Mt.Sasago Gangaharasuri Yama, Graceful View 12 Mountains of Mt.Fuji, Yamanashi Japan, 2025.2.8

Mt.Sasago Gangaharasuri Yama, Graceful View 12 Mountains of Mt.Fuji, Yamanashi Japan, 2025.2.8

雁ヶ腹摺山シリーズ。
山梨県には雁ヶ腹摺山という名のつく山が3座あり、北から牛奥ノ雁ヶ腹摺山、無印の雁ヶ腹摺山、そして笹子雁ヶ腹摺山がある。

渡り鳥の雁が腹を摺るように山を越えていったから名付けられた。という説がある。
そして大菩薩嶺に連なる小金沢連嶺にある牛奥ノ雁ヶ腹摺山は、日本一長い山の名前でもある。

まず、初見では読めない。一度聞いても覚えられない名前でもある。「(うしおくの)がんがはらすりやま」と読む。

大菩薩嶺は行きやすいというのもあり、この界隈はこの3年間で4回、その1回は石丸峠から小金沢連嶺を縦走して牛奥ノ雁ヶ腹摺山へ行った。

今回はジョンコナー隊長とその雁ヶ腹摺山シリーズの第2座である笹子雁ヶ腹摺山を行く。

この笹子雁ヶ腹摺山も大月市が選定する秀麗富嶽十二景に含まれ、笹子峠を貫く笹子トンネルのちょうど真上の山。十二景の中ではすこし地味な存在のようだけど、甲州街道随一の難所と呼ばれる笹子峠越えを少し味わってみる。

笹子峠は何年か前に自転車仲間に誘われて、自転車で訪れたことがある。
1938年竣工、今では有形登録文化財に指定されている笹子隧道を潜った。古めかしさが印象深い隧道で、大月市側の坑門の意匠に特徴があり、甲州市側の坑門では作りかけ?の様で、意匠施工前の姿のようだ。

そういえばあの時、ハイカーの人と出会ったことを思い出した。どこから下りて来たのだろう。そんな思いを胸に今回は歩いてよりじっくりと味わおうと思った。

山アプリで2、3日前のこの辺りの記録を見て上の方は少し雪がついている様子が分かって、一応チェーンスパイクも用意。そして西日本、日本海側は大寒波が訪れていて、関東にもどれくらいの影響があるかは分からなかった。

いつもよりも寒い朝で、まだ暗い中を駅まで歩く。電車を乗り継いで、高尾から大月を過ぎた辺りから、うとうとしていると何となく外が白くなっていた。そして笹子駅のプラットフォームもすっかり真っ白な雪に覆われていた。

隊長と合流して、この雪具合にびっくりする。隊長は駅前の笹子餅に興味を惹かれていて、用意もままならないまま、まずはお店へ。朝7時から営業しているのはチェック済み。ご主人曰く今朝方雪が積もったとのこと。店先でとりあえず飲むように2つほど口に放り込み、隊長は団子を飲んでいた。団子は飲み物。のようですごい。

登山口まではとりあえず甲州街道沿いを歩いていく。歩道には新しい雪が積もっている。交通量は割とすごいのだけどお店らしきものは一軒もない。
この辺りの人はどこでお買い物をしているのだろう。なんて話をしながら新笹子トンネルの少し手前にある取り付き口に着く。ようやくここで靴紐やカメラなど取り出して用意をする。

すっかり雪化粧をした山道が始まる。風が吹くたびに樹木が揺らされ、葉枝に乗った雪が飛ばされて太陽の日に照らされてキラキラと舞う。
1357mの笹子雁ヶ腹摺山までは急登の登山道。雪で滑らない様に慎重に足場を選んでいく。新しい雪はキュッキュっと音を立てて滑る感じはしない。

しばらくは黙々と登って、振り返ると青空の元、御坂山地の背後に綺麗に雪化粧を施した富士山が顔を出す。最近のアイホンのズームはすごい。ギュイーンと引きつけるとジグザグに上がる登山道まで見えてしまう。

