【西の湖】近江最大の内湖は、近隣住民の生活に深く馴染み愛されている水辺です
近江の水郷として知られる西の湖。 内湖と呼ばれる琵琶湖周辺に点在する湖の一つ。 干拓で百個ほどあった内湖は、 現在20余りまで減っていますが、 この西の湖は今残る最大の内湖です。 歴史ある浅小井や円山集落とともに、 西の湖の南側から西側を 2日にわたり歩いてみました。 今も静かに水をたたえる西の湖。 地元の方々にとって憩いの場でもあり、 暮らしに密着する存在であることが 垣間見えました。 こちらは西の湖に注ぐ蛇砂川です。 遠くに八幡山がよく見えます。 私は地形図を見て、その場所が どのような場所かを頭の中で 思い描くのが好きなんです。 地形図を眺めているだけで、 何時間でも過ごすことができてしまいますね。 本日は西の湖周辺を歩こうとしておりますが、 目を引く場所がありました。 それがこの「浅小井」と記された集落ですね。 このような水田の真ん中に家が集まっていて、 その中をこのような不規則な小道が巡らされていて、 神社やお寺がたくさんあります。 それなりに歴史ある集落であることが、 地形図上から一目で読み取れます。 調べてみたところ、ここは7月に行われる 曳山祭りが有名なようです。 曳山と井草の館の道標がありますね。 こちらで江戸時代に作られた曳山も 見学ができるみたいです。 そしてこの立派な東屋の下に 石組みで囲われた池があります。 よく見るとこの池の真ん中から 水が湧き出ていました。 ここは上の湧水公園と名付けられているんですね。 「あさごい湧水マップ」がありますね。 この集落内にはこの他にも何箇所か このような湧水があるようです。 また城跡の表示も見えますね。 歴史を紐解くと、鎌倉時代の御家人 佐々木氏の子孫が浅小井氏を名乗って、 ここに居館を築いたのが始まりのようです。 戦国時代に城塞を整えたとのこと。 この水路は上品な石垣で囲われ、気持ちよいですね。 このような水路は、もしかしたら、 もともとは城の堀だったのかもしれません。 古そうな石の祠におさまるお地蔵様。 こちらは真言宗の仏性寺です。 お堂の前には弘法大師の銅像が見えますね。 屋根が盛り上がって、わずかに傾斜がついている 起り屋根の家屋が多いですね。 いい感じの街並みでした。 さて、こちらは日吉神社から勧請された 十禅師権現が祀られた祠のようです。 ここに浅小井の歴史が書かれていました。 これによると、佐々木氏が居館とする前の 平安時代は延暦寺の荘園だったようですね。 この多武木神社(とうのきじんじゃ)、 藤原鎌足が祭神です。 案内板にこの神社は もともと本丸の南東の隅に 鎮座していたと書かれていました。 明治時代に新田開発が行われた際に、 この場所に移転したようです。 本丸はこの集落より西ノ湖の方に近い 北側の現在は畑となっている場所にあったようです。 こちらは天台宗の本福寺です。 さて、集落を離れ東に進みます。 前方左手、枝豆の畑の中に、 ここだけぽっこりと不自然な形で 樹林が残っています。 新開の森と言います。 この道の真正面にある小山は、 安土城のあった場所です。 そのためか、処刑場だったという 言い伝えも残っている、 知る人ぞ知る心霊スポットらしいです。 ちょっとだけ近づいてみましょう。 禁足地とされているので、深入りは控えます。 こちらの踏み跡をちらっと覗くと、 奥の方は笹薮のように見えました。 さて、北向きに進路を取り、西の湖へ向かいましょう。 西の湖の湖畔には サイクリングコース兼遊歩道がありました。 西の湖は琵琶湖に付属した内湖とはいえ、 かなり広大で、一周11kmもあるそうです。 とはいってもサイクリストに人気の 通称「ビワイチ」の琵琶湖一周約200kmに比べたら 全然楽ですし、道もほぼ平坦。 実際にこの日も多くのサイクリストが 行き交っていました。 左手に小高い丘が見えてきました。 階段があって上に登れるようです。 3本の木が植えられています。 これらの木はどうもクスノキのようですね。 宗教の匂いがします。 でも祠は見当たりません。 かつては神様が祀られていたのかもしれません。 ここからは360度の展望がありました。 西に八幡山、東に安土城や観音寺城跡。 そして北側は西の湖の全貌を 見渡すことができます。 対岸までよく見えますね。 Googleマップで確認しますと、 西の湖ポケットパークってなってますね。 