安戸城跡やすど 埼玉県東秩父村 東秩父村指定史跡 2025/08

安戸城跡 東秩父村

かつて、秩父山地のふところに、ひとつの城が築かれた。
その名を安戸城と言う。

城が立つのは、見晴らしの良い尾根の上。眼下には槻川の流れ、周囲には
深き山々が屏風のように広がっていた。ここを治めたのは、秩父氏の一族
とも、あるいは地元豪族の館とも伝えられている。

戦国の世、安戸の里にもいつ敵が攻め寄せてくるかわからぬ不安が漂って
いた。そこで城主は、曲輪を築き、土塁を重ね、堀を掘りめぐらし、人々
を守ろうとした。山城の構えは堅固でありながら、里を見守るように控え
めで、戦乱の時代における“砦”であり“避難の地”でもあった。

時は流れ、天下はやがて統一へと向う。戦いの火が消えると、安戸城は静
かにその役目を終えた。
人々は再び田畑を耕し、和紙づくりや農の営みへと戻っていく。

令和の今、安戸城跡を訪れると、深い森に抱かれた土の高まりや堀の痕跡
がひっそりと眠っている。
鳥のさえずりが風に乗って響き、城の石や土塁の影からは、かつて槍を握
った兵や、村を守ろうとした人々の気配がふっと立ちのぼるようだ。

安戸城は語る。
「われらが城は、ただ戦うための砦ではなかった。村を守り、人々のくら
しを支える祈りの場所でもあったのだ」と。

安戸城跡は、埼玉県東秩父村に残る戦国期の山城跡で、郭・土塁・堀切な
どが確認される。
小規模ながらも、秩父地域における中世城郭の姿を今に伝える貴重な遺構
である。

音楽
Storyteller by のる
Falling with You by のる
古き巡礼の道 by のる
DOVA-SYNDROME

Write A Comment