多少雪が深くなったところでも靴の甲まであたり。山頂が近くなってきた尾根道に吹き付ける風は冷たくて、空が広くなってきたところで笹子雁ヶ腹摺山山頂に到達。山頂には三等三角点。木々の枝が邪魔をしてスッキリとした眺望はないけど、富士山の裾がさっきよりも広く見える。少し休憩をして出発。西に方向を変えて笹子峠を目指す。

稜線は北から突き刺す風がより冷たくきつい。一気に体温が奪われて、一気に手袋をしている指も悴んでいくのがわかる。分岐で尾根道と新道と書かれたトラバース道があり、風を避けるためトラバースの方を選ぶ。細く弱々しい道筋で雪もあり少し分かりずらい。笹子峠の道標に従って下る。笹子峠も近いことがわかる。

隧道のどこから出るんだろう。とワクワクしてきた。
出たのは真上だった。大月市側の坑門の額縁の上にある半円形の装飾が裏から見える。
ここに出るのか~と、隧道の端に立ってみようも、あまりの高さに怖くて下を覗けない。隧道向かって右側の袖から旧甲州街道の道路へ出た。

すっかり雪を被った道には一筋のタイヤ痕だけで、それも風に吹かれた雪で埋まろうとしている。流石にここを越える車ももう少なかろう。
隧道を歩いて甲州市側へ行ってみる。北西を向いたトンネルは北風が思いっきり通り抜けて、カラカラに乾いた大葉がこちらへ飛んでくる。

甲州市側の坑門は何もない。打ちっぱなしのコンクリートが剥き出しのままだ。再び歩いて今度は追い風に押されながら大月市側へ出た。
少しここでも休んで、次なる目的地、矢立の杉を目指してさらに下る。上から訪れる人は少ないのだろうか、特に目立った道標もなく分かりづらい。道を間違える。
沢の向こうに看板とテラスの様な台などが見えた。下りる筋を間違えた様だ。

道を探して何度か登り返してようやく矢立の杉に到着。色々とあつらえてある一つにハンドルを回すゼンマイ式の音声ガイドがあった。ぐるぐる回して音声を選ぶ。杉良太郎の「矢立の杉」という歌のメロディもある。選んでみたけど知らなかった。

音声案内の方を聴き、「目の前に聳える大きな杉は〜樹齢は千年をゆうに超え〜根回り14.8m・・」と語っている。目の前の杉、、、どれ? そんな大きなの、、どれ?と、隊長もなんだかしっくりきていない様子だけど、目の前に広がる杉林の中から、聳えていそうな杉の一本がなんとなく、これ、、かなぁ? という目星をつけて写真や動画を撮っている。
あつらえの割にはなんだか「しょぼい」という同じ印象を持ったはずだ。なんとなく隊長もスーンとした表情だ。

2人無言のままとりあえず休憩をと、そのあつらえのある背後にベンチの並ぶテラスで反対側を眺めた。と、普通サイズの杉林から明らかに佇まいの違う一本の杉が目に入った。

「こ、、これじゃないですか?!」と、近寄ってみるとちゃんと「矢立の杉」との石標が建っている。
「そうやんな~そうやんな~ なんかおかしいと思ってん! そんなはずあるわけないやん!」と、ようやくここで2人ともお互いに心の中でわだかまりを持っていたのを確認した。おかしかった。

そこからは軽快に笹子駅を目指す。帰りの電車や下山メシをどこにするかでワイワイやる。笹子駅周辺には何もなかった。中野まで戻るか、など言っていたけど今日はあまりご飯を食べていなくて、とても中野まで戻るまで持ち堪えられない。
ちょうどいい時間に電車が来る。とりあえずそれに飛び乗り、高尾で王将で合意をする。下山メシはやはり餃子だ。間違いない。

ビールをぐびぐび、2杯目からは398円とリーズナブル。餃子も旨い。最後のラーメンにシクハクしながら満腹である。もう満腹である。中野までは試運転中の中央線のグリーン車で悠々と、この日は電車も乗り過ごさず真っ直ぐ家へ帰れた。アラームのおかげである。

山歩きもただ山頂を目指すだけではなく、やっぱり何かその土地の歴史や史跡などに触れたいもので、そういうスポットを織り込んだ山行計画を終えると満足感が高い。
そして隊長のヒザもようやく快復に向かってきていてもう普通に歩いている。完全復活の日も近い。

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