【ライブレポート】日向坂46が虹の向こうに見た一筋の光、チャレンジングな新体制初ライブ日向坂46のワンマンライブ「日向坂46 BRAND NEW LIVE 2025『OVER THE RAINBOW』」が5月28、29日に東京・国立代々木競技場第一体育館で開催された。本稿ではDAY2の模様をレポートする。

【写真】日向坂46新メンバー・五期生のパフォーマンスの様子(ほか全37枚)

■ 「青春の馬」で疾走感あふれる幕開け
この春、キャプテン佐々木久美を含む一期生が全員卒業し、新たに五期生10名を迎えた日向坂46。大きな変化を遂げている彼女たちにとって、新体制初のライブがこの「BRAND NEW LIVE 2025『OVER THE RAINBOW』」だ。四期生・正源司陽子&藤嶌果歩の影ナレに続いてオープニングムービーが始まり、おひさま(日向坂46ファンの呼称)のサイリウムの光で場内がグループカラーの空色一色に。そしてラインをあしらったスポーティな衣装の日向坂46が登場し、会場が大歓声に包まれる中、小坂菜緒がセンターの「青春の馬」でライブがスタートした。疾走感あふれるメロディと前へ進んでいく強い意思を感じさせる歌詞のこの曲で、1曲目から場内に感動的なムードが広がる。彼女たちのエネルギーに負けじと、おひさまは盛大なコールを送った。

2代目キャプテン高橋未来虹が「昨日を超える熱量と気合でがんばっていきますので、皆さん最後まで盛り上がっていきましょう!」と気合いを入れたあと、二~四期生が最新シングル「海風とわがまま」をさわやかにパフォーマンス。「一生一度の夏」で花道に駆け出すと、そのままセンターステージへと広がり、おひさまの間近で甘酸っぱい世界観を表現した。「真夜中の懺悔大会」のパフォーマンス中には、富田鈴花、宮地すみれ、藤嶌の3人でじゃんけんをして負けた1人が“懺悔”をすることに。負けてしまった富田は「松田好花のお父さんが差し入れしてくれたみたらし団子、5箱くらいあったんですけど、1箱持ち帰ってしまってごめんなさい!」と暴露し場内に笑顔を広げた。

MCでは二期生の河田陽菜が富田の家に遊びに行ったときに借りた部屋着を返していないことを自ら懺悔。四期生の山下葉留花は、四期生が「一生一度の夏」をフルサイズで初めて披露したことに触れ「夢が叶いました!」と喜んだ。続いて富田の威勢のいい煽りで、13thシングルの“ひなた坂”による「あの娘にグイグイ」でパフォーマンスが再開。最新シングルに収録されているキュートなユニット曲「あのね そのね」で宮地、小西夏菜実、清水理央がおひさまをとろけさせ、前向きなエネルギーに満ちたユニット曲「どこまでが道なんだ?」では高橋、金村美玖、山口陽世、平岡海月がおひさまの熱い声援を全身に浴びた。

■ 一期生のセンター楽曲を最新形で
薄暗いセンターステージに1人残った金村は、クールかつしなやかなソロダンスで場内のムードを一変させる。日向坂46はそんな彼女をセンターに据えた「月と星が踊るMidnight」を切なげな表情で披露した。発表時には一期生・齊藤京子がセンターを務め、小坂と金村が脇を固めていたこの曲。ラストには金村が再びセンターステージで力強くもはかなく舞い、会場中の視線を独占した。続いて、これまた空気を一変させたのは、松田がセンターを担ったキュートでにぎやかな「アザトカワイイ」。この曲は一期生・佐々木美玲のセンター楽曲で、松田はこの楽曲の発表当時、体調不良によりグループの活動を離れていた。前日の公演では、自分がつらい時期に心を支えてくれた「アザトカワイイ」でセンターを務める感慨を語り涙ぐんだ松田だったが、2日目は持ち前のハッピーなオーラを全開にしてセンターを務め上げた。その後、「キュン」「ってか」「君しか勝たん」という人気曲を連ねた、二~四期生によるメドレーがスタート。それぞれの楽曲にビートの効いたアレンジが施され、メンバーは息の合った群舞を繰り広げた。

■ 五期生と先輩メンバーの瑞々しいコラボ
「一昨日、昨日と盛り上げてくれた、あの子たちの登場です!」という松田の声に導かれ、27日に同会場で「おもてなし会」を行ったばかりの五期生が登場。初の期別曲「ジャーマンアイリス」を可憐に歌い踊り、おひさまに癒しをもたらす。さらに、二~四期生の期別曲に五期生数名ずつを交える形で次々に楽曲が披露された。四期生と一緒に「シーラカンス」を披露した高井俐香は「不安になっていたところに山下葉留花さんが優しく手を差し伸べてくださって。ひだまりのように温かい四期生の先輩方と一緒にパフォーマンスできて、かけがえのない思い出となりました」と涙目でコメント。三期生と「パクチー ピーマン グリーンピース」を歌唱した佐藤優羽は「この曲はすごく明るい曲で、私はあまり笑顔が得意ではないので、上村ひなのさんにアドバイスをいただいたところ、『面白かったことを思い出して。目の前のおひさまの笑顔を見て、笑顔になってがんばろう!』と言ってくださって」と裏側を明かした。「夢のような時間でした」と二期生との「You’re in my way」のパフォーマンスを振り返ったのは松尾桜。「松田好花さんがお隣で踊ってらしたんですけど、普段とギャップがあってすごくほれちゃいました」と松尾は照れながら所感を述べた。

