ボイスドラマ「アルテミスに出会った日」

先生、最近朝起きるのがだるくてな、また薬を出してもらえんやろうか。 あら、まさん大丈夫?辛いね。奥でお話聞きましょうね。 ああ、分かった、わかった。 カフェよも木の奥。厨房の前の小さなカウンセリングで常連客の相談を聞く。じゃあ漢方を作ってくるわね。黒文字茶飲みながら待っててね。 [音楽] ああ、ありがとな。 カウンセリングの横。嬉しそうに微笑みながらおばあちゃんが通りすぎていく。 パパのお母さん。お場は義りのおばあ ちゃんだけど、私にとっては薬草の先生、 朝日町の主と言ってもいいくらい。 初めておばあちゃんと会ったのは25年前 、2歳の時だった。ママに連れられて 朝日町に来たけれど行くとこ見るとこ知ら ないとこばかりそもそも人見知りで今で 言うコミ障の塊 しかも秒弱でよく熱を出して寝込んでた。 ママのお楓出でも色々あって精神的に きつい時だったし。 東京から木のみ木のまで連れてこられて おもちゃも持ってこられなかったんだ。 ママは住むところを決めたりなんだかんだ で毎日家にいない。家と言ってもシェア ハウスだから1人静かに過ごせるわけじゃ ない。だからよくお庭で虫と遊んでた。 痒いのかい。え、 声をかけてきたのは知らないおばあちゃん 。私は手のひが痒くてボリボリ描いていた 。ゲムに触ったんかいな。あ、 そういえばさっき緑色の葉っぱをちぎった 時、歯の上でモぞしてる小さな煙に触っ ちゃったかも。 おかほか。ちょっと待っよ。おばあちゃん は慣れた感じで近くに生えていたよぎの歯 をちぎる。葉っぱを手のひで揉むと緑色の 汁が出てきた。 この汁をちょんちょんってつけてみ。かみ が収まるから。 なんだか信じられなかったけど。言う通り にした。変わったおばあちゃん。もう書か ん方がええで、ちょこっと我慢し、私は 黙って頷く。 おばあちゃんは他にもいろんなこと教えて くれた。庭の隅に生えている低い木から 葉っぱと枝を少しだけ積み取って黒文字 って言うや 地面に落ちたセミを拾い黒文字の葉っぱの 上に置く。でもやっぱ弱ってるから動か ない と思っていたらそのうちに派手を動かして 弱々しく飛んでいった。 うわあ。 おかんと口を開けている私におばあちゃん がにっこり微笑む。もう痒くないやろ。あ 、本当だ。治ってる。痒くない。 嬉しそうな顔をする私を見ておばあちゃん がまたにんまり。 その日から無口な少女と物知りなおばあ ちゃんの交流が始まった。 おばあちゃんって言っても今から思えば 全然若かったと思う。だっていつも車を 運転して朝日町のいろんなとこへ薬草罪に 連れてってくれたもん。すら光原で よもぎやすぎな我こ。水場所は終わってた けど美光原で毒や大箱隠れ派でわび屋全マ うど期 おばあちゃんきっと1人ぼっちの私を気に かけて誘ってくれたんだろうな。 おばあちゃんひは薬草の宝箱って言ってた けど本当にそう 薬草がみんなの生活に寝付いてるんだ。 もっともっと薬草のことを知りたいな。 [拍手] 6歳の春。小学校に入っても体が弱いのは 変わらなかった。体育の授業はいつも見学 だからずっとコミュ賞のまま。 ママは新しいお店を朝日町で開くみたいで 毎日準備に忙しい、やっぱりいつも家にい ない。 私が唯一心を開くのはおばあちゃんだけ。 おばあちゃんとは毎日のように森で薬草を 探した。 森以外で私が過ごす場所は図書館。おばあ ちゃんと一緒に積んできた約草を図書館で 答え合わせするんだ。 