◆ラグビーW杯 第1日 日本30―10ロシア(20日、東京スタジアム) 3大会連続出場で開幕戦先発フッカー・堀江翔太(33)=パナソニック=の妻・友加里さん(33)がスポーツ報知に独占手記を寄せた。堀江が「うちの“ササエさん”」とサポートに感謝する友加里さん。8強入りを目指す夫にエールを送った。【写真】日本代表、開幕戦白星発進 ロシアに先制許すも堀江「絶対勝てると思っていた」 桜のジャージーを着て戦うトト(お父さん、家庭での堀江の愛称)の姿を家族みんなで応援しました。今年をピークに頑張ってきて、「W杯はこれが最後」と気合が入ってますから、悔いなく頑張ってほしいです。 4年間はあっという間。前回W杯が終わって休むのかなって思っていた。けど、すぐに日本代表、サンウルブズ、パナソニックと主将を3つもやって「嫌やわぁ」って。最近、当時の話をしたら「あん時は、すごくしんどかった」って。一緒にいて話相手になってあげることしかできなかったけど「それがすごくうれしかった。支えになった」って。けがが多く、家に不在がちな旦那さんを持つラガーマンの妻にはうれしい言葉でした。 翔太くんは音楽がすごく好き。家にはギター、三味線、ウクレレがあります。沖縄民謡とか、BEGINの「竹富島で会いましょう」とか弾きますよ。ふとした時に楽器持っていい気分転換してる。ああ見えて、歌もうまいんです(笑い)。 首の手術をした時は握力が小学校低学年ぐらいの9キロにまでなって【注1】。弦の少ないウクレレがいいリハビリになりましたけど、それでラグビーやってるんだから、すごいですよねぇ。試合や遠征であまり家にいる時間が少ないけど、けがをすると家族の時間が増えて子供たちも喜ぶ。ラガーマンの家庭の奥さんってなんだか複雑です。 30歳を過ぎて体の変化を感じて遅延アレルギー(食物過敏)の検査をしました。卵、小麦、牛乳、パンは食べられない。だから玄米、みそ汁、メインはお魚か鶏肉。お酒はテキーラだけ。胃にもたれるから揚げ物もNG。体に合う食事でパフォーマンスにつなげる努力をしてます。 家計ですか? 大変ですよ!(笑い)。今はちょっと上がったかな。(代表の)日当が2000円だったこともあって、ちょっと驚きましたけど。つらい時期があっても、盛り返しました。15年の時よりも体が動けてるし、表情もいい。淡々としてるけどすごく自信を感じます。 彼の悔し涙を見たのは1回だけ。ダニーデン(ニュージーランド)に行ってすぐに肩のけがをした時でした【注2】。一緒に頑張ってたフミさん(SH田中史朗)が活躍してて。焦りもあって「結果を出さないと次にいけない」って。グッとくるような涙が印象的でした。翔太くんのラグビーにかける思いが分かって、その時「本当にこの人を支えたい」と思いました。何ができるわけでもなく、ただそばにいるしかありませんでしたけど…。 引退したら「ラグビーに恩返ししたい」と言ってます。コーチとは違った立場のS&C(ストレングス&コンディショニング)担当として、体を張って得た経験をラグビー界の未来を担う選手たちのために役立てたいそうです。 ちなみに、あのドレッドヘアは私のお手製ですよ。「YouTube」で勉強しましたから。翔太くんは、ドレッドは引退までやるって言ってます。今は肩まで伸びてるから背中までいっちゃうかも知れませんね(笑い)。 ◆先発の役目を果たした 堀江は3度目のW杯開幕戦できっちり先発の役目を果たした。「W杯初戦はこんな感じになると思っていた。たくさん我慢して自分たちで修正できたのはよかった」と語った。後半34分までプレーし、控えの坂手とハイタッチを交わして交代した。スローワーを務めた14回のラインアウトは92・9%の成功率。4度のスクラムは100%とほぼ完璧だった。派手なプレーこそ少なかったが、苦戦した前半の序盤は前線で体を張ってFW陣を引っ張った。「日本の強さを証明する」W杯の初戦突破に貢献した。 ◆堀江家 翔太は12年に小、中学校の同級生だった友加里さんと結婚。長女で5歳の美乃(よしの)ちゃん、次女で2歳の香乃(かやの)ちゃんと4人家族。翔太いわく「会社やサポートの方々、ファンへの感謝も尽きないけど、ラガーマンを代表して僕らの一番のサポーターは家族、嫁です」。 【注1】15年W杯開幕7か月前の2月に首を手術。長年のスクラムで削れてとがった骨が首の神経にささる、選手生命を左右する大けがをした。約7時間に及ぶ手術を乗り越え、3日間、止まらない吐き気に苦しんだ。一時は自力歩行ができない状態から復活した。 【注2】12年のニュージーランド州代表選手権「ITMカップ」でオタゴ州代表に挑戦。田中史朗とともに代表に選出されたが、直前に肩をけがして断念。帝京大卒業後の08年もNZ・カンタベリーアカデミーに留学し、同カップ出場を目標にしたが、達成することができなかった。
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