湖岸に降りることのできる場所がありました。 この路面のマークは 降り口の目印ですかね。 これは地元小学生が手作りした看板でしょうかね。 ”貝がへっていいんかい。 助けてあげようかい。” ダジャレで環境問題を 提起しているんですね。 どうしたら助けられるのでしょうか。 先ほど田んぼの脇に 「私は濁水を流しません」という 看板が掲げてあったのを思い出しました。 おっ、巨大な貝が浜辺に打ち上げられています。 子供が看板を掲げて訴えても ペットボトルを捨てていく人がいるんですね。 おそらくこの貝は生きてはいないでしょう。 イケチョウガイかメンカラスガイだと思います。 いずれも日本最大級の淡水に生息する貝のようです。 この西ノ湖ではイケチョウガイは真珠を 取るために養殖されているそうです。 湖岸はずっとヨシで覆われていますね。 このサイクリングロードは、 「びわ湖よし笛ロード」という 名前がつけられていたんですね。 ここから先は少し湖から離れてしまうようです。 この日はいったん引き返して、 安土駅方面に戻ることにしました。 残りは後日、再び訪れることといたします。 本日、西の湖に再び戻ってまいりました。 前回進んだ地点付近まで歩き、 そこからさらに西の湖西岸を 北に向かおうと思います。 こちらは冒頭でも紹介した蛇砂川。 もう少し北側で西の湖に注ぎ込みます。 前回の「びわ湖よし笛ロード」の最終到達地点 近くまで戻ってまいりました。 今日は最初に、この西の湖名物の一つ、 ヨシ原の中を探るところから 始めたいと思います。 この小鳥たちのさえずりをお聞きください。 やかましいぐらいに鳴いていますよね。 あわよくば鳥の巣を見つけて、 鳥の親子を観察しようと考えたのですが、 とても無理なことがよくわかりました。 日本野鳥の会の会員の方であれば、この さえずりを聞いただけで 鳥の名前がわかることと思います。 本日、最初の企画が大コケしたところで、 気を取り直して西の湖畔を北に向かおうと思います。 今はまだ早朝なのですが、 すでに地元の方が サイクリングを楽しんでいらっしゃいますね。 ここではアベリアの生垣に沿って サイクリングロードが続きます。 すでに多数のウォーキングされている方、 犬とお散歩をされている方、 サイクリングされている方とすれ違いました。 しっかりメンテされていて、 地元の方々の生活に溶け込んでいる道なのですね。 一度この「びわ湖よし笛ロード」は、 前回最後の地点から湖岸を離れて しばらくは内陸部を走っていましたが、 ここで再び西の湖に近づいたようです。 ここも湖畔に降りることができますね。 この右手に先ほどの蛇砂川の河口があるはずです。 ヨシ原に囲まれた静寂の水郷風景です。 遠くの山が湖面に映って唇の形になってますね。 さらに少し進んだところに 船着き場のような場所がありました。 壊れた木の小舟が放置され、 荒れています。 ここは西の湖園地という公園です。 二つの小島が橋でつながっていました。 それぞれ約100m四方くらいの島でした。 多くの桜の木が植えられていましたので、 春には花見で賑わうのではないかと思います。 順路があるみたいですね。 この手前の島の中央部には 少し盛り上がりがありますね。 島の北側を眺めると、 小舟に乗った釣り人が見えました。 おそらくバス釣りでしょう。 モーターで結構機動的に動けるようでした。 この公園の入り口近くにはベンチがありましたが、 こちらには東屋がありますね。 そしてなんと小さな池までありました。 茶色く濁っているのはなぜでしょう。 ちょっと不思議ですよね。 釣り船がもう一艘増えてますね。 ここには桟橋のようなものがあって、 船で上陸もできそうでした。 もう一つの島の方にも渡ってみましょう。 これは趣のある木橋ですね。 こちらも最初の島と同じくらいの広さが ありそうですが、一面ヨシ原でした。 さて、サイクリングロードに復帰です。 八幡山もだいぶ近づきました。 今日はもう数えきれない位の人とすれ違いました。 この地図で「びわ湖よし笛ロード」の 全貌がいよいよ解明。 この先は八幡山の裏手に大回りして、 琵琶湖岸まで出て近江八幡駅まで続くんですね。 逆方向は安土城の麓をすり抜けて能登川駅まで続く。 その距離27km。 さて、先ほどの地点で、実は 「びわ湖よし笛ロード」ともお別れです。 コースが西の湖から外れてしまうからですね。 私は引き続き、西の湖に近いところを 探りながら、もう少し北上します。 