最近すごく興味があるのはよもぎ。おばあ ちゃんもよもぎは女の子を守ってくれるん やさ。っていつも言ってたけど調べたら 貧血予防デトックス町内環境改善美容効果 冷え症改善リラックス よくわかんないけど すごいな。 いっぱい興味が湧いてもっと深く調べたら ギリシャ神話が出てきた。 アルテミス 何?よも木の学名はアルテミシア。 オリンポスの12の1人アルテミスから 名付けられたって。 月と自然の女神、準決の神出産の守護神女 [音楽] の守り神。 ああ。素敵。 私もこんな風になりたいな。 アルテミスは私の理想となり神話を いっぱい調べた。 双子のアポロン。弓の名主カリストの悲劇 。生まれてすぐにお母さんレトの出産を 手伝った。 やっぱい すごすぎる。 私の中でアルテミスの名を持つよ木も進格 化されていった。 6歳の夏、ママが倒れた。そりゃそうよ。 朝日町の中でお店をオープンするって毎日 走り回ってたから。この機会にゆっくり 休んで欲しいな。 病をするのは私とママのお友達。大学の時 の同級生だって。同級生じゃなくてボーイ フレンドでしょ。いいのいいの。隠さなく ても知ってるんだから。 ご飯は私が作ることにした。てかもう随分 前から自炊してたんだもん。最初はママ からもらったお小遣いでカップラーメンと か食べてた。だけどおばあちゃんにそれ 話したらあかんてせっかく薬草積んでるん やから。そう言って薬料理っていうのを 教えてもらった。 体の熱を覚ますと歌肉のあっさりに疲労 回復に鶏テと夏目の薬スープ の巡りを良くするセロリと鶏さミの会え物 もちろん私1人じゃ作れないからおばあ ちゃんに手伝ってもらう 人が少ないお昼のシェアハウスキッチンに はおばあちゃんとしかいない。 お肉はおばあちゃんが持ってきてくれた。 薬草は森で一緒に探してくれる。 おばあちゃんがいない時は図書館で薬前 料理について勉強した。 薬前には決まったレシピがあるわけじゃ ない。食べる人の体質やその時の体調に 合わせて食材を選ぶ。 みというのは体に効く5つの味性 という体を温めたり冷やしたりする性質 危刑というのはエネルギーの通り道 [音楽] 最初は何言ってんだか全然わかんなかった 実際に食べていくうちに分かったような わかんないような まいいや体にいいってことだけ理解できた から。 おばあちゃんは少しずつ私にも料理させて くれるようになった。 ということで今日のメニューは夏目と生姜 のおかゆさん。おばあちゃんにママのこと 話したら教えてくれたんだ。 ともぎちゃんが作るんならこれ一択やさ。 米をよく洗ってたっぷりのお水と一緒に鍋 に入れる。 夏目と生姜の薄切りも加えて弱火にかけ たら 焦げつかないように時々混ぜて お米がトロトロになるまでじっくり煮込む 。 最後にお塩を少々加えて端を整えれば うん。夏目と生姜のおかゆさん出来上がり 。 ママ、お待たせ。 ベッドのママが驚いた顔でこっちを見る。 ボーイフレンドは完病で眠っちゃってる。 ママはその手を愛通しそうに握って。はい 。はい。ごちそう様。でもママには ちゃんと食べてもらいますからね。 よもぎ木特性目と生姜のおかゆさん 弱った胃腸を休ませて体の中から温めるの 官病の彼氏にも ママは私と料理を交互に見ながら ありがとうと言って口に入れると くしっと顔が歪む。 あれ?まずかった。 その後すぐにママの頬涙が伝わる。 いや、そんなそこまで美味しくはない でしょ。うん。でもよかった。