世界自然遺産・知床の核心部にあたる知床半島の先端付近に近づける道路はない。半島の南東側にある北海道羅臼町では、知床岬の手前約20キロで道路が途切れ、あとは断崖絶壁と狭い浜が連続する海岸だ。道路がないばかりか、その行き止まりから少し先に進めば、電気、水道、ガス、携帯電話の電波などの公共インフラが一切なくなる。
 「日本最後の秘境」と呼ばれ、多数のヒグマが生息している原生の大自然が残る地域だが、実はたくさんの人の暮らしもそこにある。絶壁を背負った浜には、昆布漁やサケ・マスの定置網漁の時に漁家が移り住む番屋が多数並び、漁期には家族や従業員が数カ月そこに住む。
 そんな人と自然の共存を海上から見る小型ボートが、道路の果てる相泊地区から出ている。ガイド会社「知床らうすリンクル」と町遊漁釣り部会所属のワイルドライフクルーズが運航する「知床岬ヒグマボートクルーズ」だ

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