2025年3月22日(土)よりユーロスペースにて公開が決定した『光る川』(カルチュア・パブリッシャーズ配給)。

 本作は、『アルビノの木』『リング・ワンダリング』など国内のみならず海外映画祭でも多数受賞の異才・金子雅和監督の最新作。金子監督は、川や山といった圧倒的なロケーションと民俗学・美術等に裏打ちされた世界観により、現代人が忘れかけている自然への畏怖や人間の根源にある生命力を描き出す作風で国内外から注目を集めている。長編3作目となる『光る川』は、11月スペインで開催された第62回ヒホン国際映画祭でユース審査員最優秀長編映画賞を受賞している。

 本作では無垢な少年の眼差しを通し、現代化への分岐点となる高度経済成長期、そしてさらに昔、まだ人が自然への畏怖を持っていた時代が交錯して描かれる。少年が目撃する里の娘と木地屋の青年の関係性には、支配的な社会制度から解き放たれた世界へ向かおうともがく様が描写され、疲弊する現代人への原点回帰的なメッセージが秘められている。

 物語の根幹を支える女性・お葉を演じるのはNETFLIX『シティーハンター』くるみ役で注目を集めた華村あすか。お葉との悲恋の相手・朔にNHK朝の連続テレビ小説『舞いあがれ!』で話題となった葵揚。物語の眼差しとなる少年・ユウチャとお葉の弟・枝郎を子役の有山実俊が一人二役で演じている。また、足立智充、山田キヌヲ、堀部圭亮、根岸季衣、渡辺哲といったベテラン、そして『リング・ワンダリング』に続く出演となる安田顕まで、多彩な顔ぶれが揃っている。

 深く引き込まれそうな水辺、近寄りがたさすら感じさせる洞窟や滝、悠久の時を刻む山々の情景など、CG一切なしの神秘的な自然が物語を彩る大きな要素となっている。音楽は、細田守監督作品を手掛けてきた音楽家・高木正勝が書き下ろし、繊細に演奏している。

■ストーリー
高度経済成長の始まった1958年。
大きな川の上流、山間の集落で暮らす少年ユウチャ。父は林業に従事し、母は病に臥せていて、老いた祖母と暮らしている。まだ自然豊かな土地ではあるが、森林伐採の影響もあるのか、家族は年々深刻化していく台風による洪水の被害に脅かされている。
夏休みの終わり、集落に紙芝居屋がやってきて子どもたちを集める。その演目は、土地にずっと伝わる里の娘・お葉と山の民である木地屋の青年・朔の悲恋。叶わぬ想いに打ちひしがれたお葉は山奥の淵に入水、それからというもの彼女の涙が溢れかえるように数十年に一度、恐ろしい洪水が起きるという。紙芝居の物語との不思議なシンクロを体験したユウチャは、現実でも家族を脅かす洪水を防ぎ、さらには哀しみに囚われたままのお葉の魂を解放したいと願い、古くからの言い伝えに従って川をさかのぼり、山奥の淵へ向かう…

華村あすか 葵揚
有山実俊 / 足立智充 山田キヌヲ
髙橋雄祐 松岡龍平 石川紗世 平沼誠士 星野富一
堀部圭亮 根岸季衣 渡辺 哲
安田 顕
脚本・監督:金子雅和
音楽:高木正勝 共同脚本:吉村元希 美術監督:部谷京子 撮影:山田達也 照明:玉川直人 音響:黄 永昌 
スタイリスト:野口 吉仁 ヘアメイク:鎌田英子 山下奈巳 助監督:土屋 圭 カラーグレーディング:星子駿光 OPアニメーション:高橋昂也
原作:松田悠八(「長良川 スタンドバイミー一九五〇」より) エグゼクティブ・プロデューサー:中谷克彦 酒井興子 
企画・プロデュース:森岡道夫 福原まゆみ
プロデューサー:松本光司 片山武志
製作:長良川スタンドバイミーの会 
制作プロダクション:プロジェクト ドーン
配給:カルチュア・パブリッシャーズ 
公式サイト:culture-pub.jp/hikarukawa/
公式X:@re_river_movie
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会
【2024年/日本/カラー/1.85:1/5.1ch /DCP/108分】
(C)長良川スタンドバイミーの会

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