から聞き取り調査を受けたという。だが、陳述書には「『地獄に落ちる』などと言われ、恐怖心から多額の献金をした」「(教団は)解散してもらいたいと願うばかりです」など、自身の発言や認識と異なる記述がいくつかあった。男性はビデオメッセージを通じ、「いい加減にしてほしい。文科省が嘘(うそ)八百を並べ立てた」と不満の思いを述べた。
また、昨年12月の証人尋問の際、法廷での証言により陳述書の内容に虚偽のあることの判明した事例が2件あった。その2件について、現役信者で中小企業診断士の小笠原裕氏(62)が告発。文科省職員による捏造を「戦後最大のスキャンダル」と指摘した上で、「これを根拠に解散が行われるのであれば許しがたい」と憤った。
代理人を務めた徳永信一弁護士によると、捏造は昨年行われた解散命令請求の審理の過程で発覚。報告会で、徳永弁護士は捏造を「前代未聞」だと痛烈に批判し、「絶対に陳述書は表に出ないと思っていたのではないか。非訟事件というあいまいな手続きに守られている意識は(文科省側に)間違いなくある」と強調。さらに「提出された証拠の全ての信頼性が揺らいでいる」と述べ、高裁に厳格な判断を下すよう求めた。
陳述書の捏造問題については、今年3月、浜田聡参院議員(当時)が参院総務委員会で質問。文化庁の小林万里子審議官は捏造疑惑があることを「承知している」と述べた一方で、偽造自体については肯定も否定もしなかった。
世界日報は今年1月以降、複数の陳述書捏造疑惑を関係者の証言を基に報じてきた。中には別の宗教団体での経験を、家庭連合での被害として陳述書にまとめられていた事例もあったことが分かっている。
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