We are KATARI, the musical artist duo of Shinichiro Kamio and Takehiro Mamiya.
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曲名:KS1-CNS(茶立虫・涙の門をゆきすぎて・静かな死 / 薄田泣菫)
編纂:神尾晋一郎
作曲:間宮丈裕/ DJ’TEKINA//SOMETHING a.k.a ゆよゆっぺ
朗読及び歌唱:神尾晋一郎、間宮丈裕
映像:神宮司 https://twitter.com/jgj05
引用元、出典:
茶立虫
https://www.aozora.gr.jp/cards/000150/files/4893_15958.html
涙の門をゆきすぎて
https://www.aozora.gr.jp/cards/000150/files/50558_61357.html
静かな死
https://www.aozora.gr.jp/cards/000150/files/46615_50730.html
【詩】
静かな秋の一日、午後三時頃の事でした。
家の者はみな遊びに出かけたので、留守居に残された私は部屋に坐つたまま、
背を壁にもたせて、何を考へるでもなし、ひとりつくねんとしてゐました。
煤けた壁の落ちつきが、冷え冷えと背を伝はつて、
しつとりと心の底まで滲みとほるのもいい気持でした。
涙の門をゆきすぎて、
そこに『沈默』の樹こそあれ、
しろがねの葉のした蔭に、
『思慧』の木の實を採り食みて、
生は榛實の虚の實の
『寂み』をのみ味ひぬ。
何といふ微かな響でせう。
「沈黙」そのものよりも、もつと静かで、もつと寂しいのはその声です。
「静寂」そのものが、自分の寂しさに堪へられないで、
そつと口のなかで呟やいたやうなのはその声です。
女の涙、青白い月光の滴り、香ぐはしい花と花との私語。
二つの小さな精霊の会合は、
詩と冥想との世界と同じやうに、一切の騒音を厭ひます。
ここには私語と吐息とすらもが憚られて、
只微笑と点頭とのみが、一切を支配し、
一切を会得してゐるのだらうと思ひます。
私はさういふ境地がうらやましい。
涙の門をゆきすぎて、
そこに『沈默』の樹こそあれ、
しろがねの葉のした蔭に、
『思慧』の木の實を採り食みて、
生は榛實の虚の實の
『寂み』をのみ味ひぬ。
死際にはお喋舌は要らぬ事だ。狼のやうに黙つて死にたい。

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