ちゃんと 食べてくれて。 私は薬草の話と薬前料理の話をママに聞か せる。おばあちゃんのこともあ、しまった 。おばあちゃんからはママにはばあちゃん のことを言わんでもええよ。よもぎ木 ちゃんが1人でもしっかりやっとるって 伝えんとなあ。って言われてたんだ。 ママからは今度合わせてくれる。 首を小さく縦に振る。約束するとママは 嬉しそうに笑った。 代も木7 歳の夏。今日はマにとって待ったカフェのオープン。思えばママが倒れたの日から怒涛のような 1 年だった。順を追って説明していくとあの後マは 1 週間くらいで起き上がれるようになった。 私の薬料理のおかげかな 。すぐにやったのがカフェの更新変更。 最初は知り合いのパテシエを東京から呼ん で朝日町の果物を使ったパティスリーを やるはずだったけどなんと薬前カフェに 変更。私の薬前料理を食べたからだって。 ええ、 それだけじゃない。土地を買って店舗を 新築する予定が人が済まなくなったコ民家 を購入。ほとんどDIYで内装を仕上げる ことに。 マーケティングの視点からもこの方がいい んだって。本当かな?で、1番大きな波は 今厨房でお皿洗ってる人。あの時のママの ボーイフレンド。 今はママの夫。つまり私のパパ。 パパはママの病気が治ったらすぐに プロポーズした。でも返事はママじゃなく て私に聞くんだもん。OKって言うしか ないじゃん。 結局そんなこんなでママにおばあちゃんを 紹介できずしまいだけど、 またまたびっくり 。ママと一緒にパパの実家へ挨拶に行っ たら迎えてくれたのはパパのお母さん。 そう、私の師匠、あのおばあちゃんだった んだから。 ここには描き切れないほどいろんなことが あったけど、今はお店もオープンして幸せ いっぱいのママとパパ。あ、そうだ。もう 1つ大事なこと忘れてた。夏が終わって秋 になったらもう1人家族が増える予定。今 ママのお腹には私の妹がいるんだ。早く 会いたいな。 ママ。もちろん奥のリラクゼーション ルームに座ってるよ。だって薬料理を作る のは私とおばあちゃんなんだもん。パパは 主にさら洗い。もっと綺麗に洗わんとあ かんて。 意外と厳しいし。 あ、いらっしゃいませ。奥へどうぞ。 [音楽] よも木さん、今日のランチは何やのか。 ふん。今日の薬前ランチは鶏肉といお粥ゆ、それにかぼちゃと生姜の味噌汁よ。 おお、つもうまそうだな。 うまそうじゃなくて美いしいな。お粥かゆは消化に優しくて弱った一丁に負担をかけない。 きっとイを補って体力をつけるんだから朝のダルさや食欲夫不審してきがある人におすめなのよ。 さすがよ木先生 だから先生じゃないしさ。まさんカウンセリングはおしまい。カフェの方へどうぞ。 あ、分かったよ。 いつもありがとうな。 常連のマサさんにカフェに移動してもらってカウンセリングを片付ける。そっか。私も薬前ランチおしようかな。うん。実は密かに楽しみにしてるんだ。前デザート。誰が作るのかって。 [音楽] [音楽] それはカフェよもぎの最終兵器よ。りんご。今日のデザートは何?りんゴと夏目のコンポートだよ。 [音楽] やった。そ、前デザート作りの専門家は私の愛する妹ポロンじゃなくてんゴ。私たち [音楽] 2人でうん。おばあちゃんも入れて 3人で切り盛りするの。 私が目指すのは自然と大地の女神女性を 守るアルテミス さ。今日も薬前で朝日町をいえ高山をうん を健康にするぞ。そんなとこで ごちゃごちゃ叫んでないでカフェ手伝って よ。ごめん。 用

