We are KATARI, the musical artist.

引用   :刺青/谷崎潤一郎
編纂   :神尾晋一郎
作編曲   : 越智建登
朗読    : 神尾晋一郎
映像監督 :神宮司秀将
企画プロデュース:田川浩巳
制作   :ISARIBI

niconico : https://www.nicovideo.jp/watch/sm45219706

KATARI Official X  / https://x.com/katari0803
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【詩】
美しい者は強者であり、醜い者は弱者であった。

其れはまだ人々が「愚」と云う貴い徳を持って居て、世の中が今のように激しく軋み合わない時分であった。

誰も彼も挙こぞって美しからんと努めた揚句は、
天稟の体へ絵の具を注ぎ込む迄になった。 
彼が人々の肌を針で突き刺す時、真紅に血を含んで脹れ上る肉の疼に堪えかねて、大抵の男は苦しき呻き声を発したが、其の呻きごえが激しければ激しい程、彼は不思議に云い難き愉快を感じるのであった。

女の身辺を舞いつゝ凱歌をうたう小鳥の群
女の瞳に溢れたる抑え難き誇りと歓びの色

拇指から起って小指に終る繊細な五本の指の整い方、絵の島の海辺で獲れるうすべに色の貝にも劣らぬ爪の色合い、珠のような踵のまる味み、清洌な岩間の水が絶えず足下を洗うかと疑われる皮膚の潤沢。
その女の足は、彼に取っては貴き肉の宝玉であった。 
この足こそは、やがて男の生血に肥え太り、男のむくろを蹈みつける足であった。

女の身辺を舞いつゝ凱歌をうたう小鳥の群
それは戦の跡の景色か、花園の春の景色か

春の夜は、上り下りの河船の櫓声に明け放れて、
朝風を孕はらんで下る白帆の頂から薄らぎ初める霞の中………

WACOCA: People, Life, Style.

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