元フジテレビアナウンサーで現在は弁護士としても活動する菊間千乃氏が、テレビ朝日の人気情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」にコメンテーターとして出演し、日本の消費税制度を巡る各党の政策について鋭い見解を述べた。番組内では、人口減少問題に関連した経済政策として、日本共産党・田村智子委員長とれいわ新選組・高井崇志幹事長へのインタビューが紹介され、両氏ともに「消費税廃止」を主要な政策として掲げていた。
田村氏は、まずは消費税を5％へ緊急減税し、最終的には完全な廃止を目指すと明言。その代替財源としては、「大企業への減税措置や税優遇制度の見直し」が必要と主張した。一方、高井氏は積極財政を推進し、当面は国債の発行によって財源を確保すると述べた。
こうした主張に対して、菊間氏は「消費税って本当に“悪”なんでしょうか？」と疑問を呈した。消費税を廃止することで国民の負担感は一時的に軽減されるかもしれないが、その結果、どこかで別の形の税負担が増える可能性を指摘。「消費税がない国では、所得税や法人税が高くなる傾向がある。それをすべて国民が負担していく形になることを忘れてはいけない」と述べ、単純な減税スローガンの裏にある構造的課題について警鐘を鳴らした。
さらに、菊間氏は「消費税廃止と人口減少対策との因果関係が曖昧である」とも指摘。少子化や人口減少といった深刻な社会課題には、教育、雇用、住宅支援、子育て政策など多角的な視点からのアプローチが必要であり、単に税を下げることが解決策になるとは限らないと語った。この視点は、ポピュリズム的な政策論に流されがちな昨今の政治議論に対して、極めて冷静かつ現実的な観点を提供するものだ。
菊間氏のこの発言は、ただの評論ではなく、「真に国民にとって優しい政策とは何か」という根本的な問いを突きつけるものである。税制改革は単に人気取りの手段として語られるのではなく、持続可能性と公平性という観点から真剣に議論されるべきである。そのためには、政治家の言葉だけでなく、専門的知見をもつ識者や実務家の意見も重要であり、菊間氏のような存在がますます求められている。
また、番組内では玉川徹氏による現場インタビューも放送され、各党の政策の裏にある理念や現実的課題が紹介されたが、こうした多面的な報道は視聴者にとって非常に有益である。菊間氏の発言は、感情に流されることなく、事実と理論に基づいた冷静な論理展開であり、多くの視聴者が「そういう考え方もあるのか」と思い直すきっかけになったに違いない。
「消費税廃止」といったスローガンが政治の現場で飛び交うなかで、それを受け止める国民側もまた、情報を精査し、将来への責任ある選択を求められている。菊間千乃氏のような理性と経験を兼ね備えた発信者が社会に与える影響は計り知れない。今後も、政治・経済に関する公共の議論において、こうした視点が増えることが、日本社会の成熟と健全な民主主義につながっていくことを期待したい。
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