日向坂46史に刻まれた佐々木久美の精神、グループがまたひとつ勇ましくなった「6回目のひな誕祭」レポート
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実験的な楽曲を続けたあとには「青春の馬」に始まり「川は流れる」や四期生曲「見たことない魔物」と、これまでのライブで幾度となくハイライトを記録した楽曲たちが披露される。「見たことない魔物」のイントロにて煽りを担当した藤嶌果歩は「この曲で叫ぶの、待ってたんだろ?」といたずらっぽい笑みを含ませつつロックバンドさながらのアジテーション。これにはもうおひさまたちは大爆発。とんでもない声量でのコールを横浜スタジアムの上空へと響き渡らせた。そんな大盛り上がりを巻き起こす楽曲群のブロックではあったが、思えばなんとこれらもシングル表題曲ではないのである。先述の行き交う作家陣が織りなす楽曲の強さとそれらを何倍にも増幅させるメンバーのパフォーマンスという美しき相互関係に、改めて頭の下がる思いだ。
続いては本公演をもって9年間所属したグループからの卒業を発表しているキャプテン佐々木久美をフィーチャーしたコーナー。自身がセンターを務める「My God」のあとは「抱き締めてやる」の性急なビート感の中でダンス、表情、歌の全てがキリリと引き締まったシリアスにしてシアトリカルなパフォーマンスをキメていく。副キャプテン就任時に久美が「これから相棒だよ」と声をかけた髙橋未来虹とのデュオ編成で披露された「沈黙した恋人よ」では2人が顔を見つめ合いながら歌う瞬間があり、これにはたまらず髙橋が涙を見せる。キャプテン、副キャプテンという任を負った2人の間にしか成立し得ないであろう感情を交錯させたあと「車輪が軋むように君が泣く」ではおひさまのシンガロングのみで曲を進行させるという一幕も。偉大なキャプテンに対する大きな惜別の念をおひさまにも共有させてくれるという、感動的な瞬間であった。
MCでは、富田により久美のすっぴんは赤ちゃんみたいな肌質であったり、始めて家に久美が来てくれた時は突然逆立ちをし始めたなどの仲の良さを窺い知れるエピソードが披露されたが(これに久美は「逆立ちして見る世界は面白いよ」と返していた)、そんなほっこりタイムのあとは再び期別曲を連打。MV衣装を纏っての初パフォーマンスとなる四期生曲「足の小指を箪笥の角にぶつけた」は、そのあとの会場内アンケート(平尾帆夏提唱による「小指タンス」か、当曲センター山下葉留花提唱の「こゆたん」かをペンライトの色が多かった方で決めるというもの)で「こゆたん」に略称が決定。三期生曲「パクチー ピーマン グリーンピース」では、曲ラストの好き嫌いについての歌詞の内容を反映した山口陽世による「(好き嫌いして)ごめんね」の決めゼリフにおひさまたちが萌え上がり、二期生曲「君は逆立ちできるか?」のラストでは、これに負けじと富田が猫をメインテーマとする歌詞と会場を反映して「よこは、にゃ!」とアンサー。先程のMCを曲タイトルで回収した上にさらなる萌えの燃料を投下するという離れ業をやってのける。
ライブは息もつかせぬ進行。そのあともたたみ掛けるように楽曲を繰り広げてきた日向坂46であったが、ユニット曲「その他大勢タイプ」を終えたところでとっておきの大サプライズ。映像出演の齊藤京子による「最高のプレゼントを用意しました」のアナウンスのあとおひさまたちの前に姿をあらわしたのはなんと長濱ねる、井口眞緒、潮紗理菜、影山優佳、加藤史帆、高本彩花、東村芽依の7人。こちらに佐々木久美、佐々木美玲、高瀬愛奈が加わりパフォーマンスされたのは「ひらがなけやき」。そう、最高のプレゼントとは、けやき坂46初期メンバー12人の再集結(齊藤は映像出演、柿崎芽実も手紙という形でステージに参加)であったのだ。
