第1529回「いくつもの不思議」2025/3/15【毎日の管長日記と呼吸瞑想】| 臨済宗円覚寺派管長 横田南嶺老師

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最後に一日のはじまりを整える、呼吸瞑想がございます。
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愛媛県砥部町にある坂村真民記念館、十三周年特別展の講演を終えて、その日の夜に鎌倉に戻りました。

鎌倉に戻ると、雪になっていました。

次の日が日曜説教なので、土曜日のうちには寺にもどらないといけません。

遠方まで出かけると、無事帰れることに感謝します。

明くる日は日曜説教でした。

朝はまだ雪が少し残っているような寒い日でありました。

坂村真民記念館での講演を終えて、つくづくと不思議なご縁に感謝します。

大きくいうと、三つの不思議でありました。

まず五年前に掲示板の詩の特別展を行ってもらいながら、今回再び掲示板の詩の特別展を開催していただけるという、こんな不思議なことはありません。

それから講演の日が三月八日になったというのも不思議であります。

これが二つ目の不思議です。

三月八日は坂村真民先生の最初の子である茜ちゃんのご命日であります。

三月八日の詩をはじめに読もうと思っていました。

三月八日の詩には、真民先生ご夫婦はご自宅から歩いて四十八番札所の西林寺にお参りしたと書かれていますので、私も講演の前に朝西林寺にお参りしました。

ああ、この鐘を撞いて茜ちゃんのことを思っていたのだと思うと感慨無量です。

西林寺にお参りしていたこともあって記念館に着いたのが開会式の前となりました。

記念館は砥部町立のものなので、砥部町の町長さんもお見えくださっています。

初めてお目にかかる町長さんでした。

三十一歳のお若い町長さんでした。

他にも砥部町の要職にある方々が集まってくれていました。

こうして地元の町で大事にされている記念館なのだと感じることができます。

これからも大事にされていって欲しいと願います。

町長さんの挨拶をはじめに、私も祝辞をのべさせてもらいました。

私はまずこの十三周年記念の特別展開催のお祝いを述べたあとに、十三年毎回いろんな特別展を企画して、この記念館を継続してこられた西澤孝一館長と真美子夫人のご努力に深く敬意を表しますと伝えました。

記念館の創立から、どれほどのご苦労をされてきたか察するにあまりあります。

それから、記念館は東日本大震災からちょうど一年後の二〇一二年の三月十一日に開館されたのです。

震災があり、津波の大きな被害があり、原発の事故もあって、日本全体が、これからどうなるのかという大きな不安に見舞われていた頃でした。

そんな時に少しでも多くの人に生きる力を与えようと記念館が開館されました。

あれから十三年、真民先生のふるさとである熊本でも大地震があって大きな被害がありました。

四国では西日本豪雨の被害もありました。

そして昨年正月には能登の大地震がありました。

日本は幾たびもの災害に見舞われています。

そんな不安のある中で、人はどう生きたらいいのかが問われます。

人間として人間らしく生きるとはどういうことか、考えることです。

そんな時に真民先生の詩は、私たちに生きる力を与えてくれるのです。

そのような言葉を申し上げました。

それからテープカットをして開館したのでした。

開館して入り口の近くに、

信じてください
心配しなくていいです
心の扉を
いつも開けてさえおけば
いろいろと教えてくださいます
信じてください
見えない世界から
いつも見守っていてくださることを
(全詩集巻七)

夕空
わたしはいつもひとりだから
あたたかいひとのこころにふれると
ほろりとする
生きていることがうれしくなる
暮らしていくことに力がでる
今日あなたに会って帰るさの
夕の空のきれいだったこと
近かじか虹までたつではないか
ああわたしはもう
野心もなく欲もない
ただしずかに生きてゆきたい
美しい人の美しい心にふれて
こころみださず生きてゆきたい

という詩がございました。

私は今回の講演の依頼を受けて、その日が三月八日でしたので、まず「三月八日」の詩をはじめに紹介しようと決めました。

そして最後には、この「信じよう」と「夕空」の詩を紹介しょうと早くから決めていました。

そのことを坂村真民記念館に伝えたことはありません。

しかしながら、この二つの詩が入り口にあったことには驚きました。

偶然といえば偶然ですが、私がこの特別展に思うことと、企画された西澤孝一館長との思いが期せずして一致していたのでした。

これが三つめの不思議であります。

全体の構成としては、三月八日の詩をはじめに紹介して、茜ちゃんのことを思い続ける真民先生の深い愛を話して、そして茜ちゃんがいつも守ってくれているという不思議な世界があるものだと話を展開させてゆこうと考えました。

その前に掲示板に詩を書いた思いとして「知らせよう」の詩も紹介しておいて、この不思議の世界のあることを知らせようという思いを伝えるようにしました。

それから更に不思議の世界とはどういうものなのか話を発展させてゆきました。

不思議なことの連続で今お互いがこうしてここにいるのであります。

生まれた事も、生きてこられたことも、いろんな人や書物などの出会いがあって、ここにいるのです。

それはいくつもの不思議の連続なのです。

そんな不思議とは目に見えない世界でもあります。

私たちは目にみえる世界だけで思うようにいかなかったり、不安に駆られたりして一喜一憂していますが、それをささえてくれている目に見えない世界のあることを話をしました。

そしてその目に見えない不思議の世界を「信じてください」と申し上げたのでした。

最後には「夕空」の詩を読んで、不思議の世界をほれぼれと仰ぐ心を伝えたいと願いました。

夕空の詩は真民先生の四十一歳の時の詩であります。

読むだけで心清められる思いがします。

講演会には毎朝YouTubeラジオ管長日記を聞いていますと多くの方から声をかけてもらいました。

有り難いご縁であります。

関東からお見えになったという方もいらっしゃいました。

全国からこの砥部町にある坂村真民記念館に足を運んで欲しいと願います。

横田南嶺
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