モノトーンを基調とした衣装に着替えてのダンストラックを挟み、正源司&藤嶌がダブルセンターの「永遠のソフィア」でライブは終盤へ。「絶対的第六感」では五期生がクールかつ情熱的に魅せ、四期生楽曲「見たことない魔物」では藤嶌が「全員叫べー!」と叫ぶ。正源司のセンター曲「君はハニーデュー」ではメインステージにメンバーが全員集合。メンバーの熱量に、おひさまのテンションも上がり続ける。そして日向坂46は、前作シングルの選抜メンバーで「卒業写真だけが知ってる」、二~四期生全員で最新シングル「Love yourself!」を披露。ともに小坂がセンターを務める楽曲だが、前者は一期生が参加したラストシングル、後者は新体制で初めて発表したシングルであり、グループの変化を象徴するような2曲でライブ本編を締めくくった。

■ パワーアップしてこの地に帰ってきます
アンコールでは二~四期生が花道やセンターステージに広がり、一期生楽曲「愛はこっちのものだ」でおひさまの熱狂を誘う。曲中に高橋が「全員騒げー!」とシャウトし、銀テープ、火花というド派手な特効がステージを彩った。五期生も合流した最後のMCタイムにて、ライブの感想を問われた小坂は「14枚目のシングル『Love yourself!』を発売したあとのライブということで、二期生としてもセンターとしても引っ張っていかなきゃと心配だったんですが、同期も後輩も本当にたくましくて、みんな力になってくれて。自分の中ですごく大事なライブになりました」とコメント。続いて富田は「ダンストラックがあったり、曲がリミックスされていたり、挑戦がたくさんあったんですけど、みんな弱音を吐かずに、私もすごい元気をもらって。まさに『Love yourself!』をしてもらってるような気持ちでした。これからも日向坂46はチャレンジをたくさんしていけるような、そしてチャレンジさせたいと思ってもらえるようなグループでありたいです」と言葉に力を込めた。

その後、秋の全国ツアーが発表されると、おひさまから大歓声が。全国6都市で行われるツアーの最終公演は、ここ国立代々木競技場第一体育館で3日間にわたり行われる。キャプテン高橋は「1つひとつに魂を込めて取り組まないといけないなという気持ちで活動してきました」とグループの変化が大きかった1年間に思いを馳せ、「一期生の先輩方がご卒業して、新しいメンバーが増えて、全国の地に足を運べることが本当にうれしいですし、さらにパワーアップした姿でこの地に帰ってくると約束します!」とメッセージを送り、喝采を浴びた。

■ 「OVER THE RAINBOW」のラストナンバーは……
日向坂46のライブでは最後に「JOYFUL LOVE」が披露され、おひさまがペンライトを虹色に灯すのが恒例だが、本公演のラストナンバーは、一期生・齊藤京子の卒業曲「僕に続け」。ラストのサビ前に高橋はキャプテンとしての思いを語った。「昨日私たちは新たな船出を迎え、メンバーやおひさまの皆さんが今日をどういう気持で迎えるのかなかなか想像がつきませんでした。変わっていくことに不安は伴うものだけど、皆さんからいただいた拍手や歓声、そして目の前に広がるサイリウムの景色が、私たちが届けたかった思いに対する皆さんの答えなんだと受け止めました。虹の向こうに一筋の光のようなものが見えた感覚でした」と言葉を紡いだ高橋は、「皆さんが困難に立ち向かわなければいけないときにそばにいたいし、私たちが夢を叶える瞬間には皆さんにそばにいてほしいです。チーム日向坂46は永遠です。一緒に支え合って進んでいきましょう。これからも応援をよろしくお願いします」と伝え深々とお辞儀をした。

そして最後のサビを横一列で歌唱した日向坂46。多くのメンバーが目に涙を浮かべ、富田や上村が涙を流す様子も見られた。最後に高橋が「日向坂46は秋のツアーで全国へと羽ばたきます。私たちは皆さんのためにステージに立ち続けます。その姿を何度も何度も観に来て、目に焼き付けていただけるとうれしいです」と挨拶し、ライブはフィナーレへ。日向坂46メンバーはそれぞれ晴れやかな表情を浮かべ、新たな未来に向けて大きな一歩を踏み出した。

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