和歌山太地町のいつもの海を見に。 #和歌山 #日本の風景 #太地町
和歌山の――太地町。
あのね、いいところなんですよ。
朝からよう晴れてる。
けど、空のあっちこっちに、ちょいと雲が浮かんでる。
真っ白な雲がね、青い空の上でゆっくり流れていく。
その下で――海がまた、綺麗なんだ。
青いっていうより、透き通ってる。
水の底の石まで見えてね、
波が当たるたびに、光がきらきら、きらきら。
いつもなら、防波堤の上にゃ釣り人がいるんですよ。
竿がずらーっと並んで、
「今日はアジか?」「サバか?」なんて、朝から大騒ぎしてね。
でも、今日は、いない。
風が通り抜ける音と、波の音だけ。
それがね、妙に静かで、心に沁みるんです。
防波堤の先まで歩いていったら、
潮の匂いがふっと強くなって……
そこで立ち止まったんですよ。
海が光っててね。
その光の中に――昔の景色が浮かぶんです。
子どもの頃の夏の海。
砂浜で笑ってた親父の顔。
誰もいなくなった今でも、
あの声が波に混じって聞こえてくるような気がしてね……。
泣けてくるんですよ。
いや、悲しいんじゃない。
嬉しいとかでもない。
なんかこう……
生きてるってことが、ありがたく思える瞬間が、そこにある。
海って、そういうこと言うんですね。
「よう来たな」って。
……ほんと、ええ景色でした。
いやぁ~、あの海見たら、
釣りなんかせんでも、心が釣れますわ。
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両親は亡くなりましたが、故郷の海と山と空気はあの頃のままですね