岐阜県高山市朝日町にある薬膳カフェ「よもぎ」を舞台に、漢方薬剤師・朝日よもぎの幼少期から現在までを描いた、感動のボイスドラマが完成しました。

病弱だった少女・よもぎが、朝日町の自然と「義理の祖母」との出会いを通じて“薬草の力”に目覚め、自らの進むべき道を見つけていく姿を、四季折々の風景とともに丁寧に綴ります。

「飛騨は薬草の宝箱」祖母の言葉の意味を、あなたもきっと感じるはずです。

出演:蓬坂えりか/坂田月菜/日比野正裕
【資料/アルテミス】

【アルテミス】ギリシャ神話、狩猟と貞潔の女神の魅力と伝説を英語で解説

<シーン1:現在/よもぎ28歳/カフェよもぎ>

◾️SE:カフェのガヤ/小鳥のさえずり

「先生、最近朝起きるのがだるくてなあ。

また薬をだしてもらえんやろうか」

「あら…マサさん、大丈夫?辛いねぇ。

奥でお話、聞きましょうね。」

「ああ、わかったわかった」

カフェ「よもぎ」の奥。厨房の前の小さなカウンセリングルームで常連客の相談を聞く。

「じゃあ、漢方作ってくるわね。クロモジ茶飲みながら、待っててね。」

「ああ、ありがとなぁ。」

カウンセリングルームの横。嬉しそうに微笑みながらおばあちゃんが通りすぎていく。

パパのおかあさん。

戸籍上は”義理のおばあちゃん”だけど、

私にとっては、薬草の先生。

”朝日町の主(ぬし)”といってもいいくらい。ふふ。

<シーン2:26年前:よもぎ2歳の夏/シェアハウス周辺の森にて>

◾️SE:小鳥のさえずり

初めておばあちゃんと会ったのは25年前。

2歳のときだった。ママに連れられて朝日町に来たけれど、行くとこ、見るとこ、知らないとこばかり。

そもそも人見知りで、今で言うコミュ症の塊。

しかも病弱で、よく熱を出して寝込んでた。

ママのかえでも、いろいろあって精神的にキツいときだったし。

東京から着の身着のままで連れてこられて、ゲームも持ってこられなかったんだ。

ママは住むところを決めたり、なんだかんだで毎日家にいない。

家、といってもシェアハウスだから、ひとり静かに過ごせるわけじゃない。

だから、よくお庭で、虫と遊んでた。

「痒いのかい?」

「え・・」

声をかけてきたのは、知らないおばあちゃん。

私は手のひらが痒くてボリボリかいていた。

「毛虫にさわったんかいな」

「あ・・」

そういえば、さっき緑色の葉っぱをちぎったとき。

葉の上でモゾモゾしてる小さな毛虫にさわっちゃったかも。

「ほうか、ほうか。ちょっと待っとれよ」

おばあちゃんは慣れた感じで、近くに生えていたよもぎの葉をちぎる。

葉っぱを手のひらで揉むと、緑色の汁が出てきた。

「この汁をちょんちょんってつけてみ。

痒みがおさまるから」

なんだか信じられなかったけど、言う通りにした。

変わったおばあちゃん。

「もうかかん方がええで。ちょこっと我慢しい」

私は黙ってうなづく・

おばあちゃんは、ほかにもいろんなこと教えてくれた。

庭の隅に生えている低い木から、葉っぱと小枝を少しだけ摘み取って

「クロモジっていうんや」

地面に落ちたセミを拾い、クロモジの葉っぱの上に置く。

でも・・・やっぱ、弱ってるから動かない。

・・・と思ってたら、そのうちに羽を動かして、弱々しく飛んでいった。

うわあ。

ぽかんと口をあけている私におばあちゃんがにっこり微笑む。

「もう痒くないやろ」

あ・・

ホントだ・・・

治ってる。痒くない。

嬉しそうな顔をする私を見て、おばあちゃんがまたニンマリ。

その日から、無口な少女と、物知りなおばあちゃんの交流が始まった。

おばあちゃん、って言っても、今から思えば全然若かったと思う。

だって、いつも車を運転して、

朝日町のいろんなとこへ薬草摘みに連れてってくれたもん。

鈴蘭高原でヨモギやスギナ、ワレモコウ。

水芭蕉は終わってたけど、美女高原でドクダミやオオバコ。

カクレハ高原でワラビやゼンマイ、ウド、トウキ。

おばあちゃん、きっとひとりぼっちの私を気にかけて誘ってくれたんだろなあ。

おばあちゃん、『飛騨は薬草の宝箱』って言ってたけど、ホントにそう。

薬草がみんなの生活に根付いてるんだ。

もっともっと薬草のこと知りたいな。

<シーン3:22年前:よもぎ6歳の春/朝日の森>

◾️SE:森の中/小鳥のさえずり

6歳の春。

小学校に入っても体が弱いのは変わらなかった。

体育の授業はいつも見学。

だから、ずっとコミュ症のまま。

ママは、新しいお店を朝日町で開くみたいで、毎日準備に忙しい。

やっぱりいつも家にいない。

私が唯一心を開くのはおばあちゃんだけ。

おばあちゃんとは、毎日のように森で薬草を探した。

森以外で、私が過ごす場所は図書館。

おばあちゃんと一緒に摘んできた薬草を、図書館で答え合わせするんだ。

最近すごく興味があるのは、よもぎ。

おばあちゃんも、

「ヨモギは女の子を守ってくれるんやさ」

っていつも言ってたけど。

調べたら、

貧血予防。デトックス。腸内環境改善。美容効果。冷え性改善。リラックス・・・

よくわかんないけど。

すごいな。

いっぱい興味が湧いてもっと深く調べたら、ギリシャ神話が出てきた。

アルテミス?

なに?

