朗読で綴る文学の世界 on YouTube
2020年8月15日(土)より配信開始
泉鏡花作「湯島の境内 婦系図―戯曲一齣―」
「切れるの別れるのって。そんな事は、芸者の時に云うふものよ。」というセリフで有名な「湯島の境内」は、原作の「婦系図」では書かれていない、お蔦主税の別れの場です。大正三年、劇団新派の「婦系図」の舞台稽古に立ち会った鏡花が、喜多村禄郎らの希望に応じ自ら書き下ろしました。お蔦主税の悲恋は、鏡花が明治三十二年一月の硯友社の新年宴会で知り合った神楽坂の芸子桃太郎(すず夫人)と内密で同棲していたことが師尾崎紅葉に発覚し、師に強く叱責され、別れさせられた体験にもとづいています。
朗読 五十川千枝子
* * * * * * * * * *
泉鏡花作「婦系図」
明治四十年一月より四月まで「やまと新聞」に連載。若きドイツ語学者、早瀬主税は、恩師の独文学者、酒井俊蔵にかくれて柳橋の芸者お蔦と所帯を持ったことが露見して別れさせられる。お蔦は髪結のすき手になるが、やがて病に倒れ、その臨終には彼女の真心を知った酒井がかけつけ、お蔦は早瀬の名を呼びつつ酒井に看取られて息絶える。
一方、早瀬は元軍医監の野心家河野英臣が、その息子英吉の嫁に酒井の娘妙子を得ようとして身元調べをした非礼に憤慨し、静岡におもむいて英吉の妹を誘惑し、英臣の妻が馬丁と密通したことを暴露するなどして河野一家を破滅させ、自らもお蔦の黒髪を抱きながら毒をあおぐ。
「成らん!此場に及んで分別も糸瓜もあるかい。こんな馬鹿は、助けて返すと、婦を連れて駈落を為かねない。短兵急に首を圧へて叩つ斬つて了ふのだ。早瀬。」と苛々した音調で、
「是も非も無い。さあ、たとへ俺が無理でも構わん、無情でも差し支へん、婦が怨んでも、泣いても可い。憧れ死に死んでも可い。先生の命令だ、切れっちまえ。俺を棄てるか、婦を棄てるか。むむ此の他に言句はないのよ。」(何うだ)と顎で言はせて、悠然と天井を仰いで、くるりと背を見せて、ドンと食卓に肘をついた。
「婦を棄てます。先生。」と判然云った。
其処を、酌をした小芳の手の銚子と、主税の猪口と相触れて、カチリと鳴った。「幾久く、お杯を。」と、ぐつと飲んで目を塞いだのである。
・・・━━━☆・・・━━━☆・・・━━━☆
演出 高輪眞知子
主催 朗読小屋浅野川倶楽部
・・・━━━☆・・・━━━☆・・・━━━☆
使用音楽の著作権利用許諾について
Nash Music Library を利用させて頂いています。
・・・━━━☆・・・━━━☆・・・━━━☆
朗読小屋浅野川俱楽部
https://www.asanogawaclub.com/
http://asanogawaclub.web.fc2.com/
YouTubeチャンネル「Reading cafe ほたる」
https://www.youtube.com/channel/UCJU4gnK4mpu9sER0Ikamljg
Facebook
https://www.facebook.com/asanogawaclub/
Twitter
Tweets by asanogawaclub
Machiko Takanawa
https://www.machiko-takanawa.com/
Your Justice ~3.11に思いを寄せて~
https://www.your-justice.org/
* * * * * * * * * *
#朗読 #小説 #泉鏡花 #徳田秋聲 #徳田秋声 #室生犀星 #石川県 #金沢市 #朗読小屋浅野川俱楽部 #浅野川俱楽部 #Reading cafe ほたる #鏡花劇場 #高輪眞知子 #湯島の境内 #婦系図 #文学
WACOCA: People, Life, Style.