ここで再度、地形図に登場いただきましょう。 もう一箇所の地形図上の魅惑の地を 見つけていました。 この円山町です。 この山の南の麓に 張り付くように家屋が並んでますよね。 集落のど真ん中には 細いくねくねした道がついてます。 後ほど歩いてみることにします。 さて、今、焼田橋を渡っています。 渡りきったところですぐに右折しました。 この右手は水路を隔てて、先ほど歩いた 西の古園地の2番目の島の北端があります。 すぐそこのはずですが、 木が生い茂ってしまって確認できないですね。 西の湖の湖畔に沿って歩けるのかと思いましたが、 阻止されてしまいました。 動物除けの柵というわけではなく、 人間の通行も拒否されているようです。 致し方ないので田んぼの中を進みます。 この水は西の湖の水を ポンプアップしているのでしょうかね。 前方に魅惑の円山町集落が 見えてまいりました。 見事に家々が山の南の麓に 張り付くように連なってますね。 小鳥除けのカカシ。 集落の散策は後ほどじっくりしますので、 先に西の湖の湖岸を確認しに行きます。 ここは集落のはずれです。 横倒しになったボート。 これはおそらく先ほど釣り人が乗っていた バス釣り用のものと同型ですね。 この道は先ほど通せんぼされていた道の 北側になります。 対岸の吉穴は南側から続く半島上の陸地 半島状の陸地です。 さて、さらに集落を抜けて北側に進んでみます。 ここにお目当てのランドマークがあります。 この真正面にある島は、 権座(ごんざ)と言います。 この権座は無人島で橋はなく、 船でしか渡ることができません。 一般人は通常、上陸は禁止されています。 実はこの島は江戸時代以来の伝統が守られ、 船でしか渡ることのできない島の中で、 酒米が育てられているのです。 ここの水田は、対岸にある白王町の方々が、 営農組合を組織して管理されています。 電線はこちら、円山町側から渡されていますね。 島の外周は石垣で 固められているのがわかります。 一部には畑もあり、地元の児童による 芋掘りも課外学習の一環として 行われているようです。 工作機械は、ご覧のような田舟を 4艘横並びに連結して、 その上に置いて運ばなければならず、 維持管理の苦労は大変なようです。 江戸時代から続く伝統を守り抜いていることから、 文化財保護法に基づく 重要文化的景観に選定されているそうです。 さて、ここからは西の湖を離れて、 いよいよ円山町内を横断して歩いてまいります。 早速、屋根が緩やかに 盛り上がるように傾斜している起り屋根の家屋が 目につきました。 こちらは越屋根のついた 厨子二階のある大きな家屋。 門や築地塀も立派です。 山に向かって石段を登ったところに 大将軍社がありました。 自然石を使った石段が急傾斜で、 一段が高さがあります。 鳥居を少し屈んで潜り抜ければならないほどでした。 祭神は愛宕大神ですね。 ほとんどの家が起り屋根のようですね。 こちらはこの集落内唯一の飲食店、 憩家 茂左衛門さんです。 今日は営業されておりません。 営業日は五の倍数日のみで、 昼のみ1日20食限定だそうです。 こちらは1661年から伝わる旧家とのこと。 こちらも、起り屋根に厨子二階。 二階の天井が低く、 窓も小さいのが厨子二階ですが、 2階ですが、江戸時代から明治かい。 江戸時代から明治後期にかけて建てられたといいます。 ということは、この集落では 明治後期以前に建てられた古民家が とても多いということがわかります。 この2階の小さな窓のことを 虫かごに例えて虫籠窓(むしこまど)といいます。 このように2階の天井が高く、 窓も広い家がありますね。 こちらも2階の天井が高いです。 たいがいは、厨子二階の建物よりも 後に建てられているはずです。 こちらが倉庫。 一部壁の土が落下してしまっておりますが、 なかなかこれも趣深いです。 この倉庫には刈り取られたヨシが 立てかけられていますね。 こんなに伸びるんですね。 円山神社です。 鳥居の佇まいや参道の広さからすると、 かなり大きな神社のようですね。 左手奥の茅葺き屋根は社務所でしょうか。 この全く先の見えない階段を目にして 登るのは諦めました。 ヨシ原の中にバス吊りのボートが 行き交ってます。 ここでは今もヨシを収穫して 建材などとして出荷しているようです。 こちらの方向にはもう湖はないと思うのですが、 どちらまで行かれるおつもりでしょうか。 