ジオン公国軍はMS-05 ザクIを開発して実戦投入を行った後、熱核反応炉を更新してパイプを利用した冷却システムを導入した新型機としてMS-06 ザクIIを開発した。MS-06はMS-05から全面的な再設計が行われており、完成時の形状が異なったことから新たな型式番号が与えられた。MS-06 ザクIIの初の量産型はA型であり、さほど生産されなかった同機を引き継ぐ形でC型が生産され、開戦初期の主力として運用される。そしてC型と同様の外観を持ちながらも、もっとも生産された機種がF型 (MS-06F) である。U.C.0079年1月からの一年戦争開戦後、ブリティッシュ作戦を敢行した一週間戦争時点でMS-06はA、C、F型が運用されていた。また、開戦時にブリティッシュ作戦に従軍した本機の部隊は、長時間の冷却剤タンクを背負っての作業にあたって次々と連邦軍に撃墜され、優秀なパイロットを同時に多数失っている。MS-06 ザクIIの一年戦争中の生産機数は、派生機を含めた連邦・ジオン両軍を通して最高の生産数とされる。総生産数については諸説あり、『GUNDAM CENTURY』ではザクIを含めて約8,000機、そのうちF型は3246機で最多としているが、バンダイ発行のB-CLUB70号では派生機を含めた総生産数を4,000機としており、それに次ぐのが派生機を含めた総生産数3800機となるジムとしている。
アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する「シャア専用ザク」に、『センチュリー』で設定が付与されたもの。型式番号は同書発行の直前に公開された劇場版第1作のパンフで “MS-06(S)” または “MS-06s” と表記されたのが初出である。「シャア専用ザク (II)」「ザクII(シャア・アズナブル専用機)」のほかに名称は、「指揮官用ザク」「指揮官型ザクII」があり、単に「ザクII」とも呼ばれる。ただし、本機に限らずF型やF2型、FZ型などにブレード・アンテナを装備した機体も「指揮官機」とされるため、本項では括弧書きで型式番号に由来する「S型」を付与して区別する。中隊長クラスの優秀なパイロットの要請に応じて開発されたタイプ。当初はC型を発展させた高機動型(R型)を開発・生産する予定であったが、開戦前の時点では改良箇所が多く生産効率が悪いため見送られ、替わって開発される。「R型の設計思想にもとづいた機体をF型の設備で生産する」という、先行試作型とも呼べる機体であり、機動性向上のための技術開発の実戦投入試験機としての側面をもつ。F型をベースに(C型説もあり)推進エンジンの出力を30パーセントアップし、機体の構造材に特殊材料を用いた高性能タイプ。外観上はF型とほとんど替わっていないように見受けられるが、内装部品は特殊なものが多く、機体性能は2割ほど向上している。ただし、基本的に各部のユニット規格を維持したままでの高性能化であり、部品単位で歩留まりのよいものが厳選されているものの、F型との部品共有率は80パーセントとも90パーセントともいわれ、代用が可能となっている。また、装甲材の組成や構造も改善されている。高性能であるものの非常に扱いにくい機体となっており[155]、初心者が搭乗した場合はまともな作戦行動すらできなかっただろうとされる。機動性は向上するものの稼働時間はF型より短いといわれるが、これは数値上の誤解であり、戦闘時のスラスターの使用頻度を上げないことで各自によって戦闘時間は拡大されており、本機を乗機とするパイロットからは高評価を得ている。また、ノンオプションで大気圏内外の環境に対応可能であり、高級機としての側面ももっている。おもにグラナダの実験場においてテストがおこなわれるが、その内容には対MS戦を視野に入れた模擬戦闘も含まれている。2週間のトライアルののち、いくつかの工廠の使用許可を取り付け、各部品のチューンナップおよび改装を開始。生産ラインから抜き出したフレームに実装され、実証テストが繰り返されている。A型から少し遅れて生産が開始されるが[161]、数機生産された俗に「初期タイプ」と呼ばれる機体は、脚部のシルエットはそのままに、ユニット側面にサブ・スラスターを増設した仕様となっている。しかし、ベテランパイロットによる実働データにより、脚部のスラスターは姿勢制御のみならず、機動そのものにも充当したほうが総合推力が向上することが判明する。本機の開発開始から1か月ほどで、専用のロケット・モーターが完成[53]。ただし、限られた容積で目標のスペックを達成するのは困難であり、外装形状にも若干の手直しがおこなわれている。この改装を基本構造として本格的な生産が開始され、0078年の後半に(一年戦争勃発前後の4-5か月間とも)集中して実戦配備されている。FS型とともに、新鋭機の秘密保持のためすべてジオン本国で生産され、開戦初期までF型として運用されるなどの情報操作もおこなわれている。最終的に約100機が生産され、一年戦争の緒戦で目覚ましい戦果を挙げている。おもに指揮官向けに配備されているため、「指揮官用ザク」と呼称されることもあるようだが、あくまで通称であり制式名称ではない。
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