2000年に創設された介護保険制度は、2025年で25周年を迎える。しかし、その歴史の中で介護現場の課題は依然として解消されていない。低賃金、長時間労働、人手不足――これらは常に付きまとう深刻な問題だ。そんな厳しい環境に、自ら飛び込み、3年間にわたり介護職員として現場で汗を流したのが、元アイドルデュオ・Winkの鈴木早智子さんである。

1980年代後半から1990年代にかけて、数々のヒット曲を生み出し、日本レコード大賞やNHK紅白歌合戦出場など華々しい経歴を持つ彼女。しかし2021年、コロナ禍の真っ只中で下した決断は、誰もが予想しなかったものだった。訪問看護を営む友人から「奮闘する介護職員たちに歌で元気を届けてほしい」と頼まれ、スマホ越しに歌を届けたところ、想像以上の感謝の声が返ってきた。この経験が、彼女の人生を大きく変えるきっかけとなった。

「現場を経験しなければ、本当の大変さはわからない」
そう考えた鈴木さんは、芸能人という肩書を伏せ、一職員として介護の世界に飛び込むことを決意。最初に勤めたのはグループホームだった。認知症の入居者を日々ケアするその仕事は、想像以上に体力と精神力を必要とする過酷なもので、息つく間もない日々が続いた。それでも、利用者の笑顔や小さな変化が何よりの励みとなった。

2年目にはサービス付き高齢者向け住宅での夜勤専門業務に挑戦。夕方4時半から翌朝9時半まで、6階建ての施設の20人前後の入居者を一人で担当するという責任重大なポジションだった。深夜まで続く投薬管理、排泄介助、カルテ記入、緊急コール対応――仮眠時間はわずか1時間、しかも途中で呼び出されることもしばしば。利用者が安心して過ごせるように、常に気を張り続ける日々だった。

特に印象的だったのは、言葉を発することを避けていた一人の利用者とのエピソードだ。最初は意思疎通が難しいと思っていたが、実は「できない」のではなく「やりたくない」だけだと知る。そこで鈴木さんは、その方が大好きな旦那さんの存在を励みにし、「旦那さんが喜ぶから声を出してみましょう」と促したところ、初めて「はい」と頷いてくれた。後日施設を訪れた際、その利用者が今も「あいうえおボード」に取り組んでいる姿を見て、胸が熱くなったという。

鈴木さんは、言葉が通じるかどうかに関係なく、相手の好みや性格に合わせた関わりを心がけた。「この人は○○が好き」「この人は○○で喜ぶ」――そうした情報を大切にし、短い時間でも心を通わせる努力を惜しまなかった。全員に同じ対応をするのではなく、一人ひとりの個性に寄り添うこと。それが、介護の現場での最大の武器だと感じた。

3年目には特別養護老人ホームでも勤務し、多様な介護現場を経験した鈴木さん。2024年6月に介護職を離れた現在は、タレント活動と並行しながら、自らの体験をもとに介護の現状や魅力を発信している。

「介護は本当に繊細な問題。私一人では解決できないことも多いけれど、私だからこそできることもある」
Winkの鈴木早智子という名前を知る人は多く、その影響力を使って介護現場の声を届けたいと彼女は語る。介護職員が抱えるストレスを吐き出せる場所づくりや、現場での工夫、そして介護のやりがいを社会に広めること――その挑戦は、これからも続く。

かつて華やかなステージでスポットライトを浴びた彼女が、介護現場という全く異なる舞台で見つけた「人と人が心でつながる瞬間」。それは、どんな賞や栄誉にも代えがたい、大切な宝物となった。

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