場所の移動は自由自在の 便利なボートなのですね。 さて、こちらがヨシを扱っていらっしゃる 特定非営利活動法人まるよしさんのようです。 うん、上物のヨシですね。 先ほどの円山神社の社務所の屋根も、 こちらのヨシで葺かれたのでしょうか。 ヨシは毎年刈らないと良いものができないようですね。 刈り取られなかったヨシは、 枯れて地面を覆ってしまうため、 翌年の芽吹きを阻害してしまうようです。 ここに新しそうな文化庁の設置した 「茅」の案内板がありました。 ふるさと文化財の森として、 この目の前のエリアの他にも 広く設定されているんですね。 本日最初に野鳥を探しに踏み込もうとした ヨシ原も設定範囲だったようです。 さて、2日に分けて西の湖と その周辺の集落を歩きました。 穏やかに時を刻む西の湖の ゆったりとした美しい景観を堪能しました。 また、地域に根付いた文化にも 触れることができたと思います。 こちらは水郷巡りの観光船の乗り場ですね。 視聴者の皆様、 最後までご視聴ありがとうございました。 ぜひご感想をお聞かせください。
待望の新シリーズ、癒しの里歩き第1弾で取り上げるのは、近江最大の内湖である西の湖です。南から西にかけては「びわ湖よし笛ロード」と名付けられたサイクリングロードが整備され、地元の方々が日常的にウォーキング、ジョギングや犬の散歩に利用し、サイクリストも数多く通ります。
湖には、いくつかの公園も整備され、古い集落では伝統建築物が軒を連ねます。
沿岸には、広大なヨシ原が広がり、美しい景観を見せ、一部で刈り取ったヨシを利用しています。権座という島では、伝統的な農業が江戸時代から継承されており、「重要文化的景観」に選定されています。
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【タイムコード】
◆浅小井集落 : 1:20
◆西の湖ポケットパーク : 5:11
◆巨大な貝 : 6:05
◆西の湖園地 : 10:20
◆権座 : 14:37
◆円山集落 : 15:57
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【里歩き:西の湖】
◆「びわ湖よし笛ロード」は、よく整備されており、歩行者でも安全に歩くことができます。西の湖ポケットパークのように眺望を得られたり、湖岸に降りたりできる場所も点々とあります。地元住民の方々がウォーキングやジョギングで、多数利用しており、地元に馴染んだ路であることが実感できます。
◆権座は、貴重な場所ですが、通常は島に渡ることはできません。年に何回か、イベントがあるようです。
◆浅小井、円山両集落内には、今も使われている伝統的家屋が多数残っています。
◆アクセスは、近江八幡市のコミュニティバスを利用する、安土駅から歩く、レンタサイクルを利用するなどの方法があります。
最後の観光船乗り場からは、近江八幡駅方面へ路線バスが利用できます。1時間に3,4本運行されています。
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【チャンネル】
@歩いて旅するにっぽん
【今に生きる古道】
・できる限り往時のままの土の道をたどりたい
・昔の人と同じ気持ちで、歩きたい
・実際に歩いてみることで分かることが、たくさんある
市区町村や地元観光協会などのHPで紹介はされていても、
情報が不足していることも多いと思います。
徹底リサーチして厳選の上紹介しています。
◆運営会社:アスタービジョン株式会社
ウェブサイトはこちら
https://astervision.co.jp/
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【撮影機材】
◆iphone13Pro
◆GoPro HERO10 Black
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【編集ソフト】
◆PowerDirector 365
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動画の一部で、地理院タイルに地名・アイコン等を追記した画像を利用して配信しています。
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