【伊豆の踊子(1963)】美しい伊豆の旅で出会う10代の踊子(吉永小百合)と一高生(高橋英樹)の初々しい演技がまぶしい

【映画 伊豆の踊子】

公開:1963年
監督:西河克己
原作:川端康成

【キャスト】

吉永小百合(当時18歳)
高橋英樹(当時19歳)
大阪志郎(当時43歳)

【あらすじ】

20歳の一高生の青年は、自分の性質が孤児根性で歪んでいると厳しい反省を重ね、その息苦しい憂鬱に堪え切れず、一人伊豆への旅に出る。彼は、湯ヶ島の道中で出会った旅芸人一座の一人の踊子(かおる)に惹かれ、天城峠のトンネルを抜けた後、彼らと一緒に下田まで旅することになった。一行を率いているのは踊子の兄で、大島から来た彼らは家族で旅芸人をしていた。

天城峠の茶屋の老婆から聞いていた旅芸人を見下げた話から、夜、湯ヶ野の宿でかおるが男客に汚されるのかと彼は心配して眠れなかったが、翌朝、朝湯につかっている私に向って、川向うの湯殿から無邪気な裸身を見せて大きく手を振るかおるの幼い姿に、彼の悩みはいっぺんに吹き飛び、「子供なんだ」と自然に喜びで笑いがこぼれた。

彼は、旅芸人一行と素性の違いを気にすることなく生身の人間同士の交流をし、人の温かさを肌で感じた。そして、かおるが彼に寄せる無垢で純情な心からも、彼は悩んでいた孤児根性から抜け出せると感じた。

下田へ着き、彼はかおるとその兄嫁らを活動(映画)に連れて行こうとするが、かおるだけしか都合がつかなくなると、母親(兄嫁の母)はかおるの懇願をふりきり、活動行きを反対した。次の日に東京へ帰らなければならない彼は、夜1人だけで活動に行った。暗い町で遠くから微かに踊子の叩く太鼓の音が聞えてくるようで、わけもなく涙がぽたぽた落ちた。

活動行きをあきらめたかおるは、吹っ切れたように宴会のお座敷で気の入った見事な一人踊りを見せる。

別れの旅立ちの日、昨晩遅く寝た女たちを置いて、かおるの兄だけが彼を下田港の乗船場まで送りに来た。かおるは来なかった。

船が出航し、しばらくして振り返った時、かおるの姿が突堤に見えた。かおるはさよならを言おうとしたようだが、もう声は届かなかった。かおるはただ力いっぱい船上の彼に向けて白い手拭いを振り続けた。

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