【”奥南部”漆物語】受け継がれる伝統技術 #浄法寺塗#日本文化#岩手県工芸品

岩手県二戸市発祥の伝統工芸「浄法寺塗」。地元で育てた漆の木から職人が丁寧に漆を採取し、何層にも塗り重ねて仕上げる究極の漆器です。素朴で温かみのある美しさと、実用性を兼ね備えた浄法寺塗の魅力をショート動画でご紹介します。

「塗師が7割、使い手が3割」と浄法寺の塗師たちは言う。しっとりとした質感は使用するたびに味わいを増し、重厚な艶を放つようになる。伝統工芸品「浄法寺塗」は、使い手が育てる工芸品だ。
わずか3%と意外にも低い、日本の漆自給率の約70%を担うのが、奈良時代から漆を産出していた浄法寺町である。古くから、その中心を流れる安比川は、上流域の木地挽き、下流域の漆掻き、そして中流域の塗師を密接に繋いで一貫生産を支えてきた。
浄法寺塗は、装飾もなく、素朴で実用的な器である。それもそのはず、平安時代、質素倹約を極める天台寺の僧侶たちが自ら作った器が由来とされる。江戸時代、盛岡藩が漆産業を重視するようになると、装飾の施された「南部箔椀」も誕生した。
明治時代に漆生産量が飛躍的に増加すると、太平洋戦争では爆弾などの塗料として国に納められ、戦後も高値で売買されるなど隆盛をみせた。しかし、安価な外国産漆の輸入で衰退が進み、漆掻き職人も最盛期の300人から30人にまで減少した。
窮地に立たされた浄法寺の漆産業だが、「滴生舎」などでの漆掻き・漆塗り体験や展示販売、精力的な後継者の育成で、貴重な技術と伝統は確実に次の世代へ受け継がれている。
自然素材で作られた漆器でひっつみなどの郷土料理に舌鼓を打ち、漆の盃に漆塗りの酒器「ヒアゲ」からどぶろくを注げば、自然を尊重する日本古来のあり方を思い出す。
外国産漆と一線を画す、美しい透明度に恵まれた浄法寺漆は、金閣寺などの国宝建造物を彩り、今日も多くの観光客を魅了している。

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