よもぎの学名は、アルテミシア・・・

オリンポスの十二神のひとり「アルテミス」から名付けられたって。

月と自然の女神。

純潔の神。出産の守護神。

そして、女性の守り神。

わあ。素敵・・・

私もこんな風になりたいなあ。

アルテミスは私の理想となり、神話をいっぱい調べた。

双子のアポロン。弓の名手。カリストの悲劇。

生まれてすぐにおかあさんレトの出産を手伝った?

やっばい。すごすぎる。

私の中で、アルテミスの名を持つよもぎも神格化されていった。

<シーン4:22年前:よもぎ6歳の夏/シェアハウス>

◾️SE:食卓の音

6歳の夏。

ママが倒れた。

そりゃそうよ。

朝日町のなかでお店をオープンするって毎日走り回ってたから。

この機会にゆっくり休んでほしいな。

看病をするのは私と、ママのお友達。

大学のときの同級生だって。

同級生じゃなくて、ボーイフレンドでしょ。

いいのいいの。隠さなくても。知ってるんだから。

ご飯は私が作ることにした。

ってか、もうずいぶん前から自炊してたんだもん。

最初はママからもらったお小遣いでカップラーメンとか食べてた。

だけど、おばあちゃんにそれ話したら、

「あかんて。せっかく薬草摘んでるんやから」

そう言って薬膳料理っていうのを教えてもらった。

体の熱を冷ます「冬瓜(とうがん)と豚肉のあっさり煮」。疲労回復に「鶏手羽と棗(なつめ)の薬膳スープ」。

気の巡りを良くする「セロリと鶏ささみの和え物」。

もちろん私ひとりじゃ作れないからおばあちゃんに手伝ってもらう。

人が少ないお昼のシェアハウス。

キッチンにはおばあちゃんと私しかいない。お肉はおばあちゃんが持ってきてくれた。

薬草は森で一緒に探してくれる。

おばあちゃんがいないときは、図書館で薬膳料理について勉強した。

薬膳には決まったレシピがあるわけじゃない。食べる人の体質や、その時の体調に合わせて食材を選ぶ。

五味(ごみ)というのは体に効く5つの味。

五性(ごせい)という体を温めたり冷やしたりする性質。

帰経(きけい)というのはエネルギーの通り道。

最初は何言ってんだか全然わかんなかった。

実際に食べていくうちに、わかったようなわかんないような。

ま、いいや。

体にいいってことだけ理解できたから。

おばあちゃんは少しずつ、私にも料理させてくれるようになった。

ということで、今日のメニューは、ナツメと生姜のおかゆさん。

おばあちゃんにママのこと話したら、教えてくれたんだ。

「よもぎちゃんが作るんなら、これ一択やさ」

お米をよく洗って、たっぷりのお水と一緒に鍋に入れる。

ナツメと生姜の薄切りも加えて、弱火にかけたら・・・

焦げ付かないように時々混ぜて。

お米がとろとろになるまでじっくり煮込む。

最後に、お塩を少々加えて味を整えれば、

ナツメと生姜のおかゆさん、できあがり〜。

「ママ、おまたせ」

ベッドのママが驚いた顔でこっちを見る。

ボーイフレンドは看病疲れで眠っちゃってる。

ママはその手を愛おしそうににぎって。

はいはい。ごちそうさま。

でもママには、ちゃんと食べてもらいますからね。

よもぎ特製、ナツメと生姜のおかゆさん。

弱った胃腸を休ませて、体の中から温めるの。

看病疲れの彼氏にも。

ママは私と料理を交互に見ながら、

「ありがとう」と言って口に入れると・・

クシャっと顔がゆがむ。

あれ?

まず・・かった?

そのあとすぐに、ママの頬を涙が伝わる。

いや、そんな。そこまで美味しくはないでしょ。

でもよかった。

ちゃんと食べてくれて。

私は、薬草の話と薬膳料理の話をママに聞かせる。

おばあちゃんのことも・・・

あ、しまった。

おばあちゃんからは、

「ママにはばあちゃんのこと、言わんでもええよ。

よもぎちゃんが1人でもしっかりやっとるって伝えんとなあ」

って言われてたんだ。

ママからは、『今度会わせてくれる?』って。

首を小さく縦に振る。

約束すると、ママは嬉しそうに笑った。

※続きは音声でお楽しみください。

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