前日はここで五期生が初お披露目となったとのことだが、まさか2日目にもこんな大仕掛けが仕込まれていたとは。舞い降りた奇跡に夢かうつつかといった表情を浮かべるおひさまたちの目を覚ますかのように定番曲「HEY!OHISAMA!」と一際シリアスな「錆びつかない剣を持て!」が披露されたあと、「僕なんか」「君しか勝たん」「君はハニーデュー」「卒業写真だけが知ってる」と怒涛のシングル表題曲ラッシュが続き、最高潮の盛り上がりの中披露されたのは2ndアルバム『脈打つ感情』のリード曲「君は0から1になれ」。長時間に渡る公演においてなおも力強く艶やかなパフォーマンスでラストスパートを駆け抜けていったのち、ライブ本編はグループ名を冠した「日向坂」の雄大なメロディーで堂々のエンディングを迎える。アンコール。再び場内に鳴り響く「Overture」の映像演出に他メンバーの姿はなく、佐々木久美単独のものへと変更されている。
ついにこの時を迎えることになってしまったのだ。キャプテン佐々木久美の卒業セレモニーである……のだが、「Overture」後にモニターで流れた生中継の映像によると久美が楽屋に立てこもったままなかなか出てこない。それに松田が「好きですねえ、立てこもり」とため息。2017年の「一期生衣装部屋立てこもり事件」のオマージュである(笑)。中継は続き、メンバーの呼びかけに楽屋から出てきた久美であったが、今度はステージとはあさっての方向へ脱走。するとステージサイドより自転車で爆走しながら「ひらがなで恋したい」と共にようやく登場。「ひなあい」で培ったバラエティ能力(本人曰く茶番とのことだったが(笑))を存分に発揮する。その後四期生と「夕陽Dance」、三期生と「青春ポップコーン」、二期生と「恋する魚は空を飛ぶ」、メンバー全員と「ハロウィンのカボチャが割れた」をパフォーマンスし、おひさまと過ごす最後のひとときを本人らしいエンタメ精神で彩ってくれた。
その軌跡を辿る映像がモニターに流れたあと、久美は純白のドレスを纏って再び登場。スピーチで今日ここまでの感謝を伝え、メンバー1人1人からのメッセージを受け取り、そしてキャプテンの任を髙橋へと託す。
てくれたのだ。
【全ての写真】昨年末の東京ドームではじまった新たな物語の続きを示した日向坂46、佐々木久美の卒業公演には長濱ねる、影山優佳らも集結(写真57枚)
本記事では「6回目のひな誕祭」2日目の模様を中心にお届けする。
あいにくの雨模様を持ち前のハッピーオーラで開演直前に快晴へと変えてしまった日向坂46。これには影ナレを務めた河田陽菜、富田鈴花も驚きだった模様であり、公園の遊具を思わせるカラフルなセットに雨上がりの強い陽射しが照りつける中「Overture」からライブはスタート。オープニングナンバーは前日の「キュン」に続くグループきってのキラーチューン「ドレミソラシド」である。メンバーがリズミカルにタイトルフレーズをリフレインさせるのに合わせおひさまたちも全力で「ソ・ラ・シ・ド!」のシンガロング。
早速のお祭り騒ぎ状態となった横浜スタジアムにグループは“春の風がふいに吹いて”という季節とロケーションにバッチリとハマった「ソンナコトナイヨ」、アップテンポなサウンドメイクが野外ライブにうってつけな「ってか」とシングル表題曲を続けて披露。序盤から歓喜に沸き立つおひさまたちであったが、それはステージに立つメンバーからしても良い景色であったようで、前日卒業セレモニーを終えていながら2日目も全面参加となる佐々木美玲がその光景を「皆さんのペンライトが太陽の光に当たってピカピカ光ってる! みんな、かわいい!」と嬉しげ(?)に語ってくれた。
ここからパフォーマンスの場をセンターステージに移し、期別曲にフォーカスしたブロック。四期生による「シーラカンス」「雨が降ったって」、三期生による「愛のひきこもり」「Right?」二期生による「沈黙が愛なら」「君のため何ができるだろう」、一期生による「愛はこっちのものだ」「骨組みだらけの夏休み」の8曲を立て続けに披露すると、MCでは全曲披露の事前アナウンス通り、今日のセットリストは前日との曲被りが一切ないことしくなった「6回目のひな誕祭」レポート
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